万博の風景の中をめぐり歩いて
万博の風景の中を交差する線に沿うように
連続する形をたどる。歩くほどに風景は展開し、
空、建物、緑、人々の関係性の中を進む。そして
それらを混然とさせるパビリオンの横を通る度、
入り組む実像と虚像を複雑さに引き寄せられる。

鏡面に覆われたパビリオンは、万博に広がる風景を
躍動させるようにして建つ

鏡面のパネルは、建物自身を反復させ

空や周囲の建物と、時に静かな関係性を持ちながら

ただ直方体の連なりというだけでない
ゆるやかな曲面が震える姿に、つい立ち止まる

内部で展開されるのは、質量と映像の間にある情景や情念

それは鼓動を重ねる外観にも反映される
様々なデザインの積み重ねの上に成し得た
空を風景を複雑に取り込む建築は
デジタルに沿うように、動的な要素をまとい
その境界を曖昧にさせる姿となる

映り込むその日の空は、雲がにじむ。感情をまとうような

鏡面のパネルが重なり合う鏡の鏡の奥に広がる空

隣に建つ建物も、その鏡面の中で再構成され

角度によって複雑にその姿が映し出される
うつろうような鏡面の中の記憶の形

万博の風景を歩くということは、まだ見ぬ形に

ふれることでもあり、実験的な空間をめぐるほどに

新たな視点により広がる風景がある
大阪・関西万博でデザインされたトイレの数々は

多様でありながら、ひとつというコンセプトのもと

新しい風景を切り開き、個性豊かな施設となるように
選ばれたもの。それは万博であるからこその
表現と形で、風景に変化を与えている

などと、建築をたどり、用をすませ、風景を中を

たどり歩いては、所々に設置されたアートを見上げる

そこにはLEDディプレイ上に行き交う

最小限の形で表現された人々のシルエットは

ジュリアン・オピー氏が人間をシンプルに描く作品で
インターネットの0と1の構成と通じることに
共鳴したGMO熊谷氏の世界最大級のコレクション
最新作となる、今度は、走る女性の姿を描く
Marathon WomenはGinza SIXの吹き抜けに

らせんを描くパビリオンにも目を留める
万博に広がる複雑な風景。周囲を取り込み、アート
の気配をまとう建物。動きのあるアート、風景の中
を歩くほど、それらは新しさを垣間見せてくれる。
ひとときに現れる形の連なりは、未来の風景を示し
ながらも、訪れる人々の記憶に問いかける。そして
万博の風景に、過去の記憶を重ねる旅の続きを。
