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漫画原作 作成にトライ!① うしろのヨーコさん(小説版)


■漫画原作にトライしてみる

創作大賞2025に向けて創作大賞2024の受賞作などを分析していると、「漫画原作部門」には多くの協賛企業がエントリーされているにも拘らず、賞を出したのはテレ東の一社のみなことが分かりました。

「漫画原作部門」の応募要項は

・あらすじ : 300字まで
・第1話 : 1万字まで(※ あらすじ、補足説明、2記事目以降のURLは文字数にカウントしません)
・第2話・第3話 : 4,000字まで(※ 第3話までの提出が必須です)

創作大賞2024 漫画原作部門 応募要項

上記の様になっており、2万字程度で応募できるのと、最初の3話が審査対象になるのとで、2万〜14万字で且つ長編が中心となる他の小説部門よりも応募しやすいのが特徴。私も創作大賞2024では「Bitter & Sweet」で応募しました。

ただ、ですね、この時は「漫画原作の書き方」を一切考慮せず、普通の短編小説として応募したのですが、今頃になって「果たしてこれで良かったのか?」と疑問に思ったしだいでして……

創作大賞2024でテレビ東京賞を取られた四の宮なななさんの「私刑ポスト」。

こちらも小説形式で書かれているので、形式は特に判断基準ではないのかも知れませんが、中間選考で「漫画原作部門」にノミネートされた40作の内、17作はいわゆる「漫画原作形式」で書かれていました(暇人なので数えました😅)。

応募要項に形式は指定されていないので、選考基準にはなっていないなのかも知れませんが、タテヨミコミック、少年マガジン、少年ジャンプ+、マンガMeeなど特に最近主流なWebタテヨミコミックを運営している会社は即戦力となる原作を求めていて、形式としても「漫画原作形式」が望ましいのでは? と感じてます。審査する編集者の方も日頃からその形式で見慣れておられるでしょうし。

私は今まで「小説形式」でしか執筆しておらず、「漫画原作形式」で書いたことがなかったのですが、創作大賞2025を目前に控えた今、この形式にトライしてみようかと思います。

■まずは原作となる小説の記述

いきなり「漫画原作形式」で書くのは難しいですし、ベースになる小説版の物語がないと形式の比較もできませんので、まずは元となる小説形式の物語を作ってみます。

タイトル

「うしろのヨーコさん」

登場人物

  • 主人公:三宝龍空(さんぽう りく)

  • ヒロイン:葛葉ヨーコ(くずのは よーこ)

あらすじ

今回の登場人物はこの二人。高校生の龍空は寺の息子でごく普通な高校生活を送っています。彼のクラスには葛葉ヨーコと言う、少し変わった女生徒がおり、すごく美人であるにも拘らず龍空以外のクラスメイトは彼女のことに無関心なのでした。

本文

 龍空が教室に入ると、お喋りに興じていた友人男子たちが挨拶してくれる。

「おはよう、龍空」
「おはよう。一限目は国語のテストがあったよね? みんな勉強しなくていいの?」
「ハハハ、今さらやってもどうにもなんねーよ」

 龍空も友人の輪に入ってしばし朝のお喋りを楽しみ、始業の鐘が鳴ったのに合わせて自分の席へと向かった。龍空の席は窓際で後ろから二番目。そして後ろの席には色白で黒髪の和風美人が今日も静かに佇んでいた。

「おはよう、葛葉さん」
「おはよう、三宝くん」

 一応挨拶すると、薄っすら微笑んで返してくれる。二人はその程度の関係でしかない……いや、クラスの全員、彼女とはほぼ関わりがないと言っていい。

 日本人形のように美しい黒髪に切れ長の目、薄めの唇にはリップを塗っているのかいつもツヤツヤだ。恐らくこの校内でダントツで美人だと思われる彼女だが、不思議と誰も周りには寄っていかないのである。存在を無視しているとか、そういうわけではない。誰もが彼女のことを認知しているし、そして美しいと思っていることだろう。しかしクラスメイトの他の女子たちは何故か寄り付かないし、男子も彼女に告白などする素振りも見せない。彼女もまた静かに佇んでいるだけで、そのことを気にかけている様子もなかった。まるで望んでそういう状態に身を置いているかのように。

 龍空は彼女の前に座っているせいもあって、内心とても彼女のことが気にはなっていた。ときどき後ろから視線を感じたり、威圧のような気配を感じたり……短いとは言え彼女とこれだけ会話しているのは恐らくクラスの中でも彼だけだろう。しかしその事を男友達に何か言われることもないので、『彼女はそういう存在なんだ』と無理やり納得して日々を過ごしてきたのだ。

 昼休み。今日もヨーコは自席でコンビニおにぎりを食べながら本を読んでいる。龍空は友人たちと机を囲みながら、チラチラと彼女の様子を伺っていた。周りの女子たちは彼女のことを誘ったりする様子もなく、彼女もまたそれを気にしてはいない。ただおにぎりを頬張りながら黙々と本を読んでいる。

『今日もいなり寿司だ……』

 好きなのだろうか、彼女はいつもおにぎり形のいなり寿司を食べている印象だ。食べ終わると席を立ち、しばらくすると戻ってきてまた読書。そんな彼女の行動を少しでも目で追っているのは、クラスの中に龍空しかいないのだった。どうして皆、あれだけの美人の挙動が気にならないのだろうか……龍空からすると不思議で仕方ないが、それを周りの友人たちに聞くのもはばかられた。『お前、葛葉に気があるのかよ!』とからかわれるのが目に見えているからだ。

 放課後、ヨーコは龍空以外のクラスメイトに気取られることもなく、静かに下校してしまう。

「………」
「どうした、龍空? お前、今日掃除当番だろ? 俺、先に帰るけど」
「え? ああ、うん。また明日ね」
「おう! じゃあな!」

 掃除当番のクラスメイトたちと教室の掃除を済ませて担任に報告。ヨーコから遅れること一時間ほどで龍空も下校する。龍空の家は高校から少し離れていて、駅からローカル線に乗って三十分。そこからまた歩くので通学には一時間以上かかってしまう。最寄り駅から山の方に向かって坂道を登り、そして最後に何段あるか分からないほど長い階段。

「はぁ……」

 目前の階段は空の彼方まで続いているのではないかと思えるほどで、慣れているとは言えいつも龍空を憂鬱にさせた。しかし、これを登りきらなければ家にたどり着かないのだ。重い一歩目をなんとか踏み出して登り始める。

 結構な時間を掛けて階段を登りきると、そこには寺があり、その横に平屋の住居。家は少し新しい建物ながら、寺はとても古くシンプルな作りながら存在感を放っている。場所が場所だけに正月や夏祭りの日以外に賑わうことなどなく普段の参拝者も稀なのだが、今日は本堂の前に人影があった。その後ろ姿を見て龍空はそれが同じ学校の生徒であるとすぐに気が付く。と、同時に参拝していた人影は振り返り彼の方を見た。

「葛葉さん!?」
「おかえりなさい、三宝くん」
「ど、どうして葛葉さんがウチの寺に!?」
「あら、私がお参りしてはダメだったかしら?」
「いや、そんなことはないけど……」

 喋りながら彼女の元へと行こうとして、少し離れた場所で足を止める龍空。境内の雰囲気が明らかにいつもと違っている。風もないのに木々がざわめき、境内の空気が軋んでいるように感じられた。そして何より、彼女の雰囲気が普段とは全くの別人のようだ。外見こそ教室にいるときと変わらないが、放たれる威圧的な雰囲気に危機感を覚えて足を止めたものの、彼女から視線を反らすことができない。

「葛葉さん……だよね?」
「そうだけど。なあに? おかしなこと言うわね」

 薄っすら微笑むとスゥーッと彼女の方から龍空に歩み寄る。逃げることもできず、気が付くと目の前に彼女の顔があった。頭の中では『ヤバイ、ヤバイ!』と自分の声が響くものの、金縛りに合ったように動けない。そんな龍空の顔にヨーコがそっと手を添える。

「フフフ、私の術をかい潜って私を見ていただけのことはあるわね。ここまでして自我を保てている人間なんて珍しいわ」

 その言葉と同時に、元々赤みを帯びていたヨーコの目が赤く光ったように見える。恐怖に似た危機感が龍空の中で一気に上昇し、彼女の手を軽く払って二、三歩後ずさって距離を取った。

「あ、あなたは何なんですか!」

 龍空のその行動に一瞬驚いたような表情をしつつもすぐに薄く微笑み、そして彼女の姿は龍空の目の前で驚くべき変貌を遂げるのだった。


次回、この文章を「漫画原作形式」にすべく、まずはその書き方に触れていきたいと思います。

※各話へのリンク

折角なのでシリーズを創作大賞2025のオールカテゴリ部門に登録しました。

完成!

こちらはオールカテゴリ部門には登録していないんですが、完成物はTALESでエンタメ原作部門にエントリーしております。読んでね!🦊