YouTubeを活用した語学学習にはいろいろな形がある
現代の語学学習のお供、必須ツールともいえるのがYouTubeです。無料で無限に近い外国語音源を24時間いつでも漁ることが可能で、ほんといい世の中だな、と僕は感じています。
さて、「YouTubeで語学学習」というと、TEDトークの動画を見るとか、いわゆる語学系YouTuberの解説を見るとか、そのような話が多くの人の頭の中にうかびますよね。ただ、それはあくまでもYouTubeで語学学習というなかの狭い範囲のひとつのすがたなだけであり、それがすべてではありません。今回は、YouTubeで語学学習といっても、いろんな形があるよ、という話をしてみます。
誰が誰に話しかけているのか
まずキーにしたい話が、「誰が誰に話しかけているか」についてです。たとえばあなたがタイ語をYouTubeで学ぶとして:
タイ人がタイ語をタイ語で解説する動画
タイ人がタイ語を英語で解説する動画
日本人がタイ語を日本語で解説する動画
などの選択肢を思い浮かべることができますよね。日本人なんだから「タイ語を日本語で解説する人」を見つけてそれを見るのが当然だろう、それ以外は関係ない、と考えるかもしれませんが、そんなことはないはずです。
というのも、ここにはちょっと厄介な点がいくつかあるんですよね。タイ語はマイナー言語とメジャー言語の中間くらいで、タイ語を学びたい人の人口は安定しているのですが、それでも英語学習者ほどうじゃうじゃいるわけではありません。そのため、日本人向けのタイ語解説動画に絞ってしまうと、どうしても母数が極端に少なくなります。
一方、これは教える側の都合で見た場合の話になるのですが、「タイ語を英語で解説する」という手段が、安定した市場にリーチする手段としてもっとも優秀です。英語は言わずもがなで国際公用語であり、それを使って情報を発信できる人も受信できる人も絶対数が多いですから、英語を噛ませてタイ語を説明する人の数は、それなりに増えます。人間界で最も使われている言語である英語でデスノートの説明文が書かれているのと同じ理屈です。
タイ語を日本語で説明するネット上の人で有名どころの人というのは、もう片手か両手で数えられるくらいの人数しかいないんですよね。YouTubeで、日本語でタイ語の説明をする人の動画を聞くという手段を取るとした場合、その数人の人たちの解説を聞くこと以外の手段を取れなくなります。これは良い悪いの問題ではなく、オプションがちょっと少なすぎる、という話です。
横道ですが、「英語」を使えることのメリットのひとつはここなんですよね。欲しい言語の中継ぎ言語として英語はおおいに活躍しますし、外国人に最初に話しかけるための手段のひとつ、としての英語はきわめて優秀です。物理的にせよインターネット上の世界にせよ、自分の行動範囲を増やすための英語は、とても役立ちます。
※ちなみに、欧米人がタイ語を英語で解説する動画もめちゃくちゃ少ないです。西洋人がタイ語で話すYouTubeチャンネルという、僕からしてみれば奇跡のようなチャンネルはないわけではなく、「Thai Talk with Paddy」のPaddyさんがその好例なのですが、Thai Talk with Paddy チャンネル以外で僕は、「西洋人がタイ語でなんかするYouTubeチャンネル」を見たことがありません:
メタな情報の回収
もうひとつ、なぜ自分らの母語ではない言語話者向けに作られた動画を貪るほうがいいのかについてなのですが、そこからいろいろとメタな情報を回収できるから面白い、というのがあります。
これは語学に限った話ではないですが、なにか情報を得たり学んだりするさい、そこで得るものは情報そのものに加え、メタ情報もあります。メタ情報の具体例にはたとえば、関係性、順番、前後関係、組み合わせ、文脈などがあるのですが、「なぜそれを、その順番で、そのように説明してくれるのか」というメタな話は、自分ら(日本人)と文化や背景を共有しない外国人からのほうが得やすいです。
たとえばですが、僕がよく引用させてもらっているChiさんの事例で説明してみます:
僕はベトナム語と韓国語の音についてはほとんど何もわかっていないのですが、韓国語の知見がベトナム語で活躍して感動、みたいな話ですよね。自分らとは文脈や背景を異にする人たちの話からメタな情報を得られる(ことがある)というのは、Chiさんの事例からわかるはずです。
これはポリグロットであることの副次的効果であり、「あの人たちは、あれをどのように説明してくれるのだろう」とか、「あの人たちはどのように解釈してどのように説明するのだろう」というのを、隙間からチラ見するかの如く覗き見て楽しむことができます。複数の要素の関係性というのは言わずもがなでメタ情報なのですが、それがアハ体験のごとくつながるのは、とてもテンションの高まる体験ですし、これは、「日本人向けにつくられた、日本語の解説による動画」だけではなかなか達成できません。
さいごに
今回言いたかったことは、「YouTubeで語学学習」という割と誰でもやってそうなやり方の中にも、さまざまなモードがありますよ、ということです。ひとの解説を聞いてオシマイ、というのは、なんだかとてももったいないので、いろいろ漁りまくって楽しもうよ、というのが僕からのメッセージになります。
今回の記事の内容に似た語学学習ネタの記事は以下のマガジンにまとめています。肩の力を抜いて気楽に楽しめる内容であるはずです:
▼この記事を書いた人▼
そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。詳しいプロフィールはこちらから。
ポッドキャストもやっています:
🔵amazon music, 🟣Apple Podcast で楽しむ場合はこちら。
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主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから。
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さいごに
「発音学習の底力」を体験してみませんか。英語力は、発音学習だけでも伸ばせます。学習に新しい風を入れたい方、ネットでこれ以上学習法をあさるのはしんどいと感じる方は、ぜひ以下のページをのぞいていってみてください:
語学学習を総合的にトータルサポートしてほしい、痒い所に手が届くサポートがほしいという方には、「そっちゃそ英語コーチング」がオススメです:
