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「社長を引き受けた理由—上場と病が教えてくれたこと」棚瀬連載 第12回

藤沢薬品¹現アステラス製薬が開発した免疫抑制剤
FK506(タクロリムス)²《連載第2回(note記事)》から
誕生したアトピー性皮膚炎薬、|プロトピック軟膏³《連載第3回》

日本での開発に携わった棚瀬は、
グローバルプロジェクトマネジャーとして、
FK506外用剤(後のプロトピック軟膏)
|米国・欧州での展開に従事しました《連載第57回(note記事)》。

会社を離れるという判断をした私の元に、
衝撃的なニュースが届きます。

前回までの連載はこちらから


藤沢薬品を離れた後、私はいくつかの会社を経験しました。

アストラゼネカ、大手CRO、そしてマルホ株式会社。

それぞれ文化も価値観も違い、最初は戸惑うこともありましたが、
どの会社にも
誠実で、優秀で、人として尊敬できる方々がいました。

振り返ってみれば会社を変えるたびに、
私は仕事だけでなく
人から多くのことを学ばせてもらってきたのだと思います。

不思議なことに、
会社を去っても縁は切れませんでした。

今でも連絡を取り合い、
時には相談し、時には笑い合う。

その中の何人かは、
現在xCAREのエキスパートとして若い世代を支えてくれています。

私にとってこれ以上の誇りはありません。

Fujisawa USA時代の一枚
左下のBillさん(当時の北米担当プロマネ)は長年の友人で、
今ではxCAREのエキスパートとして支援してくれています。

60歳、定年という節目に

マルホ株式会社で
私は定年を迎えました。

一区切り、そう言ってもいい年齢です。

実際、「ここまでよくやった」という気持ちもありました。

しかし同時に、
「まだ終わっていない」
という感覚も、どこかに残っていました。


社長を引き受けた理由

そんな時にご縁があって声をかけていただいたのが、
株式会社レナサイエンスでした。

正直、迷いはありました。

私は研究者ではありません。
スタートアップ経営もそれまでの主戦場ではありませんでした。

それでも引き受けたのは
「若い研究者たちの挑戦を途中で終わらせたくない」
と思ったからです。

彼らの目はまっすぐでした。

この研究で、世の中を少しでも良くしたい。

その想いを、
私は何度も見てきました。


初めての世界——上場準備

社長として直面したのは、
それまで経験したことのない世界でした。

主幹事証券会社、
ベンチャーキャピタル、
監査法人、
法律事務所。

数字、契約、説明責任。

製薬会社の開発現場とはまったく違う緊張感がありました。

それでも私は、
この経験を「ありがたい」と感じていました。

なぜなら、経営というものを違う角度から学ぶ機会を与えていただいたからです。


突然の診断

そんな最中の、2020年4月。
私はホジキンリンパ腫、ステージ4と診断されました。

上場準備の最終局面で、社長ががん患者になる。
現実は、容赦ありませんでした。


辞めなかった理由

当時の私は、辞任という選択肢は取りませんでした。

無理をした
と言われればその通りかもしれません。

それでも私は、
治療を受けながら、引き継ぎを行い、
責任を果たす道を選びました。

それが、私なりの誠意だと思ったからです。


経営と命、その交差点で

抗がん剤治療を受けながら、私は何度も考えました。

「自分は、何のために働いてきたのか」

答えは、次第にはっきりしてきました。

肩書きでも会社名でもない。

人です。
人と人の間にある信頼。
次の世代に手渡す経験。

それだけは、病気になっても失うことはありませんでした。


次回へ

治療を終えた私は再び、
「次に何をするのか」を考えることになります。

その答えが、福永将さんと興したxCAREでした。

なぜ、
人をつなぐ会社を作ったのか。

なぜ、
今も前に立ち続けているのか。

次回は、
xCARE創業の原点について書いてみたいと思います。


執筆者:棚瀬 敦
藤沢薬品工業株式会社(現アステラス製薬)にてセファロスポリン、タクロリムスの臨床開発、タクロリムス外用剤の グローバルプロジェクトリーダー、アストラゼネカ株式会社ではプロダクト開発リーダー部の部長として、オラパリブ、 エソメプラゾールなど様々な治療薬の開発リーダー兼務しながらすべての国内開発品目の責任を負う。欧米赴任歴6年間。その後大手CROsのVP/執行役員、 マルホ株式会社の執行役員兼欧米子会社取締役を歴任。2018年から3年間、株式会社レナ サイエンス代表取締役社長を務め、ATインターナショナルを設立(xCAREに吸収合併)。現在は弊社取締役COOの他、複数のバイオベンチャー企業顧問、監査役、アカデミアアドバイザー等を併任。

【連載第1回~第11回投稿はこちらから】

【xCAREとは】

xCAREは医薬品・医療機器業界に特化した専門家プラットフォームです

私たちは、医療業界に必要なプロダクトを1日も早く人々へ届けるため、医薬品・医療器業界で働く方々を中心とした、人財プラットフォームを構築しています。
国内外1700名以上の医療業界の専門家(エキスパート)が登録されていて、エキスパートの方々と共に、既に100社を超える企業を支援させていただいております。
私の役目は、社員やエキスパートが、毎日楽しく、高いモチベーションで社会に貢献していただける世界を作ることだと思っています。
これからもどんどんエキスパート数を増やしていき、お客様がより使いやすいプラットフォームを目指していきます。

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