見出し画像

(0)プロローグ【ふるえるままに、すすめ】

【はじめてましての方はこちらからどうぞ】
★プロローグからは(0)こちら
★子供のころのあがり症は(1)こちら
★あがり症を抱えたまま働きだしたストーリーは(4)こちら
★美大受験期・美大中退編は(21)こちら

地中海沿岸のとある都市にある、現代美術館。
広い展示室。白い壁の前に集まる人々。静かなざわめき。

壁に映し出されているのは、映像のインスタレーション作品。

遠浅の海。
浜辺に置かれた椅子。

穏やかに、寄せては返す、長くてやわらかな波が、
椅子の脚を洗い続けている。

やがて椅子は、
ゆっくりと砂に埋もれながら、
わずかに傾いていく。

うには、展示室の端に置かれた椅子に座って、
インスタレーションを見ている人々の後ろ姿を、
少し離れたところから眺めていた。

この作品ができるまで
そしてここにくるまで
20年以上かかったんだ……

「UNI」

名前を呼ばれて、振り返る。

隣の展示室から、
黒いスーツを着こなしたギャラリストが歩いてきた。

「さあ、出番よ」

彼女は大股で颯爽と近づいてくると
うにの胸元にピンマイクをつける。

黒いフワフワの防風カバーがついたそれは、
まるで小さなウニみたいだった。

「緊張してる?」

うにはギャラリストの目を見て、
少しだけ息を吸ってから答えた。

「うん、してる。
めちゃくちゃ緊張してる。手が震えてる」

「やだ、本当だわ。大丈夫?」

「……うん。大丈夫」

そう。
ふるえていても、大丈夫なんだ。

うには、
椅子から立ち上がって、
歩き出した。


👇第一話へ


タイトルを改め、プロローグを追加しました。

このnoteを書きはじめた頃から、
なかなかしっくりくるプロローグが書けずに、
いろいろな角度から何度も考え続けてきました。

そしてようやく、
この物語の全体像と、たどり着く場所が見えた気がしています。

タイトルは
「ふるえるままに、すすめ」。

あがり症を抱えたまま、
それでも前へ進んでいく、
うにの物語です。

あがり症(社交不安障害)って、
「治そう」と思っても、なかなか思い通りにはいきません。

本を読んでも、
病院に通っても。
少しはマシになったと思える日があっても
またある瞬間には
元に戻ってしまって苦しい。

でも、ふと気づいたんです。

人生って、
どこまでいっても「はじめてのこと」の連続なんですよね。

はじめていく場所、はじめて会う人
通りすがっていく様々な、はじめての出来事。

はじめてだから
うまくいかないことの方が多いし。
挽回のチャンスもないまま
人生ってどんどん流れていってしまう。

とりかえしつかなかった後悔が降り積もると
次に新しいことに向き合うときに
どんどん怖さが増していく。

また失敗するんじゃないか。
またやり遂げられないんじゃないか
また誰かを落胆させてしまうんじゃないかって
考えると、ふるえてきちゃう。

でも、止まっていることもできない。

ふるえるままに、進んでいくんです。

今日追加したのは、そのはじまりとなるプロローグです。

noteの仕様上、
過去の記事として差し込むことができなかったのが少し残念ですが、
マガジンのほうでは順番を整えられるはずなので、
そちらも調整していこうと思っています。

もしよければ、
このプロローグにたどり着くまでの旅を、

これからも、
一緒に見てもらえたら嬉しいです。


~今までの物語が読みたい!~
各種マガジンのお知らせ

『続きが更新されたらお知らせが欲しい』というありがた過ぎるみなさまへ。お好みのマガジンをフォローして頂きますと、通知が届きます♪

▼【あがり症|美大中退編】連載中|ふるえるままに、すすめ

▼【あがり症|美大受験編】完結|ふるえるままに、すすめ

▼【仕事編】連載中|ふるえるままに、すすめ

▼【総合】連載中|ふるえるままに、すすめ

▼【閑話休題】随時更新|ふるえるままに、すすめ

▼【うにのLINEスタンプ】随時更新

※本作は実体験をもとに再構成した創作エッセイです。

大切なお知らせ

本作は実体験に着想を得たエッセイですが、プライバシー配慮のため登場人物・団体・時系列・場所等に創作・合成・編集を含みます。特定を意図していません。ただし、うにが感じた気持ちと気づきは本物です。

【質問箱をつくりました】


お気軽にご質問ください~^^


いいなと思ったら応援しよう!