【グリフィンの物語】結果発表
はじめに
ふと思い立って募集してみた「グリフィンの物語」に沢山のご応募ありがとうございました。総勢40名、45作品が集まりました。自分では全く宣伝していないのに、他の方がご紹介くださったり、note公式に取り上げていただいたりで、おかげさまできちんとした企画っぽい企画になりました。初めての試みで至らない点もあったかと思いますが温かく見守っていただき有難うございました。
さて、結果発表に行く前に、選定基準を「私の好きな物語」としているので、私の”物語”への思いを少しだけ語っておこうと思います。
私の中で、小説と物語は明確に定義が異なります。物語は広義の小説に含まれますが、その違いは「世界観」を提供できること。今自分が生きているこの世界と地続きにあるどこかの誰かが体験しているお話ではなく、新しい世界を見せてくれるものです。
勿論、舞台が現代日本であっても構いません。そこに、ちょっとした視点の違いであってもいい。私が思いもつかない世界の見方を発見できれば、それは物語になります。
そう言う意味で、今回応募してくださった皆様は、題材がグリフィンだったからかもしれませんが、見事に物語を提供してくださいました。毎日沢山の物語を拝読することができて幸せでした。
私は「物語」が大好きです。何故か自分自身も身のまわりの友人もドラマチックな人生を歩んでいる人が多く、なんというか、小説やドラマの題材になるような話を沢山耳にします。だからこそ私は、文章の中では「物語」に触れていたい。現実世界に疲れた時に、そっと遊びに行ける世界を幾つか持つことは現実世界の安定感につながります。だから自分も、多くの人には響かなくてもいいから、誰かのそんな世界を創りたくて、絵や物語を公開しています。私の描いたグリフィンが、皆様を束の間の物語の世界に連れて行ってくれたならば、こんなに嬉しいことはありません。
私の選んだ三作品
ひとつめ。大橋ちよさん『[読切]エルミグラードのグリフィン』
圧巻の世界観でした。
近未来のSFファンタジーです。西暦3000年代前半と書かれていますが、感覚的にはもっと早くこんな未来が来てもおかしくないなと思います。
実は私の本職はシステム系のエンジニアで、ここに描かれている程規模は大きくはありませんが、実際にとある企業向けにバーチャル空間を検討したことがあります。バーチャル空間での打ち合せは勿論のこと、例えば、バーチャル社食でオーダーすると、Uber Eatsでリアルの世界に食べ物が届くとか、オフィス空間でのすべての活動をバーチャルとリアルを結びつけて実現するプロジェクトでした。
その際にも課題に挙がった「外見(アバター)の改竄」やセキュリティの問題、AI利用についてなどなど、それを生業とする私が読んでも違和感のない設定で書かれており、壮大ながらしっかりとした枠組みの世界観に圧倒されました。
そして、その、バーチャルの世界での”神話”や”ファンタジー”の位置づけ。巧いとしか言いようがありません。何より、物語としてもとても面白かった。大橋ちよさん、素晴らしい物語を有難うございました。
ふたつめ。つる・るるるさん『所沢のグリフィン』
とにかく面白い。そして、この現代日本を舞台としつつ、絶対にあり得ない設定なのに、妙に納得させられる構成と文章力が素晴らしかったです。
私は現在海外に住んでいますが、実家は東京です。所沢は遠くない。私にとってそんな身近な場所を見事に異世界に変えてくれました。
自分の居場所を探して世界中を旅したグリフィンが最後に辿り着いたのが所沢の森。そこで日本の妖怪たちと持ちつ持たれつ仲良く暮らしている様子を想像してほのぼのした気持ちになります。所沢の森が、私の中でいきなりジブリの森になりました。グリフィンが森を飛び出した理由もくすりと笑える。ゲテモノ好きの部長は勿論のこと、登場人物としては出てこないアマビエや他の妖怪までが生き生きとしています。
どうしたらこんなに短い文章でここまで人物(?)と世界観を描き切れるのだろう。純粋な謎です。
つる・るるる節、ここに炸裂。ありがとうございました。グリフィンたちのその後が知りたい。
みっつめ。壱貫亨治さん『アマカケル』
私がこの作品を選んだ理由は前の二つとは少し異なります。
壱貫さんは、私に新たな世界観を提供してくださったわけではなく、私がこのグリフィンに込めた世界観を最も早く正確に言葉にしてくださいました。
「どうしてわかったんだろう?」募集したその日に掲載されたこの詩を読んで先ず私はびっくりしました。
一見力強い言葉が散りばめられた詩ですが、そこにはグリフィンの孤独とある種の諦めと、すべてを受け入れる覚悟が感じられます。
私がこの絵を描いている間ずっと私の中に居たグリフィンが、そのまま語りかけてくるようでした。ああ、そうそう。だから私は貴方の姿を描き写したんだよねと、反対に納得させられたような、これこそまさにリアルな物語を経験させていただきました。
普段の私の絵は、一見写実的に見えますが模写ではありません。実際の鳥が、こんな風に人間に近い感情を持って傍に居てくれたらいいなと思って描いている、私の中の究極のファンタジーです。その立ち位置をも言葉にしていただいたように思いました。
本当にありがとうございました。
ただ、この作品を選ぶにあたり、私は少し迷いました。壱貫さんはご自身が素晴らしい絵を描かれるんです。…私の絵、要りますか??
特別賞
当初、こんなに作品が集まるとは思っていませんでした。素晴らしい作品を沢山贈ってくださったのに、三つを選ぶのは本当に心苦しかった。こうすることで申し訳なさが減るわけでもないのですが、少し賞を増やします。
穂音さん『天翔けるグリフィン』
アナグラム詩という更なる縛りを加えつつ、その縛りの中でグリフィンの住む異世界とグリフィンそのものの躍動感を見事に表現してくださいました。世界の不思議感はピカイチでした。すごいとしか言いようがありません。そしてね、好きなんです、アナグラム。物語も好きだけど、ミステリーや謎解きも大好き。
穂音さんは、記事の中に、私の絵に対する想いも書いてくださいました。とても光栄です。もうひとつ選べるならこの作品でしたので、ここまでをリクエスト絵の対象にしたいと思います。
次点
亀山こうきさん『俳句連作5句「グリフィン」』
俳句に興味を持ち始めたばかりの私に、俳句で物語が描けることを教えて下さった作品です。前四句を経て最後の一句を読むと、本当に一冊の物語を読んだような気持になります。厳選された言葉の力を見せつけられたようでした。
亀山こうきさん、もしよろしければなのですが、すでにある絵でもこれから出てくる絵でも、気に入った扉絵を見つけたらその記事にコメントください。その鳥の絵を差し上げます。期限は特に設けませんので気長にどうぞ。
Special Thanks
お二人は、企画を発表したその日に企画記事を拡散して下さいました。企画が盛況に終わることができたのは、私の実力ではなくお二人の人望の賜物です。更にお二人は相当の時間をかけて練ってくださったのだと分かるような渾身の作品を贈ってくださいました。
企画者としては失格なのですが、こちらの二作品を私は他と並べて公正に選定の対象とすることができず、選定から外しました。
shinoさんの、その多彩な才能を全て詰め込んだ作品からは並々ならぬ愛情を受け取りました。これはグリフィンの物語以上に、私自身の物語でした。
sumicaさんは、いつも私の拙い絵を、文章だけでなくその類稀な企画力と戦略とプロモーション力で後押ししてくださいます。ご自身がインセンティブを受け取ろうというよりは私の成長を願ってくださるリクエストにも本当に頭が下がります。sumicaさんには是非2000字ドラマの方で賞を取っていただきたい!
と、いうわけでお二人にはSpecial Thanksを贈りつつ、ここではご紹介するにとどめました。
最後に
今、Twitter企画でリクエストのあった『フェニックス』の絵を描いています。あまりにも『グリフィン』とテーマが近すぎて、すぐにまた企画やるのもどうなの?と思っていますが、これまた力作なので、noteでもいつかどこかでお目にかけるかもしれません。
それから、企画募集時に提供したグリフィンは、実は未完の作品でした。こちらに完成版を載せておきます(微妙な差です)。
普段はnoteでもTwitterでもひっそりと活動している私ですが、もしどこかで私の絵を見かけたら、まだやってるんだな、と思ってこのグリフィン企画を思い出していただければさいわいです。
本当にありがとうございました。
『焔立つ』-Phoenix (制作中)

『天翔ける』-Griffin

【参加者リスト】エントリー順
壱貫亨治さん、宇宙かっちーさん、ラベンダーさん、穂音さん、Akashiさん、福島太郎さん、のんちゃさん、くろしおさん、亀山こうきさん、つるさん、宇宙RIRAさん、cofumiさん、大橋ちよさん、望月みやさん、末さん、瑠璃星さん、dekoさん、けんさん、二ノ宮旬さん、つる・るるるさん、ひなた@ヒナレコさん、佐久間ユマさん、旅野そよかぜさん、おとなのふりさん、青猫さん、かずきさん、白さん、風花さん、読む猫さん、依田口孤蓬さん、海桜さん、びおさん、utapenさん、いぬいさん、おだしさん、shinoさん、nolyさん、七田苗子さん、sumicaさん、池谷和浩さん
絵のリクエスト方法等は此方を参照下さい▼
