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海を越えるデータ便──離島教師、秋の夜【島小#13】/離島の小学校編 13

2002年の秋。 離島の学校では、一人の教師がいくつもの役を兼ね、 潮の時間を見計らいながら本土へ出張に出かけていました。

通信もまだ十分ではなく、 フロッピーやFAX、メールを駆使して“つながる”ことに挑む日々。 そんななか、思いがけず市の陸上記録会の集計係を引き受けることになった、 あの頃の記録です。

前回のお話(離島編12)👇

離島で勤務することとなった1教師の奮闘記です。 今から約20年以上前の2002年(平成14年)秋のお話です。

※注:本文中の一部地名や固有名詞等は仮名(かめい)にしています。

こんな島です。離島編04👇👇

【目次挿入】


1. 出張は航海、分掌は波の数ほど

午後から視聴覚部会の研究授業があるため、昼の船で本土へ向かいました。 離島では、そうたびたび出張に出ることはできません。 だから、行くかどうかはいつも慎重に選びます。

小さな学校では、教員が担う校務分掌がとにかく多いのです。 教務主任、研修主任、視聴覚主任、総合的な学習主任、特活主任、体育主任、 それに社会科、理科、図工まで。 気がつけば、ほとんどの分掌に名前がありました。 もし全部の部会に出ていたら、授業は進みません。

だから私は、義務的なものと必要なものに絞って出張しています。 今回は、以前に話題になっていた「コンピュータ導入」に関する協議を兼ねての研究授業。 視聴覚部会としても、今後の方向を話し合っておきたかったのです。

授業は、特別支援学級でのコンピュータ活用。 自閉症の子どもが自立訓練に取り組む姿を見ながら、 「画面の向こうに集中できる時間がある」ということを感じました。 当時はまだICT教育の黎明期。 けれど、その教室の空気には、確かに未来の学びのかたちが漂っていました。

会議では、私が夏に提案していた市内全校で同じプロバイダを使う方針が認められたと市教委からあったと報告がありました。 ただ、時間も限られていて、それ以上のコンピュータ等の導入計画までは話せませんでした。 最後に、視聴覚部会らしくビデオ教材の紹介文を分担して作ることも決まり、時計を見ると、島へ帰る船はもう出たあとでした。

市教委での導入委員会ときの様子👇

もちろん、それも想定済みであらかじめ自習計画を立てていたので、今日は本土の自宅に泊まり、翌朝の船で島に戻ることにしました。 6月の出張のときは,少し早めに出て船で島に帰ってたりしていたのですが,最終便の時間が早くなったので,これからは少し厳しいのです。 明日の朝便でまた島に戻ります。


2. 離島にも届く、メールとフロッピーの波

そんな折、もうひとつの“仕事”が舞い込んできました。 市の体育部会としての陸上記録会の記録集計係です。

夏の水泳検定会のとき、私は前任地で使っていたデータ整理の方法を紹介しました。 それが意外に好評で、「じゃあ今年はその方法でやってみよう」ということになり、気づけば私がその担当になっていました。言い出したものがするのは世の常です(笑)

陸上記録会は、各校から代表児童が集まる一大行事です。 プログラム作成と記録集計には、膨大な名簿データが必要になります。 これまでは、各校が紙の申込書を持ち寄って手作業で入力していたそうです。 それでは同じ学校の子が同じ組になることもあり、入力ミスも多かったとか。

私は提案しました。 「出場者名簿をテキストデータで送るようにしてみませんか」 これならデータをコピーして一括で整理できます。 集計の準備もずっと早くなるはずです。

そうして、夏休み中にテンプレートを作成し、操作方法の説明を添えてフロッピーに収録、各校へ配布しました。 締め切りの日が近づくと、メールで続々とデータが届き始めます。

懐かしい記憶媒体フロッピーディスク

しかし、当時はまだメールに慣れていない先生も多く、「送れないのでフロッピーを文書箱に入れておきました」との連絡も。 月曜の船が出ないとそれも手に入りません。 “海を渡るデータ便”のようなものです。

しかし,離島の学校でもこうして本土の行事に関われるのはうれしいこと。 けれど同時に、「距離」と「通信」の壁を強く感じた出来事でもありました。


3. grepと格闘、深夜の職員室

〆切間際,すべてのデータが揃ったのは夕方5時前。 FAXで送ってくる学校もあれば、メールが届かない学校もありました。 メールが届かない学校には確認の電話を入れ,なんとか衛星インターネットの運用時間が切れるまでに届きました。 FAXの学校は,当然印刷された紙媒体です。 また,フロッピーを開けてみたら、一太郎形式の申込書しか入っていなかった、ということも。 結局、最後は私がそれぞれをテキストに直して整理しました。

そこからは、まるでパズルを組み立てるような作業でした。 当時,秀丸エディタというソフトを使っていたのですが,grep検索と言う便利な方法を発見し、種目ごとや男女別に抜き出したデータをExcelの各シートに貼り付けていきました。 「これなら自動で並び替えもできるぞ」 思わず独り言がこぼれました。

ただ、Excelの自動ふりがなは少しクセ者です。 エクセルは,音読みが混じるなどして,おかしなふりがなをふることがありました。 個票を見比べながら一つずつ修正していきました。

作業イメージ

気がつくと、時計の針は日付をまたいでいました。 机の上にはフロッピーと紙の申込書、メールの控え,コーヒーカップ。 静まり返った職員室に、パソコンの小さなファンの音だけが響いていました。


そして次は、グラウンドへ――

こうして、陸上記録会のデータがようやく形になりました。 海を越えて集まったファイルたちが、ひとつの大会を支える。 前日準備には,このプログラムとエクセルの集計データを完成させたものを持っていかなければなりません。 次は、前日の準備ですが,ちょっとしたアクシデントが待っていました。

――その話は、また別の回で👇👇

離島の小学校マガジン👇👇👇


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