バック・トゥ・ザ・スクール──2002年、“未来への手紙”【島ICT#09】/離島のデジタルデバイド編
前回は、5分の通信が人と人をつないでいた時代を振り返った。
不便さの中にあった“人の温もり”こそが、島のICTを支えていた。
今回は、その同じ頃に学校だよりへ掲載した自作コラムを紹介する。
インターネットがまだ珍しかった時代、島の保護者にその魅力を伝えようと書いた一文だ。
読み返すと、あの頃の空気と、島から未来を信じていた自分の思いが蘇る。
前回の話👇 【離島ICT08へのリンク】
勤務した離島の当時のインフラ状況とは👇👇
離島の小学校で,一小学校教諭が当時の島のデジタルデバイドに挑戦しました。
今から約20年以上前の2002年(平成14年)4月からのお話です。
※注:本文中の一部地名や商品名等は仮名(かめい)にしています。
【目次挿入】
1.もう一度、2002年の教室へログイン
「なるほど!総合的な学習 離島の総合的な学習の時間おさかな天国解説編#03」で、当時の学校だより『ともづな』を紹介した。👇👇👇
そこには、自分が寄稿していたコラムがいくつも残っている。
読み返していて思わず笑ってしまったのは、2002年の自分が「20年前には存在しなかった」と書いていること。
つまり、その時点ですでに1980年代を懐かしんでいたわけだ。
そして今、2025年の私は、その2002年の文章を読みながら、また過去を振り返っている。
まるで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のように、時間を何度も行き来している気分になる。
あの原稿には、そんな“時代の重なり”の面白さがある。

思えば、2002年のあの頃、島ではまだ家庭にパソコンがある家は少なかった。
いやほとんどなかったと言ってもいいだろう。
学校にも衛星回線こそあったが、接続制限が厳しく、常時接続という言葉にはまだ現実味がなかった。
そんな中でも、少しでも地域にインターネットの魅力を知ってもらいたいと思い、保護者向けに書いたのが、次のコラムである。
今回は、その全文を当時のまま紹介する。
もちろん、SNSもスマホも存在しなかった20年前の時代の話として読んでほしい。
2.2002年に書いたコラム:インターネットでできること
💾 はじめに
高度情報化社会と言われて、ここ最近の科学技術の発展はめざましいものがあります。
携帯電話、CD、デジタルカメラなど、20年前にはほとんど存在しなかったようなものが、今では当たり前のようにあります。
家庭用パソコンやインターネットも、そのひとつでしょうか。
🧠 パソコンとの出会い
私のパソコン歴は、約10年ぐらいになります。
それまでは、すでに姿を消してしまったワープロ専用機というものを使っていました。
パソコンを使い出した初期は、もっぱらいろいろなソフトで仕事や趣味に使っていました。
パソコンで作った記録等は残しておけるし、また手直しの手間もそれほどかかりません。
「なんと便利なんだろう」と思いました。
ただ、当時のパソコンは今のように見やすい画面ではなく、黒い画面に文字を打つとか、特別な暗号のようなもの(コマンド)があったりと、決して使いやすいものではありませんでした。
やがて、パソコンを1台だけで使うのではなく、いろいろな別のパソコンとつなぎ情報のやりとりができるようになるということを知りました。
いわゆるネットワークというものです。
最初はパソコン通信でした。
これは文字だけのやりとりなのですが、現在のインターネットの前身のようなものです。
インターネットは、ここ2、3年で爆発的に普及しました。
私の場合は、パソコン通信から切り替えたので、6年ぐらい前のインターネットが普及する前からしています。
当時は電話の通話料と同じだけの料金を払っていたので、電話代もバカになりませんでした。
🌐 インターネットが“当たり前”になるまで
最近では、「パソコンを使うといえば、インターネットができて当たり前」といったような感もあります。
例えば、パソコンのソフトや周辺機器(プリンタ)などの調子が悪いときは、メーカーがインターネットを通じて修正プログラムを配るようになっています。
他にも、インターネットを通じて自分がしたことを中心に、どんなことができるのか、具体的に書いてみたいと思います。
💡 インターネットでできること(当時の視点)
🛍️ 買い物(ネットショッピング)
私は、本などを注文したことがあります。
🧳 予約・手続き
旅行の際の交通機関のチケットや宿泊の予約をとりました。
💬 コミュニケーション
教師という仕事は地域に密着しているので、他県の先生方と知り合う機会というのはそれほど多くありません。
しかし、インターネットを通じて、いろいろな方と今も情報交換をしています。
🎬 映画・音楽
最近は通信速度が速くなり、有料ですが映画や音楽の配信もあるそうです。
🔍 情報の検索・調査
最もよく活用するのがこれです。
具体的には、ニュース、スポーツ試合速報やテレビ番組表、天気予報などです。
これらはテレビ番組と違い、自分が見たいときにいつでも見ることができます。
他にも、気になる言葉を調べたり、地図を表示させたり、宅急便の荷物が今どこに行っているかを調べるサービスまであります。
🏝️ 離島から見た“ネットのこれから”
さて、青波島地区(仮名)ではパソコンによるインターネット環境が十分に整っていませんが、日本でのインターネット接続世帯数は50%を超えたという話も聞きます。
より便利で豊かな生活のために、今後ますますその必要性が高まってくるのではないかと思います。
3.見えない橋のその先へ
この文章を打ち込んでいた夜のことを、今も覚えている。
机の上にはノートパソコン一台、つながる相手は誰もいない。
それでも「いつか島の人たちが、この画面の向こうとつながる日が来る」と信じていた。
あれから二十数年。
いまや児童も保護者もスマホを手にし、オンライン会議やクラウド教材が当たり前になった。
だが、その原点には、あの頃に打ち込んだひとつひとつの文字がある気がする。
あの原稿は、未来への“呼びかけ”だったのだと思う。
海に囲まれた島で、インターネットという“見えない橋”をかけようとした、あの日の小さな挑戦。
その橋の先には、まだ続きがある。
島のデジタル格差を越えていく、次の物語へ。
次回へ続く・・・👇👇
離島のデジタルデバイド編マガジンはこちら👇👇👇
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただいたお気持ちは、子どもたちの学びを物語として発信し続ける力となり、教育の現場で役立つヒントへとつなげていきます。