語学学習は年を取ってからのほうが有利
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臨界期説にみられるように、英語学習は幼児期などの早期に進めた方が有利であるという言説があります。これについては僕も詳しくないので断定的なことはいえません。
ただその一方で、大人、具体的には40代、50代くらいのレンジの「頭を使うことに衰えを感じる」世代の人のほうが学習を優位に進められるという点もあります。今回はこの辺の話をします。
理屈で理解できる強み
論理的思考が未発達の子どもに理屈で何かを覚えさせることはできません。子どもが知識を覚えるのはなんとなくであり、理屈や根拠をつなげて覚えているわけではありません。
そして、語学学習と理屈は相性が良く、長い歴史の経過に伴い自然に出来上がった言語には、いま目にする言語のすがたになった経緯がかならずあります。語源をはじめとする言葉のルーツを調べ、なぜそのようになっているかを紐解き理屈で理解するというのは、40代以降の大人であればだれもが得意とすることのはずです。
すこし角度を変えて説明しますが、「学校では教えてくれないホニャラララ」みたいな触れ込みで商材がプッシュされるのはそこかしこで目にしますよね。あたかも、学校がもったいぶって何かを教えてくれない、あるいは、学校の教師が古臭い人で本質を理解していない、みたいな雰囲気を出してそのような、「本当のナントカカントカ」はこちらにやってくるのですが、この現象と今回の話は関連するはずです。
まず、学校英語はそれなりによくできています。学校英語がダメなこと、が問題の根っこであるというわけではなく、学校英語は子どもに英語を教えるための手段である、それゆえに限界がある、ということが本質です。
子どもは論理的思考が未発達であることが多い、とすでに言いましたが、そのため、そのような子どもたちにひろくまんべんなく教えるためには、ある程度の「詰め込み」をすることを余儀なくされます。語呂合わせや、あるいは「あいまいみーまいん」のような呪文のようなやり方を使い「理解したことにさせる」という儀式的手法が仕方なく採用されているということであり、それは悪いことではありません。語学学習では抽象が大事になるが、それを学校の教育現場でていねいにやっていくのは限界があるから、どうしても儀式的になってしまうということです。
話は本筋にもどりますが、とすると、「中高年の大人」がいかに有利な立場にあるかがわかるはずです。人生経験豊富な中高年の人であれば、抽象的にものごとを捉えたりすることをできるはずですから、若い人よりも有利になります。抽象が語学学習でキーになるというこのあたりの話は、僕のKindle本でも触れています:
頭の回転と英語は関係ない
上記の説明は知識と訓練のうちの知識の話ですが、訓練(技能の習得)の点においても大人がディスアドバンテージを背負うことはありません。
僕はよく、英語の運用を自動車の運転やパソコンのキーボード操作などにたとえています。いずれも:
すぐにはできない、最初はとまどう
訓練を積めばだれでもできるようになる
最終的には無意識的にできるようになる
という点が共通しています。"d"を入力したいと思ったら左手の中指を動かしたくなる、あるいは、自動車で左折したいと思ったら右手にある小さなレバーを上に持ち上げたくなる、というような、AならばBしたくなるという状態にもっていくのが英語の訓練です。これには、子どもが特に得意とするような、複雑な頭の処理は介在しません。
なぜ「もう無理」と思ってしまうのか
これは僕の予測ですが、「年をとったから英語学習が無理であるということにしたい」という、アドラー心理学でいうところの目的論のような心理に陥る人が多いのだと思います。
「英語学習をしない」という目的ありきで、なにか都合のいい理由があとから捏造されることはよくあります。時間がないから、忙しいから、AIがあるから、日本に住んでいるぶんには英語が不要だから、のように、温泉のように湧いてくる後付けのそれっぽい理由のうちのひとつが、「年をとったから」なだけであり、それらの言葉は現実をつぶさに観察したうえで出てくる言葉ではありません。
これは錯視のようなものです。目は網膜に映った光のパターンを信号として脳に送り、それを脳が処理するのですが、そのさい、脳で発生する意味づけや補正のために、現実がゆがめられてしまうことがあります。静止したエスカレーターに足をのせるときにつまづいてしまうのとたぶん似てて、こうであるはず、という思い込みが先行して、現実を正しく認識できなくなります。
「英語学習をしない、したくない」という強力な思いが先行しているか、それによって認知がゆがめられていないか、都合のいい理由が後付けで捏造されていないか、思考停止になっていないかなどは、あらためて確認したいところです。認知がゆがむというこの話については、別の記事でもしています:
さいごに
ミドル世代になったらもう手遅れということはありません。英語は頭の処理能力とは関係ないので、考える力が弱くなったな、と感じるような人でも、ゼロから学習に着手して成果をだすことができます。
もし、あなたがすでに中高年のミドル世代であるのであれば、「あなたが若かったときに持っていたが今はないもの」を数えてみてほしいと思います。体力が落ちてエネルギッシュに運動できなくなった、などはあると思いますが、そのような事実が、英語学習ができないことの理由にほんとうになるのか、考えてみることが役に立つはずです。
このことはこの記事で一貫して伝えたいことなのですが、「加齢で失ったものと増えたものを天秤にかけた場合、こと語学学習に関して言えば、中高年のほうが有利になる(はず)」というのが僕のメッセージです。「年取ったから英語学習はムリ」と考えてしまうのはただの思考停止ですから、もし、英語学習してみたいという素直な感情があるのであれば、「年齢」というしょうもない理由でそれをあきらめることをするのは、しないほうがいいと思います。
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▼この記事を書いた人▼
そっちゃそ
フリーランス英日翻訳者。本業で培った知識や経験をもとに、発音指導をはじめとした語学指導もやっています。noteは、僕の思想や考えをひろく公開するために使用しています。僕の思想や考え方については、考察と思想哲学のマガジンにまとめているのでこちらをぜひご覧ください。詳しいプロフィールはこちらから。


主な著作:「自分の意見を言うことは『役に立つ』」、「外国語を学習すると決めたときに読む本」、「英語発音学習の第一歩」。既刊一覧はこちらから。
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さいごに
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