美術館への旅の始まり場所
椅子と彫刻が、建物と対等の関係を持つような
美術館でもあるスキュルチュール江坂は、10点程
の彫刻作品が主に常設展示されている小さな建物。
建てられてからおよそ30年が経つ。初めて訪れた
のはいつだっただろうか。レンガの壁は時の流れ
に沈むように、褪せては輝きを放つように建ち続け
ている。ここは美術館への旅の始まりの場所でも
あり、その彫刻のような佇まいにもひかれている。

鮮やかな芝生に青い空。その間の時を重ねたレンガの壁

開口部が反転するようにして配置された自立する壁は

ゆるやかに境界を生み出し、壁の存在を際立たせ

その壁は幅を変えながら、彫刻の背景となる壁に連続する
ゆるやかなつながりは、建物についての好きの一つ

また素材の対比は、建物の構成を、壁の存在を明確にし

壁は、壁であることを美しく主張するようにして

緑との程よい距離感を保ちながら

緑と空の間にすっと水平ラインを伸ばしている

壁の重なりに沿うように、緑に囲まれたアプローチが

建物へと続く。壁は高さを変えて連続し

建物への入口への動線に立体感をもたらしている
目線を遮り、動線をつなぎ、リズムをもたらす

存在感のある壁で構成された美術館である

スキュルチュール江坂には、私の好きがつまっていて

レンガ敷の地面に落ちる影にも、壁の存在を感じる
刻々と変わる影の形に、建物に流れる短い時間と

沈みゆくレンガの風合いが持つ長い時間の

隙間を縫うようにして、あせゆくレンガの

手触りを感じながら、建物が放つ声に耳を傾ける

職人の手で焼かれた、一枚ごとに表情の異なるレンガを
たどっては、レンガの風合いに魅せられて

美術館という建物そのものにもひかれている

つながる外部空間と内部空間

空間のつながりという点に、建物の魅力を感じつつ

気がつけば、端正な佇まいのピクトサインに
引き寄せられて、拾い集めて

壁は外部から内部へ、また外部へと連続し

建物に沿うように、角度を変えながら

壁にほどこされた思いをにふれる

スキュルチュール江坂は、美術館への旅の始まりとなる
ミュージアムへのいざないきっかけの場所
縦と横の線で構成された外観。すっと伸びた水平
ラインは空との境界を作る。壁面は連なり、重なり
建物の外観にリズムを与える。地面との関係を強く
もつ美術館は鮮やかな芝生に浮かびあがる。レンガ
の壁は時を積み重ねつつ、椅子と彫刻の器となる。
その存在をありがたく思い、再訪を楽しんでいる。
