番外編 「本物づくり」のその先へ─卒業までの歩み
和菓子プロジェクト本編は第10話で一区切りとしましたが、その後の子どもたちの歩みも記録に残しておきたいと思います。今あらためて25年前を振り返ると、当時は夢中で駆け抜けていたために忘れていたことがあります。今回は、特別編として卒業までの様子をお届けします。
第1回はこちら↓
今回の舞台裏(解説編)はこちら👇
1. ラストステージは授業参観──プレゼンでふりかえる小学校生活
6年生最後の授業参観。子どもたちには「一人ひとりの発表」をしてもらうことにしました。和菓子プロジェクトを終えたあとの総合的な学習では、電子卒業アルバムづくり(卒業記念CD制作)に取り組んでいたため、その一部を活用してのプレゼンテーションです。
発表はパソコンを使い、ビデオプロジェクターで画面を映し出しながら、持ち時間は一人およそ1分。紹介するのは自作した9ページのホームページのうちの1枚です。
構成は次の通りでした。
○1年生から6年生までの思い出の写真とコメント(6ページ)
○和菓子プロジェクトについて(1ページ)
○将来の夢(1ページ)
○表紙ページ(1ページ)
思い出ページには、学級写真や図工作品、賞状の画像などが並びました。スキャナや当時のデジカメが大活躍したのをよく覚えています。
さらに、この卒業アルバムCDには、ひとり10秒ほどの「未来の自分へのメッセージ」を動画で収録することにしました。加えて、修学旅行や運動会、総合学習の活動記録もすべて収めています。和菓子プロジェクトの放送も録画して動画化しようと、わざわざアナログ映像をPCに取り込むコンバータ(当時の名機・Canopus ADVC-100)を購入したのも懐かしい思い出です。もちろん、私からのメッセージや「隠しページ」も入れる予定でした。
2. 卒業記念CD完成!──最後の「ものづくり」に込めた想い
卒業が近づくこの時期は、東京への出張や通知表作成も重なり、正直かなりの過密スケジュールでした。それでもなんとか完成にこぎつけた卒業記念CDは、最終的に357MBという大容量になりました。
収録内容は大きく3つ。
1.みんなの個人ページ(各自9ページ、私も1ページだけ参加)
2.動画ページ(10秒メッセージ、音楽会の様子、和菓子プロジェクトのコンテスト映像、TV放送)
3.資料編(Web学級日誌、自由製作の学校紹介ページ、和菓子プロジェクト関連資料、学年ページなど)
特に学級日誌のページは、後から読み返しても実に面白く、学級の毎日の出来事が記録されていました。また,自由製作の学校紹介ページは,個人ページが早くできた有志で作りました。学校内の思い出の場所などを紹介していてクスッと笑えるものでした。
自動起動用のフリーソフトを使い、CDを入れるとHTMLが立ち上がる仕組みにしました。ただし、Windows XPでは確認ができなかったので「動かなければ index.htm をクリックして」と念のため説明しました。
ある子が「うちにはパソコンがないから見られない」と心配そうに聞いてきたこともありました。私は「今すぐ見られなくても、自分で働いてパソコンを手に入れる頃に見返すと、その方が懐かしくていいんじゃないかな」と答えたのを覚えています。DVDではなく,CDというのが時代背景をよく表しています(笑)

それでも,完成後にはコンピュータ室で全員に鑑賞の時間を設けました。画面に食い入るように、自分や仲間のページを見ている子どもたちの姿は、とても印象的でした。ひとつのプロジェクトをやり遂げ、最後に形として残すことができた達成感が、確かに教室を満たしていたのです。
3.結びにかえて──「担任復帰の喜び」と最高のギフト
この和菓子プロジェクトの連載は、私にとって「学級担任に復帰した喜び」から始まりました。久しぶりに子どもたちと日々を共にし、ひとつの夢を追いかけ、葛藤し、笑い合いながら形にしていく時間は、教師としても人としてもかけがえのない経験でした。
卒業までの3ヶ月も、子どもたちは最後まで走り抜けてくれました。和菓子づくりから始まった「本物の学び」は、卒業アルバムづくりというもうひとつの「ものづくり」へとつながり、その一枚一枚に子どもたちの成長が刻まれています。
25年の歳月を経てもなお鮮やかに蘇るのは、あのとき子どもたちとともに味わった「やり遂げた」という実感です。担任として迎えたあの学年を締めくくるにふさわしい、最高のギフトだったのだと、今あらためて感じています。
スピンオフ和菓子プロジェクトの舞台裏更新中(有料マガジンにて)👇
1記事としてではなく,マガジンとして全て読めます。
次回より,離島の小学校編開始👇
いいなと思ったら応援しよう!
応援いただいたお気持ちは、子どもたちの学びを物語として発信し続ける力となり、教育の現場で役立つヒントへとつなげていきます。