テニス上達メモ568.「ええかげんでええ」──大きな声より、確かな中身
今年も「早かった」と感じた人は、きっと幸せ。12月22日のNHK『クローズアップ現代』総集編を見て、料理研究家・土井善晴先生の言葉が、あらためて胸に残りました。レシピに頼りすぎると、感性は鈍る。これはテニスにも、そのまま当てはまります。正解探し、完璧主義、大きな声──その先にあるのは何? 「ええかげん」が、人を前へ進める話。
▶今年も早かった人は幸せ
12月22日のNHK『クローズアップ現代』は、「クロ現が伝えた2025」がテーマの拡大スペシャルエディションでした。
今年を振り返る。
早いものです(関連記事「2時間が20分になる体験」)。
こちらでご登場いただきました料理研究家・土井善晴先生の回も、ダイジェストで再放送されました。
その時には言及し切れなかった「新たな感銘」がありましたので、ここにシェアしますね。
▶レシピを捨てると、感性が戻る
レシピを見ずに、料理を作るご提案。
土井先生は、「何かに頼ることに頼りすぎた」結果、「自分の感性、自分の勘を鈍らせてきた」のだと、厳しくお叱りになります。
そして「自分でええかげんに考えることが幸せになる力」だと、優しく諭してくださいます。
「レシピを見ないで作る料理」とは、 私なりに意訳すると「フォームを意識しないテニス」です。
「料理に正解はない。いつも違う」と土井先生。
「フォームに正解はない。いつも違う」のです。
だってプレーヤーには、「事情」があるのですから。
だからフォームは、「ええかげんでええ」のです(にっこり)。
▶金は有限、欲望は無限
個人的に振り返ったのは、12月6日放送「令和のゴールドラッシュ」。
これまでに人類が採掘した金の総量は、オリンピック競泳が行われる50メートルプールの約4杯分なのだとか。
今はもう、地中に残る金の埋蔵量は、残り約1杯分だそうです。
案外、多いのか少ないのか……。
どう受け取るかは、欲望の総量しだい(いやはや)。
▶「令和のゴールドラッシュ」その光と影
そんななか日本は今、海外企業が注目するゴールドラッシュの兆し。
海外では、鉱石1トンに含まれる金の含有量は平均2~3グラムなのに対し、菱刈鉱山は平均20グラム、山ケ野地区は最大45グラムだというのです。
急にシャベルを持ちたくなります(いやはや)。
とはいえ、そんなゴールドラッシュも「光と影」。
輝かしい金の「光」ばかりを見がちだけど、その異常な高騰の裏には、世界情勢の不安定な「影」が反映されているのだそう。
▶楽しさと苦しさは、同じ場所にある
噛み締めたい「苦楽表裏」。
楽しむフェデラーと苦しむイチローは、結局同じことを言っていたのでしたね(関連記事「フェデラーは光、イチローは影──その『表裏』が人を強くする理論編」)。
その本質はむき出しの「一切皆苦」です。
勝った美酒は美味しいのだけれど、その前提として、負けの辛酸を嘗める苦しみが必要。
▶「大きな声より、確かな中身」by山里亮太
そして番組の締めくくりは、「2026年に思うこと」。
ゲストで招かれた南海キャンディーズの山里亮太さんは、「大きな声より確かな中身」と書き表しました。
その心は?
奇しくも元NHK武田真一アナウンサーが語った、「洒落た修飾語がなくても、心に落とし込める言葉があればいい」と、ぴったり符号です(関連記事「本当に『いい天気』なのか?──テニス上達情報との距離感」)。
ええ、大きな声は、通りやすい。
けれどそれは、「声が大きい」というだけの、表面的なただの現象。
「本質」とは、対義なのでしたね。
▶声量と中身は、比例しない
「魔法の~!」「奇跡の~!」といった声の大きな修飾語が、今も目立ちます。
しかし山里さんや武田アナの言葉を借りれば、声が大きい、大げさな修飾語を使う人や記事に限って、中身が薄く見えてしまう――そんなことも、少なくないのではないでしょうか。
科学雑誌『ニュートン』や『サイエンス』に、科学とはまったく馴染まない「魔法のフォアハンド」は、特集されないのでしたね。
中身が濃い内容は、論理が整っていないと上手く伝わらないから、必然的に理路整然と語られざるを得なくなるのでしょう。
声の大きさと中身の濃さ。
その非相関性は高いと、個人的には思っています。
▶怒鳴る指導は、教育ではない
指導や教育に見せかけた怒鳴る人格攻撃なども、「大きな声」のひとつでしょう。
貶めるだけが目的のコミュニケーションになっていないか?(関連記事「手段が目的化する」)。
たとえば、SNSやコメント欄で見かける「そんなことも分からないの?」「常識で考えれば分かるでしょ」といった類の言い回しはどうか?
光る情報提供もある裏に、単に不安だから発せられる苦しみの影もありそうです(関連記事「いつになくポジティブなヤフコメ」)。
▶「いつも」「みんな」に要注意
テニス指導でも、同じ構図を目にします。
「おまえはいつもそうだ!」
「みんな頑張ってるんだぞ!」
言われた側は、反論しづらいですよね。
でも客観的に聞くと、「いつも」って、いつ?
「みんな」って、誰?
「その時々」だし、「人それぞれ」です。
プレーヤーには、「事情」があるのですから。
だから、「ええかげんでええ」。
▶「ええかげん」だから、人は前へ進める
私たちは人ですから、完璧にはできません(関連記事「『大人になる』ということ」)。
レシピを見て完璧に作ろうとするほど、もう投げ出したくなるのです。
その「ええかげん」が、前へ進むコツだからです(これも「限界手前最強説」です、ね)。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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テニスゼロ代表
吉田無型(よしだ・むけい)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero