【通算094|要求AI 11】42タスクの一括実行(後編)——クレジットが尽きた日
これまでの Kiro に関する記事。
レート制限に二度当たり、作戦を「1タスクずつの直列実行」に切り替えた——その矢先だった。
「続きは来月」
タスクを積み直して3分後、画面に今までと違うメッセージが並んだ。
「You've reached your monthly usage limit. Please return next month to continue building.」——月間の利用上限に達しました。続きは来月。

レート制限は時間で解ける。だがこれは月間の上限だ。42タスク中23個を消化した55%地点で、今月の検証は強制終了になった。
赤いテストが残った
最後の状態を、Kiroの外から検分した。テストを自分で実行してみる。
100テスト中、96合格・4失敗。
失敗した4件は、すべてワークフローエンジンのプロパティテスト——最終日の5分半で書かれた、あのエンジンのものだ。Kiroはタスクごとに「書いたら、テストして、直す」を回す。エンジンは書かれ、テストも書かれた。だが直すループに入る前に、止められた。赤いテストがそのまま残った工事現場。未完走の実相が、この4件に刻まれている。
3日間の総集計
期間: 要件定義1日・設計とタスクリスト1日・実装2日(暦日ベース。人間の作業は指示とボタンと承認だけ)
クレジット: 月間無料枠50を全消費。内訳はおよそ——文書生成(要件・設計・タスク)に11、実装の実働に18、そして成果ゼロの空転に21
成果物: 文書3点(要件8本・設計書433行・タスクリスト276行)、ソースコードとテスト27ファイル、テスト100本(96本が合格)
実装進捗: 42タスク中23完了(55%)。バリデーション・締め日計算・証憑管理・権限と代理承認・監査履歴・エンジン本体まで。未着手は承認処理の後半・通知・スケジューラ・統合
答え合わせ——2つの伏線
チェックポイントは、実行されなかった。 タスクリストには「テストが全部通ることを確認し、疑問があればユーザーに聞く」という人間の関所が3か所あった。再開時、Kiroはこう言った——「チェックポイントは完了済みのはずだ」。実行された形跡はない。人間に聞く機会は、文書に書かれただけで、一度も訪れなかった。
「下書き」は、最後まで残った。 頼んでいないのに型定義に紛れ込んだDRAFT状態は、誰にも実装されず、誰にも消されず、型の中に居座ったまま終了した。
敗因は、コードの品質ではなかった
はっきり書いておきたい。生成されたコードの品質に、文句はない。 テストの緑は本物だった(私が別環境で実行して確認した)。要件番号はコードのコメントまで貫通し、境界値テストも監査ログのイミュータビリティも教科書どおりに実装された。
完走できなかった理由は、ただ一つ。クレジット——クラウド従量制という構造だ。レート制限で止まり、沈黙の空転が無料枠の4割を食い、月間上限が最後の扉を閉めた。SDDの約束(仕様から動くコードへ)は半分まで証明された。残り半分は、コードの問題ではなく完走できる実行環境の問題として残った。
では、どうするか。次回から、この検証で見えた問題を棚卸しして、解決の方向を探っていく。
今日のまとめ
実装は42タスク中23完了・テスト96本合格の地点で、月間無料枠50クレジットを使い切り終了
最後のタスクは「書いたら直す」ループの途中で止まり、赤いテスト4本が残った
チェックポイント(人間に聞く関所)は一度も実行されず、「下書き」の紛れ込みは最後まで残った
敗因はコードの品質ではなく、クラウド従量制という構造。無料枠でSDDを完走するのは、思っているより難しい
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