「食えるライター」以上の存在になる方法
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胸の奥をつかまれるような、切実な言葉。
打ち合わせを終えて帰宅し、Xのタイムラインを眺めていたら、そんな投稿が目に飛び込んできました。
ライター稼業の整理、ということをこの1年でものすごく考えるようになった。私を必要としてくれる人はいるにはいるが、彼らの提示するギャラでは全く生きてはいけない。今後は親の介護も一人っ子の私にきっとのしかかってくる。そもそも全然稼げていない。もう今までみたいには生きてはいけない(続 https://t.co/FVUg4KoIK3
— 白央篤司 (@hakuo416) August 31, 2025
詳しくはスレッドをご覧いただければと思いますが、ライターの白央篤司さんが、いまの報酬では生活が立ちゆかないこと、これから降りかかる介護の現実などから、そして「もう今までみたいには生きていけない」と綴っていたのです。
僕はYouTubeを始めた理由を綴った記事の中で「すでにテキストメディアは詰んでいる」ことを指摘しました。
ですので、「今さらこの話か」という気持ちがないといえばそれは嘘になります。しかし、親の介護などのリアルな現実や苦しみが滲む言葉に対して、ひどく胸が痛む。その方が勝る思いです。
筆者プロフィール:照沼健太
編集者・ライター・YouTuber。テレビ東京やNetflixのメディア運営、レディオヘッドら数々のアーティストのCD封入解説文、HIKAKIN、米津玄師、押井守、藤本タツキなどのクリエイターや多くのビジネスパーソンの取材を担当。2023年末からはYouTubeチャンネル「てけしゅん音楽情報」を運営(2025年2月末時点でチャンネル登録者数約5万人)。
そもそも、どうしてライターは食えなくなったのか

その後、白央さんのポストが話題になっているのを受けて投稿されたと思われる、編集者で文筆家の仲俣暁生さんのスレッドが流れてきました。
ライターにまとまったギャラを払えた時代の原資は巨大な広告収入で、雑誌広告市場が壊滅した時点で基本的には成り立たなくなったと私は考えてる(単行本系の構成ライターは別として)。広告市場がシフトした先はウェブ広告、とくにSNS(YouTube含む)なので、それを原資として支払いを受ける「ユーチュ…
— 仲俣暁生(『二〇二〇年代の同時代文学』発売中) (@solar1964) August 31, 2025
「ライターにまとまったギャラを払えた時代」は巨大な広告収入が原資だった、雑誌広告が壊滅した時点でそのモデルは基本的に立たなくなった。広告費はウェブ、とくにSNSやYouTubeへ移り、そこで直接支払いを受けるのはYouTuberやインフルエンサーである——そんな指摘でした。
かつては「広告だけで採算が取れる雑誌もあった」と振り返る言葉には、隔世の感がありますが、それだけ時代はドラスティックに変化したということでしょう。
……そして、実はこれは僕が半年前に書いたこの記事で示した認識と、そっくりそのまま同じと言ってもいい内容です。これは編集者視点やITへの知識を持っている僕と仲俣さんだからこそ見えている景色なのかもしれません。
食えるライターになるのではなく、それ以上になる

この半年、僕が繰り返し書いてきた「ダイレクトメディア論」は、まさにこの構造変化の裏返しでした。
他者(媒体)の広告原資に“ぶら下がる”のではなく、自分たちが読者/視聴者と直接つながり、小さくても持続する経路を編み直すこと。
僕の感覚では、もはや「記事を納めてギャラをもらう」という一点突破の働き方は、確率的にも心理的にも厳しくなっています。
そこで僕が目指してきたのが「食えるライター」より半歩先にいく。ダイレクトメディアとして“自分の面”を育てるという発想です。
「具体的に何をすればいいのか?」
難しい話ではありません。ライターの基礎技術(取材・構成・原稿)を核にしながら、配信・関係・決済を自分の手の届く範囲で束ね直すだけ。必要なのは「自分でメディアを持つ」という地味な選択と、それに続く実行と改善。その反復です。
これはライターに限った話ではないと思います。
どんな業界や職種だろうと、ずっと同じことを続けて成長できるほど甘いカテゴリはそうそう無い。だったら、新しいことをやるしかない。
「原稿料を上げてください」と交渉することが無駄だとは言いませんが、そもそもの原資が減っているんだから限度があります。

だから、新しいことを始めるしかない。
歴史を振り返れば、いつの時代も「自分でやる」人たちが、次の地形を先に踏んでいました。雑誌広告が潤沢だった時代に成立していた豊かな制作環境は、確かに眩しい。けれど、それを嘆いても豊かな“予算”は戻って来ません(僕はそんなもの体験したことありませんが……)。
そして、新しいことを始めるのは何より楽しい。そして、今ほどそれに適した時代はないと思います。
次の時代を作るために

今回、Xで話題になった二つのスレッド、白央さんの切実な声と、仲俣さんの構造的な視点は、業界の今を正直に映していました。
その両方を受け止めたうえで、僕はもう一度ダイレクトメディアの旗をはっきり立てたいと思います。
というか、この記事の冒頭で記した「打ち合わせ」が実はそれでした。
つまり、今回のXの盛り上がりよりも前に、次のことを決めていたのですが、その思いを強くしました。
僕たちのnoteメンバーシップ「Proプラン」では、これまで僕たちのYouTube収益公開などのリアルな数字から、新時代のための編集者・ライター講座/フリーランス講座などの仕事術をコンテンツとして提供して来ました。
それらの方向性はそのままに、「これからの時代の食えるライター/編集者になる」ために必要な知識やマインドセット、ノウハウに、よりフォーカスを当てた発信を「Proプラン」ではしていきたいと思います。
単なる“食えるライター”の指南を越えた、ダイレクトメディアになるための方法を、僕たちの失敗と成功をまるごと共有します。
繰り返しますが、目指すのは「これからの時代に食えるライター/編集者」ではなく、それ以上です。
そのためにはテキストメディアの知識や技術だけでは不十分で、音声や動画メディアへの知見も不可欠となります。(さらに言えば、それ以前にIT知識が不足している人があまりに多いと思います)
それらを引っくるめて有益なコンテンツ、そして、おこがましいですが僕たちみたいになるための情報を余すことなくご提供していきますので、ぜひご参加いただければ幸いです。
ちなみに月1で質疑応答や相談ありのZoomイベントもProメンバー限定で始めました。ぜひこちらもチェックしてみてください!
(照沼健太)
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