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紙テープの向こう側【島小②#46】/離島の小学校編Season2 46

今回は、離島の小学校編Season2・・・島で過ごした2年目の日々の最終回となります。

年度末を迎えた島の学校では、修了式や離任式、そして連絡船での見送りが続いていました。
雨の港に伸びる紙テープを見送りながら、1年間を走り抜けた充実感と、次の年度へ向かう少し不思議な高揚感が入り混じっていたように思います。

児童4人になる新年度を前に、島の学校はまた少しずつ形を変えようとしていました。


1.春の嵐の中で

3月の終わりが近づき、島の学校も年度末の空気に包まれていました。

その日は、まるで春の嵐のような天気でした。
午後になるにつれて風も雨も強くなり、海の色まで灰色に変わっていきます。

前日の夕方、本土で用事があったため、年休を取って翌朝の1便で島へ戻ることになりました。

島へ着いて早々、全校体育です。
ところが、その日は1年生の男の子が欠席で、体育館には女の子3人だけでした。
縄跳びをしたあと、みんなでバドミントンをしました。
打ち返したシャトルがあちこちへ飛んでいき、そのたびに笑い声が上がります。
見ているうちに、「来年度は課外活動としてやってみてもいいかもしれんな」と思い始めていました。

以前、山の学校で指導していたこともあります。

人数が減るなら減るなりの学校の形があるのかもしれない。
そんなことを考えながら、体育館の様子を見ていました。

放課後は、緑の少年隊の実績報告書づくりや、新年度の着任式・始業式の計画など、ひたすら事務仕事でした。
そのあとには、中学校の来年度教務主任の先生と、小中合同活動についての打ち合わせもありました。

2.4人になる小学校

来年度、小学校の児童数は4人になります。
しかも、最高学年は4年生です。
これまで当たり前のようにできていた行事や活動も、この人数では難しくなるものが出てきます。
だからこそ、中学校との連携を少しずつ進めていかなければならないと思っていました。

中学校の教務主任の先生と向かい合い、来年度できそうな活動を一つずつ整理していきます。

まず話題に出たのは、「島っ子交歓Blog」でした。
小中合同でBlogを運営し、子どもたちの「伝える力」を育てていこうという構想です。
まだBlogという言葉自体が新しかった時代でした。
JUGEMを使うか、レンタルサーバーへMTを入れるか。
そんな話をしながら、「子どもたちが使いやすい形にしたいな」と考えていました。

続いて、「2005年の教室を考える会IN地方特別大会」のオプションツアーのこと。
さらにYMCAキャンプの日程調整。
運動会や文化祭の話まで広がっていきます。

それから、中学校が続けてきた地域のユリの花保護活動に、小学校がどう関わるかという話にもなりました。
今いる子どもたちが中学校へ進学する頃には、上級生たちは卒業しています。

だからこそ、今のうちから知識や活動をつないでいかなければなりません。
考えなければならないことは山ほどありました。

その日の夕方、以前和菓子プロジェクトの取材でお世話になったNHKのディレクターから電話がありました。
今度は、離島での情報教育について取材したいという話でした。
島の小さな学校で続けてきたことが、少しずつ外へつながり始めている気がしていました。

その夜は、町とPTA合同の送別会が開かれました。

中学校4名、小学校1名の異動です。

保護者の方々や組合長さん、町会長さんたちともゆっくり話をすることができました。
こういう席では、学校の話だけではなく、島の漁のことや船のこと、子どもたちのことまで、話題が自然と広がっていきます。

来年度のバドミントン活動のことも少し気になっていて、保育所の先生にも「手伝ってもらえませんか」とお願いしてみました。
家内の昔の教え子でもあります。

修了式と離任式を前にした夜は、そんなふうに静かに更けていきました。

3.修了式の日

修了式当日の朝も雨でした。
考えてみれば、昨年の離任式も雨だった気がします。
修了式と離任式を終えたあと、子どもたちはそれぞれ帰っていきました。

小学校の異動は、育休代替の先生だけです。
とはいえ、「来年度末は総入れ替えに近くなるかもしれんな」と、少し先のことまで考えてしまいます。

昼には、小中学校合同のお別れ昼食会が昨日の送別会と同じ旅館で開かれました。

そのあと、3便の時間に合わせて港へ向かいます。

雨の中、紙テープを持って連絡船を見送りました。
色とりどりの紙テープが風に流され、少しずつ船との距離が離れていきます。

その光景を見ながら、ふと1年前の離任式のことを思い出していました。
あの時も今日も見送る側として立っていましたが、「いよいよ来年は自分の番になるのかもしれんな」と、そんなことも少しだけ頭をよぎりました。
不思議なことに、船を見送ったあと、空は少しずつ明るくなってきました。

学校へ戻ると、いつものようにホームページを更新し、夕刊で人事異動を確認しました。
さらに、その次は東京での研修準備です。
気がつけば、最後まで慌ただしいままでした。

夜になると、異動のなかった職員だけで宿舎に集まり、気楽な夕食会を開きました。
その時になってようやく、「2003年度も終わるんだな」という実感が少しずつ湧いてきました。

4.新年度準備

数日間の東京での研修から戻ると、3月31日になっていました。

その日は日直だったので、1便で島へ渡り、そのまま学校へ向かいました。

翌日の新年度職員会議に向けて、教務主任としての会議資料づくりです。
これが思っていた以上に大仕事でした。

日課表を変更しなければなりません。
昨年11月に新しい連絡船が就航し、ダイヤも変わっていました。
給食から昼休みまでの時間配分も含め、細かく調整していきます。

さらに、6年生が卒業したことで、学校の形そのものが変わりました。
4年生2人、3年生1人、2年生1人。

これまで3学級だった小学校は、来年度から2学級になります。
ただし、3・4年生は複式学級にしながらも、4教科については3年生1人を個別指導にすることにしました。
せっかく加配として教頭先生がいるのだから、大事な部分にはきちんと使いたいと思ったのです。
その分、入り込みや時数計算はかなり複雑になりました。

昼頃には、1便で来島した高校の放送部の生徒たちからインタビューを受けました。
ところが、気がつけばこちらが「インタビューはこう聞いたほうがいいよ」と逆に話し始めていました(笑)。

職業病みたいなものです。

夜までかかって、ようやく資料が完成しました。
校長先生にも見ていただき、「これなら大丈夫かな」と少し安心しました。

明日から、いよいよ島での3年目が始まります。

どんな1年になるのか。

そう思うと、不思議と少しわくわくしていました。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
離島の小学校編Season2は、ここで一区切りとなります。
次回からはいよいよ、島で過ごす最後の1年です。
どうかお楽しみに。👇

前回の話👇

◆本シリーズについて(初めて読んでいただく方へ)👇👇

約25年前の2002年、船が生活のすべてを左右する離島の小学校に赴任しました。
予定通りにいかないことが当たり前の中で、学校と暮らしが地続きの毎日を過ごしていました。

そんな環境の中でも、子どもたちに自信をもたせたいと考え、総合的な学習の時間に取り組んでいました。
▶ 離島の小学校編Season1〜教室とくらしの物語 マガジン

このシリーズでは、当時の日記をもとに、島での仕事の大変さと、その中にあるささやかな温かさを綴っていきます。
2年目2003年の、Season2(2年目)最後のお話です。
※本文中の地名・固有名詞は一部仮名としています。

ついに完結。離島の小学校編Season2👇👇👇


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