デジタルで働き方をアップデート⑤ ~「社内資料」をなんとかしたい
▶はじめに
「社内向けの資料なのになんでそんなに時間かけるの?」
「あの人の企画書コテコテで結局何が言いたいのか分からない」
社内向けの資料を作成するとき、どのようにしていますか?パワーポイントやエクセルなどの文書作成ツールを使って、見栄えの良い資料を作ろうと時間をかけていませんか?それとも、印刷して配布したり、メールに添付して送ったりしていませんか?
もしそうなら、あなたは社内資料の作成と活用に関する大きな課題に直面していると言えます。それは、社内資料のデジタル化が進んでいないことです。社内資料のデジタル化とは、紙やファイルとして残される資料ではなく、Webコンテンツやデータベースとして保存される資料にすることです。
「デジタルで働き方をアップデート」の5回目のテーマは、主に企画書や提案書と言った社内資料のデジタル化についてです。社内資料のデジタル化がなぜ必要なのか、どのようなメリットがあるのか、どのように実現できるのかを解説します。
▶︎凝った資料=頑張った証なのか?
昭和から平成の時代は、紙やファイル中心のコミュニケーションが中心でした。資料を作成して印刷して会議で配布し、会議後には参加者に議事録と共に資料をメールに添付して送付するスタイルです。印刷するわけですから見栄え良くしようと頑張ってレイアウトや色やイラストをふんだんに使います。特に、成果報告書は上層部へのアピールなわけですから、実施事項や成果などを細かにに書き込むのです。
「いや~、俺頑張ったなあ。これで頑張ったアピールできるよなあ」
昔はこれで良かったんです。昔は。でも今はどうでしょう?特に組織のマネージャーが、昔の考え方から脱却できず従来の仕事のやり方をいつまでもメンバーに押し付けていると、部下はそのあおりで業務の多くを上から指示された資料作成に費やすことになるのです。
具体的には、以下の「文書作成ツールを使う事が多い社内文書」に焦点を当てていきます。
システム化が進んでいる社内文書
稟議、上申、申請
通知、通達
社内報、社内ニュース、案内文
社内アンケート、社内意識調査
文書作成ツールを使う事が多い社内文書
企画書、提案書
社内規程、手順書、マニュアル、要領書
報告書(プロジェクト報告、不具合報告、日報、出張報告)
▶︎なんとかしたい1:コスト
社内資料の作成をコストに換算すると年間いくらになるか知っていますか?
ある企業の場合、従業員が、1週間で2時間の資料作成やまとめをしたとします。その従業員の時給が3,000円だとすると、年間で12,000時間、約3,600万円の人件費がかかります。さらに、資料を印刷して配布する場合、1枚10円として、1回につき10枚の資料を100人に配るとすると、年間で12万円の印刷費がかかります。また、資料をメールに添付して送る場合、1回につき1MBの容量を使うとすると、年間で12GBの通信費がかかります。これは、月額1,000円のインターネット回線を使うとして、年間で1,200円に相当します。これらのコストを合計すると、年間で約3,612万円のコストがかかることになります。
このように、社内資料の作成には、意外と高いコストがかかっているのです。社内資料の作成にかかるコストを削減するには、どうすればよいでしょうか?答えは、社内資料のデジタル化です。社内資料をWebコンテンツやデータベースとして保存すれば、印刷費や郵送費などの経費を削減できます。また、文書作成ツールを使わずに、テンプレートやマークアップ言語を使って資料を作成すれば、人件費も削減できます。社内資料のデジタル化は、コスト削減の効果が高いのです。
では、社内資料作成にコストがかかってしまう原因はどこにあるのでしょう?一つは「マネジメント放棄&仕事丸投げマネージャ」という仕事のスタイルの問題です。そんなマネージャは下記の行動をとりがちです。
毎日毎日Excel見ながらポチポチとセルの整理やレイアウト変更をしている管理職や、自分が理解できない仕事を部下に任せっきりにしておいて、決裁するために説明資料を用意しろ、と言う….
原因のもう1つは、資料さえ作っていれば仕事してる雰囲気を醸し出す(仕事ごっこ)というメンバー側の意識です。そう、メンバーにもコスト意識が欠落した人がいるとコストの垂れ流しになります。しかし、但し本当は辞めたいのに上司や周りからの同調圧力に屈しているケースもあるので一概にそのメンバーの責任だけとは言えないのが辛いところです。
▶︎なんとかしたい2:伝わらない
社内資料の作成には、コストだけでなく、伝わりやすさも重要です。社内資料は、自分の考えや提案を相手に伝えるためのツールです。しかし、文書作成ツールを使って作った資料は、見栄えは良くても、内容が伝わらないことが多いのです。なぜなら、文書作成ツールは、資料の形式やレイアウトに注力しすぎて、資料のロジックやメッセージに注力しないからです。
では、社内資料(提案書や企画書)の作成において、伝わりやすさを高めるには、どうすればよいでしょうか?
答えは、デジタル化です。社内資料をWebコンテンツやデータベースとして保存すれば、資料の形式やレイアウトに縛られずに、資料のロジックやメッセージに集中できます。また、Webコンテンツやデータベースは、動画やデモなどのマルチメディアを活用できるので、資料の訴求力を高めることができます。社内資料のデジタル化は、伝わりやすさの向上の効果が高いのです。
企画書や提案書を「パワポ(Microsoft PowerPoint)だけ」で完結している人は、以下に紹介する「ハイブリッド方式」に移行すると企画提案が伝わりやすいものになるでしょう。
伝わる企画提案ための「ハイブリッド方式」 とは?
一言で表すと、noteやblog、社内ポータルのようなWebコンテンツに必要に応じてPowerPointのプレゼン資料や動画やデモを埋め込むという方法です
ハイブリッド方式の企画提案書
1.全体構成(メッセージ・ストーリー・訴求点)をテキストで作る
2.重要なメッセージやコンセプトを決めたらタイトルと章立てを決める
3.過剰な装飾、意味のないイラストは使わず上記をWebコンテンツで作る
4.マトリクス図、俯瞰図、スケジュール等、ビジュアルでの訴求が必要な部分に絞ってPowerPointで資料化してWebコンテンツに埋め込む
5.PowerPoint資料は、文字は大きく20pt以上、1テーマ1スライドで
6.最も訴えたい内容は、動画やデモを使い、Webコンテンツに埋め込む
企画提案の発表の場である「プレゼン」については、ここでは省略しますが、元マイクロソフト執行役員の澤円さんの動画が参考になるのでご覧ください。
▶︎なんとかしたい3:探せない
社内資料の作成には、コストや伝わりやすさだけでなく、検索性も重要です。社内資料は、自分の考えや提案を伝えるだけでなく、他の人の考えや提案を参考にするためのツールでもあります。しかし、文書作成ツールを使って作った資料は、検索性が低いのです。なぜなら、文書作成ツールは、資料をファイルとして保存するので、資料の内容を検索するのが困難だからです。
社内資料の作成において、検索性を高めるには、どうすればよいでしょうか?
答えは、デジタル化です。社内資料をWebコンテンツやデータベースとして保存すれば、資料の内容を検索するのが容易になります。また、Webコンテンツやデータベースは、資料の更新や共有も簡単にできるので、資料の最新性や正確性も高めることができます。さらに、社内資料にはその企業や組織の業務ノウハウや個人のナレッジが詰まっているため、デジタル化による効果が非常に高いと言えるのです。
さて、そのような社内資料はどこに置いたら探しやすくなるのでしょうか?
社内ナレッジとして蓄積すべき情報は、SharePointOnlineやGoogle Workspace、KINTONEのようなWebベースの社内ポータルや、Teams上のドキュメントライブラリにコンテンツを集約することをオススメします。
▶なんとかしたい4 ・活用できない
社内資料のデジタル化の必要性について、これまでに①コスト・②伝わりやすさ・③検索性の観点から説明しました。最後に、もう一つ重要な観点があります。それは、④データ活用です。社内資料は、単に情報を伝えるだけでなく、その情報を分析したり、他の情報と組み合わせたり、新たな価値を生み出したりするためのツールでもあります。しかし、文書作成ツールを使って作った資料は、データ活用が難しいのです。なぜなら、文書作成ツールは、資料をファイルとして保存するので、資料の内容をデータとして扱うのが困難だからです。
社内資料の作成において、データ活用を高めるには、どうすればよいでしょうか?
答えは、デジタル化です。社内資料をWebコンテンツやデータベースとして保存すれば、資料の内容をデータとして扱うことができます。また、Webコンテンツやデータベースは、資料の内容を可視化したり、集計したり、分析したり、予測したりすることができます。社内資料のデジタル化は、データ活用の向上の効果が高いのです。
社内資料を「活用」という観点で比較してみました。

相手に対する訴求力では当然、手書きやファイルに優位性がありますが、欲しい情報にすぐに辿り着ける(文字を検索すると見つかる)、関係者全員に対して即時に情報が伝わる(回覧時間の短縮、更新即時に伝達 時間のロスなし)、情報の再利用ができるという点においては、「テキストデータ」で保存する方が圧倒的に効果が高いのです。
デジタルが主流の時代には、社内資料をデータとして活用することが重要だという事が分かりますね。具体的には以下のような活用できる方法に変えていく事をお勧めします。
社内報や社内ニュースをブログやSNSとして公開し、コメントやいいねなどのフィードバックを受け取る
企画書や提案書をWebページやスライドショーとして公開し、アクセス数や滞在時間などの指標を測定する
報告書や成果物をデータベースやダッシュボードとして公開し、グラフやチャートなどで視覚化する
アンケートや意識調査をフォームやアプリとして公開し、回答データを集約し、分析し、予測する
申請手続きの方法を動画マニュアル化し、SharePointなどの社内ポータルで公開していつでもどこでも利用者が確認できるようにする
▶︎AI時代はデータが必要!
さらに、大規模言語モデル(LLM)や画像認識などAI技術の発達により、人工知能(AI)を駆使して日常業務を劇的に改善することができる時代に突入しています。ChatGPTをはじめとする生成AIの普及は、明らかに世の中全体がデータを活用した働き方へシフトし始めたことを意味します。来たるべきAI時代を見据え、過剰な装飾や見た目に拘った紙の資料やアウトプットは控え、自社のナレッジとしてコンピュータで処理し易く、AIの学習に再利用できるテキストデータで保存する事を進める事が重要ではないかと感じる今日この頃です。
▶︎最後に
令和の時代になり、「頑張った感満載の資料を出せばそれが成果として認められる時代」は終わりました。特にマネージャーは、新しい働き方にシフトしながらチーム全体の生産性を上げ、最小のリソースで最高の成果を出す事を求められており、今回のテーマである資料作成やコミュニケーションに関しては、次のような行動が求められているはずなのです。
資料作成以前の「データ」を分析し、課題を把握し、素早く判断をする
「スピード感」をもったコミュニケーションで関係者と密に情報共有する
チャット等の「テキストコミュニケーションを駆使」して、対面で会ったことのない人(例:海外やリモートでつながった人)と共創する
今回取り上げたのは、社内資料を効率良くするためのコツではなく、仕事のやり方仕方をアップデートする方法と、組織や企業が変革するために考え方をアップデートする方法なのです。来るべきAI時代に備え、我々マネージャは意識を変え、アップデートしなければいつまで経っても成果は出ません。最後に、組織変革や企業文化のアップデートに必要なものをワークショップ形式で学べる「組織変革Lab」と最先端のワークスタイルを紹介しているコンテンツ「サイボウズ式」を紹介します。
