猫のようなAIと暮らしたい(1)コンセプト編
1. アイデア
Q1. 自分専用のAIを作りたいです。以下の要件を整理してもらえますか?
自分専用というのは、私のことを知っていて、私が自分のことをその都度説明しなくてもいいという意味です。
利用目的
おしゃべり
示唆・啓発:発言に関連するニーチェや岡本太郎の箴言をつぶやく
ヘルスケア:Google Health Premiumを利用中なのでそれと連動
メンタルケア:相談相手になる
秘書:パソコンやネットを使う作業をお任せできる
イメージ(どんな存在か)
猫:気まぐれにちょっかいをかけてきて、かまってやると満足する
リソース
Mac Studio(M4 Max、36GBメモリ):ローカルLLMとクラウドAIのハイブリッドを想定
StackChan:Embodied AI を想定

2. 要件の整理
A1. Claude Fable 5 > いいですね、要件がすでにかなり具体的なので、開発仕様書に近い形まで整理できます。「自分専用=説明不要」という核心を軸に、機能・人格・技術の3層に分けてみます。
コアコンセプト:あなたの文脈を持ち続ける、猫のような相棒AI
すべての機能の前提となるのが永続的な個人メモリです。ここが普通のチャットAIとの最大の差別化点なので、要件の最上位に置くべきです。
プロフィール層:固定的な情報(生活状況、あなたの創作活動、健康履歴、好みの話題など)
エピソード層:日々の会話ログの要約を蓄積(「昨日話してた原稿どうなった?」ができる)
状態層:直近の気分・体調・進行中のタスク
プライバシーの観点から、この「記憶(永続的な個人メモリ)」はMac Studioのローカルに保存が望ましい(クラウドLLMに渡すのは会話に必要な部分だけ)
(1) 機能要件(F層)
おしゃべり相手
受け身だけでなくAIから話しかける能動性が必須(これが猫らしさとも直結)
トリガー例:時間帯、前回の会話からの経過時間、Google Healthのデータ変化、ニュース
示唆・啓発
発言内容にニーチェや岡本太郎の箴言を関連づけて「つぶやく」
実装的には箴言データベース+ベクトル検索(RAG)が素直。会話の埋め込みと箴言の埋め込みの類似度でマッチング
頻度制御が重要(毎回やると説教くさくなる。猫の気まぐれ性と統合して「たまに深いことを言う」くらいが良い)
ヘルスケア連携
要件:睡眠・歩数などのデータ読み取り→会話への自然な反映(「昨日あまり寝てないね、今日は無理しないで」)
メンタルケア
日常会話からのさりげない気分トラッキング(問診ではなく)
一定のサインが続いたら人間(医療・相談窓口)につなぐ境界線を最初から仕様に書いておく。これは今のうちに決めておくのが一番設計しやすい部分です
秘書
PC・ネット作業の代行=エージェント機能(ファイル操作、ブラウザ操作、スケジュール管理)
技術的にはMCP(Model Context Protocol)ベースのツール連携が現在の主流
(2) 人格要件(P層)
気まぐれな能動性:定期実行+乱数で「ちょっかい」を出す(通知、StackChanが動く、ひとこと言う)
かまうと満足する:応答したら機嫌が良くなる内部状態(シンプルな「機嫌パラメータ」で十分表現できる)
逆に、秘書モードのときは有能に切り替わる——「モード」の概念を持たせると、猫らしさと実用性が両立します
(3) 技術アーキテクチャ(T層)
Mac Studio(M4 Max / 36GB)= 頭脳兼ホーム サーバー
ローカルLLM:36GBだと実用ラインは30Bクラスの量子化モデル(Qwen系など)。日常会話・気分トラッキング・箴言マッチングはローカルで十分
クラウドAI:複雑な秘書タスク、長文の創作相談などは Claude API 等に振り分け
振り分け基準を要件化:「個人情報・健康データを含む処理はローカル優先」「高度な推論はクラウド」のようなルール
StackChan = 身体
StackChan側は音声入出力と表情・首振りのみ。処理は全部Mac StudioにWi-Fiで投げる構成が現実的
音声パイプライン:STT(Whisper系ローカル)→ LLM → TTS(VOICEVOX等)
「猫のちょっかい」の物理表現(こっちを向く、鳴く)はStackChanが一番活きる部分
次に決めるといい3点
名前と口調
人格設計の起点。仕様より先にこれがあると全体がまとまりやすい
MVP(最小構成)をどこにするか
個人的なお勧めは「①おしゃべり+メモリ」だけをまずMac上で動かすこと。②〜⑤とStackChanは後から足せる構造にする
3. キャラクター設計と開発順序(案)
Q2. 名前と口調、そして「どこから始めるか」を考えました。
(1) 名前:ClawChan(クロウチャン)
ClawChanという名前を考えています。StackChanとOpenClawという「流行りもの」二つを安直に組み合わせただけですが
OpenClawの使用は前提というわけではなく、AIエージェントの代名詞的な意味で使っています
画像はGrokに作ってもらったものですが、決定稿ではありません

(2) 口調:語尾に「のだー!」「なのだ!」が付く
イメージソースは、アニメ『けものフレンズ』に登場する「アライさん」
StackChanは2台あります。この2台を使って、マンガ表現で言うところの「天使と悪魔」を演じてもらおうと考えています。この「天使と悪魔」のイメージソースは、アニメ『魔法の天使クリィミーマミ』に出てくる主人公の少女のお供役、「ポジ」と「ネガ」です

ポジの声は女の子、ネガの声は男の子です。「子」と書きましたが、口調は普通の大人の女性、男性でした。そこで最初の1台の口調は「お節介なお姉さん」かなあ?と思ったのですが、それもちょっと違う……
その時思い出したのが、アニメ『けものフレンズ』に登場する「アライさん」と「フェネック」のコンビです。

元気一杯でポジティブな(ポンコツとも言う)アライさんと、冷静な突っ込みを入れるフェネックのコンビがいい感じだったので、最初の一台の口調は「アライさん」にすることにしました。
(3) どこから始めるか
開発の難易度は分からないので当てずっぽうですが、Mac側の開発とStackChan側とを分けて
頭脳の開発:「①おしゃべり+メモリ」だけをまずMac上で動かす
私に関する理解力の強化:③ヘルスケア、④メンタルケア
実用性の追加:⑤秘書
上記を先にやってしまい、その後で
StackChanと会話できるようにする
1の「頭脳」とStackChanのマイク、スピーカーを連携する
StackChanと目線を合わせて会話できるようにする
M5Stack LLM Module を追加する
能動性の追加
②示唆・啓発
感情表現を追加(表情変化、LEDの発光、首振り動作)
手を振る機能を追加
「天使と悪魔」機能を追加
4. 評価
(1) キャラクター設計
A2. ClawChan、良い名前だと思います。「爪」が猫のモチーフとも綺麗に重なっていて、単なる流行語の合成以上の必然性が出ています。

そして「アライさん×フェネック」の構図は、ポジ・ネガの翻案として実によくできています。天使と悪魔の古典的な「善 vs 誘惑」ではなく、「猪突猛進 vs 冷静なツッコミ」という軸に置き換わるので:
1台目(アライさん系・のだ口調)= 能動性担当。ちょっかい、励まし、思いつきの提案。「猫の気まぐれ」との相性も抜群です
2台目(フェネック系・落ち着いた男声寄り)= 抑制担当。「それ、締切大丈夫ー?」的な現実チェック
これは演出面だけでなくシステム設計としても合理的で、④メンタルケアの安全設計と綺麗に対応します。
ポジ役が共感・傾聴し、ネガ役が「最近眠れてないみたいだねー」と客観データ(③ヘルスケア)を指摘する、という役割分担がそのまま実装アーキテクチャになります。
副産物として、②の箴言機能をアライさん口調で出力すると「神は死んだのだ!」になるわけですが……これは意図的な味として活きる気がします。岡本太郎の「爆発だ!」系とは特に相性が良い。
一点だけ実務的な注意を。自宅での個人利用なら何の問題もありませんが、将来AITuber的に公開配信する場合は、特定キャラクターの口調・声の再現度が高すぎるとIP的にグレーになるので、「インスパイア元」程度の距離感に調整する余地を残しておくと安心です。
(2) 開発順序
結論から言うと「Mac側を先に完成させる」をベースに、StackChan開発の「薄い版」だけ早期に挟むのをお勧めします。つまり:
「頭脳」の開発
StackChan疎通スパイク←ここに挟む
理解力の強化
秘書機能
「身体」(StackChan)開発の本格化
「天使と悪魔」
理由は3つあります。
第一に、価値の中核は頭脳側にあるからです。
「説明不要の自分専用AI」という要件の本体はメモリとペルソナであり、StackChanはその出力装置です。頭脳が賢くなれば身体は後から切り替えられますが、逆は成り立ちません。
第二に、それでも「薄い版」を早期に挟むのは、ハードウェア統合が最大の未知リスクだからです。
StackChan(CoreS3)のマイク品質、Wi-Fi経由の音声ストリーミングの遅延、TTSの応答速度——これらは実際に繋ぐまで分かりません。
「オウム返しするだけ」の最小疎通を先に1回やっておけば、後の 4.会話 / 5.目線 / 6.能動性 で詰まるポイントが早期に見え、Mac側の設計(音声APIの口をどう開けておくか)にも反映できます。
案を素直にやると、Mac側を作り込んだ後で「音声インターフェースの前提が違った」と手戻りする恐れがあります。
第三に、モチベーションです。
個人開発は「動くと嬉しい」の間隔が長いと止まりがちなので、早い段階で一度StackChanが喋ると開発が続きます。
これは冗談ではなく個人プロジェクトの成否を分ける要素です。
補足:5.目線 で使われるLLMモジュールについて

これは視線追従(顔検出)とオンデバイス推論の両方に使えますが、頭脳はMac Studioにあるので、ClawChanにおける実質的な役割は「目」(カメラ+顔追跡)とウェイクワード検出になります。
LLM機能はほぼ使わない前提で、視覚センサーとして買う、と整理しておくと期待値がずれません。
(3) 運用に関する提案
もう一つだけ運用の提案を。各フェーズの終わりに「ClawChan開発日誌」としてSNSに投稿すると、活動記録にもなり、界隈からフィードバックも得られて一石二鳥かと思います。(筆者注:本稿がその第一回です)
To be continued...
Q3. では、開発ロードマップと要件定義(機能・人格・技術の3層)をまとめて下さい。
A3. 了解です。ではこれを開発ロードマップとして固めます。
全7フェーズ、各フェーズに「目標・主なタスク・完了条件」を付けました。完了条件を明確にしておくと、個人開発で一番怖い「いつまでも完成しない病」を防げます。
また、ロードマップに合わせて要件を再整理します。今回は「層の説明→その層がどのPhaseで育つか」という縦糸で通します。
というところで、次回に続く「のだー!」
<目次>猫のようなAIと暮らしたい
(1)コンセプト編←いまここ🐱
(2)開発ロードマップ編
(3)要件定義編
(4)環境構築編
(5)Phase0-1:LLMモデルとクラウドAPIの選定
(6)Phase0-2:LLMモデルの比較(実測結果)
(7)Phase0-3:クラウドAPIの疎通テスト
