風景と言葉の間に沿うように
言葉。風景の中にふわりと浮かぶもの
目には見えないもの。ひねり出されるもの。堂々
と存在を主張するもの。対象の意味を浮き彫りに
するもの。空気感を留めるもの。懐かしい記憶を
定着させるもの。風景と言葉の間にひそむもの。

見え隠れする朝日に、街が動きだす

風景に浮かぶ言葉をパチンと

心に留めるように拾い集め

なんとなくではあるものの

形のおもしろさや重なりに

視点は転じ引き寄せられる

素材、構成、時代、そして今

壁面にひかれた補助線をたどり

時を重ねるもの、今を称えるものに

目を留め、記憶の引き出しを
のぞきこんでは、時と場所をつないでいく

100年となる放送の歴史の上に
形は、街に変化をもたらしていく

海へと向かう道中の少しの寄り道は

街に置かれた石をたどるもの
石は海の記憶をつなぎ

アートに意味が重ねられる

風景に言葉がふわりと浮かぶように
ぐるぐると視点をめぐらせ

円の軌道に散りばめられる形を

集めては、あてはめ、並べていく

建物の隙間の向こうに海がのぞく

広場にできた大きな水たまりに

雲は流れ、曲線が反転する
感情が先に立つ。追いつかない言葉

風景と言葉の間を仰ぎ

たどりついた朝焼けの港に

言葉で表現できるものとできないもの。目に見える
ものと見えざるもの。旅をするということは、その
境界の上を歩くこと。風景の中に、ちりばめられた
言葉のかけらのほんの一部を書き留める。表現した
ものとされないものの間。言葉により意味が生じる
風景も言葉で表現し尽くされることはない。重ねる
ことで浮かび上がる旅の断片。旅を重ねては綴り、
綴られない言葉と、まだ見ぬ風景を思い、かつての
記憶を立ち上げる。言葉と風景の間に沿うように。
