⑪特別章 オランダ旅行記 躍進中の障害者雇用カフェレストランー『Brownies & downieS』訪問&インタビューレポート
現在、ダウン症の娘の為に働く場の創出に奮闘しています。
過去①〜⑩までのオランダ旅行記は下記からご覧いただけます。
是非どうぞ!
Brownies & downieS 訪問レポート
今回のオランダ旅行の目玉でもある、オランダで躍進する障害者就労支援のカフェレストラン『Brownies & downieS』の訪問・インタビューのサマリーをご紹介したいと思います。
より詳しくは、セミナーなどで報告をさせて頂き、少しでも障害者の就労支援事業について考える機会を多くの方と共有したい考えています。
「①オランダ旅行記」でも記しましたが、参加している勉強会でのオランダ行きの企画が持ち上がり、せっかくオランダに行くならとオランダの障害者雇用や就労事情はどうかと調べていくうちに、偶然見つけたお店が『Brownies & downieS』でした。
見てみたい!と思った理由
私が是非行って見てみたいと思ったポイント3つ。
①ダウン症という店名
②障害者雇用を積極的に行っているレストラン(スタッフの多くが障害者)
③オランダ国内にフランチャイズ含め59店舗展開し躍進している
つまり、障害者雇用を前面に押し出しながら成功しているレストランチェーンといった点でした。
またHPなどを見る限り、おしゃれでブランディングにも興味がありました。
オランダという国は、サイズ的には九州ほどの大きさ、そして人口は日本の10分の1以下です。
そのような条件で59店舗も運営しているという事実に衝撃を受けました。


私自身、新卒時に外食レストランチェーンで商品開発と店舗運営に携わり、経験年数は長くはないものの外食産業に対しての肌感はあります。
ですので余計に凄さがわかります。
お店のサイズもカフェといえども一昔前のファミレスの少し小さいサイズ、私が訪問したお店は60-80席ほど、そこそこの大きさのカフェレストラン、しかもディナータイムは運営しないと考えると59店舗展開というのは全て直営ではないフランチャイズといえ凄いと思います。
また製造業ではないにせよ、レストランでもある程度「生産性」は求められ、また接客業としての「サービス品質」、そしてやはり「料理」が美味しくなければ、また「雰囲気」が良くなければ、自然と客足は遠のきますので「フードクオリティ」や「店内の居心地の良さ」は大切です。
それら必要な条件がある中、店内のダウン症を含む障害者の方の従業員比率が80%以上で59店舗も展開している、勿論国が違えば、福祉をはじめとした仕組みが違い、障害者に対する理解度、許容度も違うとは思いますが、もう「凄い」以上に言葉が思い浮かびませんでした。
お店の訪問・インタビューアポ取り
そこで早速、訪問・インタビューをさせてもらうべく、まずはお店選びを始めました。
主要大都市に店舗はなく、つまり店舗は郊外に点在しています。
これは成功のポイントの一つではありますが、アムステルダム、ロッテルダムといったいわゆる大都市にはお店がないので、滞在予定のアムステルダムからアクセスの良い場所を探し、Haalerm店とUtioorn店を選びました。
それと勉強会の中でも行ければということで皆で行く予定であったチーズで有名なゴーダにある Gouda店、以上3店舗に依頼メールを送りました。

ライデン店はカフェ利用のみ
クリスマス明け、日本の正月明けに、まずは Gouda店にメールで連絡しました。
しかし、残念ながらGouda店からは、なしのつぶて。
こちらからの複数回のメールにも返答すらなく、Gouda店はあきらめざるを得ませんでした。
普通に考えれば、極東の名も知らない奴から突然、訪問しインタビューをさせて欲しいとメールがくれば、無視されてもおかしくありません。
少しでも興味を持ち読んでもらえるようにタイトルや内容を工夫し残る2店舗に連絡したところ、幸いにもに両店舗から返信がありアポが取れ、出発1ヶ月前に予定が埋まりました。
オランダに行くと決めたものの、お店の訪問、インタビューができないとなるとほぼ観光となりますので安堵でした。
体調不良で食事はできなかったけれど。。。
しかしです。
オランダに到着したその夜に体調不良になるとは夢にも思いませんでした。
直行便14時間の長旅の疲れと、フライト前日と当日朝に食べた火の通りが少し甘かった牡蠣が恐らく原因で、食あたりを起こしてしまいました。
この辺りは「②オランダ旅行記 最悪の朝を迎えたオランダの初日の話」でお話していますので、宜しければそちらをご覧ください。
お陰でレストランに行ったにも関わらず、そこでの料理が食べられないという大失態。
味の確認は出来ませんでしたが、実際にお店に行き、当事者と話をし、五感で感じ得たことはネットや記事で読むこととは比べものにならないほどの収穫があったと思います。
やはり現場は大切、百聞は一見の足元にも及ばず、体験・経験はデジタル情報に勝ります。
さて、いつものように前置きが長くなりましたが、早速、訪問レポートに移ります。
あらためてBrownies & downieSとは?
『Brownies & downieS』、日本語に訳せば『ブラウニーとダウン症たち』
日本語にすると凄いネーミングで、当初はオランダでも賛否があったみたいですが、創立者はこの名前を店名にすると決め現在に至ります。

オランダ国内でフランチャイズ含め59店舗。
最初は直営店のみだったらしいのですが、やはり障害児を持つ親から自分たちも子供の為に始めたいという要望が多く、フランチャイズが増えていったそうです。
全店の統計はわかりませんが、私が訪問したお店では働いているスタッフの80%以上が障害者の方でした。
また59店舗で計800名以上の障害者の方が働いているそうです。
あとダウン症の方はカフェで働きたがるとオーナーは言っていましたが、オランダではカフェ自体が文化として生活に根付いているからなのか、その理由まではわかりませんでした。
また『Brownies & downieS』は「レストラン」としても国内でいくつかの賞に輝いており、やはり食事のクオリティも良いらしいのです。
(残念ながら、体調不良で確認することはできませんでしたが。。)

メニューはドリンク類は勿論のこと看板商品のブラウニーとライトミールを中心に、€4~15ほどの価格帯、日本のファミレスも最近は少し値上がりましたが、€1=¥160の今、ファミレスより高い価格帯になります。
営業時間は、店によって違いますが、基本ディナータイムは運営しておらず、9-18時がほとんどです。
ランチタイム、カフェタイムだけの運営ですので、先に示した価格帯でいえば、欧州では普通ですが、日本ではかなり高く感じます。

ディナータイムに営業していない理由としては、障害者の方は長時間働くことは難しく、また夜は早く床に就く方が多いのでそのような時間帯での運営にしているそうです。
またロケーションも郊外店のみ、大都市圏にはありません。
では、訪問したお店の紹介に移ります。
Brownies & downieS Haalerm店
お店の場所は、有名なクラシックのコンサートホール=コンセルトヘボウ近くの宿泊ホテル前のバス停からバスに乗り、途中別のバスに乗り換えて1時間ほど。バスを降りてから徒歩10分ほどの市街地にあります。
バス停を降りてからは、1階に路面店が入る典型的な欧州の街並みが続くメインストリートを通り、細い路地に入ります。
この細い路地の1階にも路面店が軒を連ねており、その少し歩いた先の1階部分にお店がありました。
街の様子

路面店が立ち並ぶメインストリート

おしゃれな外観の中央にエントランスがあり、落ち着いたコーポレートカラーのグリーンで書かれたおなじみのロゴ、Brownies & downieSがありました。

おしゃれですよね
Harrlem店
お店に入ると、メールでやりとりしていたマネージャーのEviさんが出迎えてくれました。

私、これでも体調不良です、無理してます一応。
まだお店には、7組ほどお客さんがいたので、一旦席に座り、メニューを見て、何とか食べられそうなオニオンスープとホットジンジャーをオーダーしました。
体調不良ですのでこれが精一杯のこのオーダーです(悲)

それと見た目が??のオニオンスープ
ホットジンジャーには蜂蜜を入れますが、弱った体には優しく美味しく私のお気に入りになりました。
こちらがメニューの一部
1年に2回メニュー改訂があり、直近では4月7日に変更されるそうです。
鮮度を保ちながらの運営、ここも成功のポイントだと思います。

こちらでいえば平均的なプライシングだと思います
店内の様子



30分ほどして店内が空きはじめましたので、Eviさんに色々とお伺いしました。彼女はマネージャーでオーナーは別にみえ、他の事業も展開されているお兄さんが経営面を見て、妹さんが医療・福祉面をカバーしながら運営されているそうです。
このお店では、障害者の方の在籍は30名ほど、実はこのお店の前にベーカリーがあり、そのお店も一緒に運営しており、障害者の方の特性に合わせて働き場所を複数用意しており、そのため在籍人数が他店より多いそうです。

ここでお店で提供するブラウニーも販売されています
また全ての障害者の方がフルタイムで働いているわけでなく、週1回、2時間程度の方もいれば、週に3回、4時間の方もみえる、これも在籍人数の多い理由です。
お店前のベーカーリーでは数名が、パンを作っていました。
食べるかどうかわかりませんですたが、ブラウニーを購入しました。


結局食べられず、宿泊先のホテルの方に差し上げました
また本店のスタッフの方は、オーダーではなく給仕を中心にされていましたが、障害者の方でも能力に合わせてレジを任されたりする場合もあるそうです。
お店の運営状況などは少し長くなりますので別途セミナーなどでお話ししたいと思いますが、お店では障害者のスタッフの方たちが雰囲気に溶け込み、ごく自然に働かれているのがとても印象的でした。
Brownies & downieS Utioorn店
次にUtioorn店をご紹介します。
こちらのお店はHaarlemのお店とはうって変わり、人口は3万人ほどの小さな町にあり、非常に閑静な住宅街にあるスーパーなどが入った小さなショッピングセンターの中にあります。


オランダで有名なチェーンスーパーJAMBOの入口付近にあります
アムステルダム中央駅から電車で30分ほど、そしてバスで20分ほど、バス停から歩くこと15分くらいで目的のお店に着きました。
まさかショッピングセンター内にあると思わず、周りにお店などが無いため、少し探し回りましたが、なんとか見つけることができました。
いくつかのお店が入っており、屋上が駐車場で一階部分にアパレルやチーズ専門店などいくつものテナントが入っている、そのようなショッピングセンターでした。

美味しいチーズが並びます
お店に入るとマネージャーのJanifarさん、そしてキッチンにはオーナーの奥さんがみえました。
2時頃だった為、余りお客さんは残っていませんでしたが、まずは私のお気に入りの定番ホットジンジャーをオーダーしました。
(まだ体調は戻っていませんので。。)




奥にテナントが見えます
少ししてから、マネージャーのJanifarさんにお伺いしました。
オープンはコロナ禍前、まず小さくスタートしてここ数年でようやく軌道にのってきたそうです。
オープンに向け店舗の改装からの記録を残したスクラップブックを見せてもらいましたが、楽しさとやる気が伝わってきました。

ここでは10名強のスタッフが在籍しているそうで、店内での仕事以外にも、近くの別のお店から箱折などの軽作業も請負ながら、障害者のスタッフに働いてもらっているとのこと。
またスタッフの在籍も長く、離職率も低いそうで、皆楽しんで仕事をしていました。
休憩時はお客さんがいても店内の中央にテーブルでくつろぎ、塗り絵をやったり、絵本を読んだりと、この辺りは日本と感覚が違うなと感じました。

わかりやすく絵で自分の持ち場が示されています
Harrlemのお店より、街のサイズが小さいのもありますが、地域のコミュニティに上手く溶け込んでいるみたいで、老夫婦が帰りがけに障害者スタッフの方に声をかけたり、非常にアットホームな感じがしました。
ケータリングサービスや地域のイベントにお店を出したりと、また隣が有名なJamboというチェーンスーパーなのでよりデイリーに来るお客さんも多いので集客もよく、地域に愛されているお店だと思いました。


皆笑顔で愛らしく、心がホッとします
写真からも居心地の良さが伝わってきます
2店舗共に、温かく迎えてもらえ、また持参したお土産の日本のお菓子も喜んでもらえました。
帰りにブラウニーの詰め合わせを頂いてしまいましたが。。。


日本に帰国してから、Utioorn店のオーナーGrantzさんとオンラインMTGもしました。
訪問当日、事情で出席できなかったということで別途オンラインMTGをセッティングしてくれました。
MTGでは、オランダでの福祉事情や、より店舗運営など詳しいことも伺うこともでき、帰国後に補足情報が入手でき大変助かりました。

またオーナーのGrantzさんは積極的にSNSを活用しており、顧客とのコミュニケーションも素晴らしいと思いました。

別々の靴下を履くイベントをアップ

体調がすぐれない中でしたが、予定通りお店に訪問しお話を伺え今回の旅の目的は果たせました。
やはり現場を見る事は大切だと思いました。
事前の活字情報だけでは得られないお話も聞き、またその場の雰囲気も肌で感じることで、より状況を立体的に捉えることが出来ました。
以上、Brownies & downieSのサマリーレポートでした。
更に詳しい内容は、下記をご覧ください。
