素材の質感に包まれて
街を構成する建物をたどり
異なる視点を重ねていく。歩く向きにより変わる街
の印象と、連続する形の表裏をなぞる。線や形は色
を帯びる。幾重につむがれた線は層をなしては面と
なり、ざらついた壁は厚みを増しては立体となる。

枯れ葉が舞う街をめぐり

風景に素材を重ね
再び、都市の遺跡のような建物の前に立つ

古代を描くタペストリーをくぐる

敷き詰められたトラバーチンは光を帯び

質感のある壁は陰影を深める

織物のような表情の

コンクリートに時間の層が刻まれて

柔らかな面が立ち上がる

折り重なる線が表面を構成し
空間の質を深めていく

平滑なコンクリートがはつられて

壁一面は凹凸を帯びている

古代からの時間の流れが表現される
空間を、ふと緩める記号に目を留める

壁に刻まれた質感にふれる

静かな空気をまとう空間に

展開される細密さと

手仕事の熱量に圧倒される

トラバーチンの石目に沿って、視線は床から

やわらかな光が注ぐ天井へと促される

コンクリートの壁は布のようにやわらいで

彩色されたタイルは

時代を越える光をまとう
浮かぶ鮮やかな色彩と

柱頭に彫り込まれた動的な形が

揺らめいては混ざり合う

記録に残すことができる空間で

隔てられた時と場所をつなぐ

古代に置かれたまなざしが

時代を越えて交差する

石灰岩に削り出されたベールをまとう女性像の

目線の先の、静かな時間と

重ねられた時代の層と

躍動する古代の記憶を包み込む

空間に沿うようにして
素材の質感に包まれる。コンクリートの表面に模様
が彫られ、はつられて、線描が刻まれる。拡散した光
がほのかに広がる。タイルは色をまとい、大理石に
光が滲む。空間は遥かな時間を定着させるように。
