索引のようなもの-天鵞絨色の種子篇-
この『物語の欠片-天鵞絨色の種子篇-』はカリンとレンを主人公にした、十六番目の物語である。
十六歳(歳ではないけれど)といえば人間なら高校生。よくここまで育ったものだ。おつきあいいただいている皆様には感謝。
と言いつつ、物語はまだまだ続く。
久しぶりのアンソロジーは、アグィーラ王国の面々の、それぞれの過去に遡る物語。再び扉絵にKaoRu IshjDhaさんをお迎えして、三話に一度鳥ではない絵と共にお送りした。今回も、絵から生まれたエピソードがあった。KaoRuさんにも改めて感謝。
1 パキラの話
パキラの過去はこれまでも見え隠れしていたけれど、本人目線で書いたことで、パキラが他人にはもう二度と話さないであろうシュンランとの思い出を書くことができて良かったと思う。この人とエンジュは、人生の何処を切り取っても物語になる。
2 マオの話
マオとシヴァの馴れ初めを書きたかったのだけれど、二人は子供の頃から今の二人とあまり変わらず、自然と一緒に成長していったみたいである。シヴァからマオへのプロポーズ(日本語のプロポーズではなく、文字通り英語のproposingのようなもの)の場面はお預けだけれど、推して知るべし。
3 ローゼルの話
「鳥の歌篇」からずっと、ローゼルとアジュガは縁の薄い父子のように描かれてきたけれど、その実、彼らは彼らなりの強い絆で結ばれているのだと思う。ローゼルもアジュガも、生粋のアグィーラの戦士なのである。
4 ルクリアの話
ルクリアは、回を重ねるごとに共感してくださる方の増える人物だ。多分最初からルクリア目線で書いていたら、物語は全く違うものになっていただろう。こういうところを描けるのが、長編の(いや、長編の中でも相当長編だけれども)の良いところだなあと思うし、私のやりたかったことだ。
5 ネリネの話
恋愛の話を書いていても決して甘くなりすぎないところがネリネとセリの良いところ。安心して書いていられる。セリは、もうちょっと過去とか今のあれこれとかを引き出したいなあと思う人物。ネリネに頑張ってもらおう。
6 ラウレルの話
誰もに驚いていただけたのではないだろうか。今篇の山場である。
ラウレルを思い出の中でなく、もう一度書きたかった。「七色の蛇」の中でエンジュとの関係も仄めかしたけれど、多分ラウレルはエンジュの一番の理解者だったのではないかと思うのだ。でも、それ以上にスズナの味方だった。ラウレルは、エンジュとスズナのことをどんな気持ちで見守っていたのだろう。
7 アキレアの話
私の物語の山はラウレルだったけれど、今回の一連のKaoRuさんの絵の中で一番の山場(?)といえばアキレアではないだろうか。TLに登場した時には誰もが目を持ってかれたと思う。お話の内容は、アキレアはいつでもアキレアらしく。
8 ネメシアの話
ネメシアとイベリスの今後、気になっていただいている方は多いのではないだろうか。私も気になっている。
レンが「イベリスとカリンは似ている」と言っているけれど、そういうことだから、イベリスは多分自分のことは永遠に自分で気がつかない。頑張れネメシア。
9 ユウガオの話
こちらはファンサービスである。ユウガオは人気があるので。
もちろん私自身、書いていて楽しい人物である。
でも彼は何処を切り取ってもあんまり変わらない。
良い感じの真剣さと、人の良さと、それをはぐらかす感じと、気に入らないことに対する腹黒さと。
10 リリィの話
リリィはずっとリリィでしたとさ、というお話。
彼女は彼女なりにまっすぐで、計略なんてないのだけれど、そのまっすぐさが何処かずれている。ある意味可哀想な、ある意味幸せな人である。巻き込まれる人は不幸だけれど。
11 ツツジの話
ツツジは賢い人なのだと思う。子供の頃からずっと。
けれど、賢いが故に自分の感情すらも、賢さで上書きしてしまう。
そんなツツジにフロックスという存在のあったことの救い。
12 レフアの話
書くたびに成長著しいレフア。それでも根っからの純真さを失わないレフアを尊敬したいと思う。ラグラスも、本当にレフアが可愛いのだろうなあ。
レフアの純真さはマグノリアからきている。生まれが王家でなかったマグノリアには、その純真さが命取りだったのだけれど。
13 プリムラの話
プリムラは、最近書いていてとても楽しい人物のひとりである。でもこの人も実はユウガオと同じく、何処を切り取っても今のプリムラなのだ。
環境が変わっただけで、彼の追い求めるものは変わらない。
そしてじわじわくるナウパカの存在感。
14 カエデの話
カエデが漸く父親と母親とのしがらみを抜けて、仲間に目を向け始めた。一歩一歩だけれど、彼も自分自身の世界を広げているし、自分自身を肯定できるようになってきているように思う。
スグリとの友情は意外だっただろうか?
15 シヴァの話
シヴァが感謝の人、というのはコメントをいただいて気がついた。確かに彼を書いているとしょっちゅうお礼の言葉が出てきている。
シヴァ自身は、優秀ではあるものの多分とても素朴な少年のまま成長している気がする。そしてそれが稀有な存在なのだと思う。
16 スグリの話
スグリとエンジュの関係は、実はとても繊細なものである。
多分性質が似ているのだ、この二人。
環境や時代が違ったから、根っこを囲う、内面の少し外側の部分(外面ではない)が少し違うだけで。
賢い二人はそれに気がついていて、だからこそぎこちない(主にスグリ)。
そしてだからこそ、カエデはスグリの心にもするりと入り込んでしまえるのだった。
17 エリカの話
相変わらず自分で築き上げた「私」に籠城しているエリカだけれど、少しずつ綻びができているように思う。
最後にそれを穿つのは、自分自身かそれとも……
18 エンジュの話
互いに壮絶な人生を潜り抜けてきた訳ありの大人二人の、友情の話である。多分。
壮年になって漸く、友情を感じることができるかもしれない二人のお話。
エンジュの話は、書いていて一番エネルギーを使う。
19 カメリアの話
一般的に言えば、悪役とか黒幕とかいう人物なのだと思う。
でも、怖いけれど嫌いになりきれないというコメントが多かった彼女。
さて、その彼女の子供時代とは?
私は個人的に今後のカメリアとパキラの関係がどうなっていくのかに興味津々なのである。
20 イベリスの話
イベリスの話と言いつつ、カメリアの話の続きでもある。
イベリスの過去は、これまでに随分書いてきたから。
普通に血の繋がった兄弟姉妹だって色々あるのだから、血のつながらない、しかも、権力者の家の兄弟姉妹は、色々あると思う。
21 ミントの話
ミントとスミレは「レンのおじさんとおばさん」ではなく、ミントとスミレというそれぞれひとりの人間で、レンのように選ばれた人ではないけれど、それでも様々な壁を乗り越えて生きているのだ、というお話。
22 レンの話
レンとカリンは子供の頃から散々書いてはいるのだけれど、もちろん書ききれていない部分はあるわけで、その中でもイヌワシの岩との出合いのエピソードは書いておきたいなと思って書いた。
23 カリンの話
最近存在感を増してきた局長たちと、それからナウパカ。
ナウパカは、実はとても興味深い人物なのである。
これからも必要な場所で、必要な示唆をくれる、森の主のような人なのかもしれない。
と、いうわけで、物語はまた新たな謎に包まれるわけだが、その前に、KaoRuさんの裏話もぜひどうぞ。
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