芸術祭の始まりの空を思う
男木島に流れる時の中を歩く。
いつかの旅の光のゆらぎを思う。過ぎ去った15年
の月日。島を照らした太陽も、ゆっくりと過ぎ行く
日々を照らし続ける、光は満ちてはゆらめいて、時
を重ねるほど、記憶の中で静かに層を重ねていく。

石垣に落ちる影

空に浮かぶ板塀

15年前の風景が

音を立てては色をなす
アートが島にちりばめられ

島の風景が動き出す
風景をつなぐ空の下

入り組んだ路地と階段と

表情を持った家々によって

島の風景が描かれる

それぞれの形、暮らし、時間

一件一件、窓を覗き込む

ゆらりと輝く質感が

記憶の中できらめくように

吹き抜ける風に揺れる

家の形がつなぐ風景をたどり
旅と形を重ねている

旅路を振り返るほどに

色や形は連続しては混じり合う

芸術祭の始まりの年に

訪れた男木島に流れた時間は

今に続き、祝祭が重ねられる

風景にひかれた線をたどり

アートは宙に波打つように

ぐるぐると渦巻いては

海と空の境界に浮かぶ

光は満ちて

海にゆらめいては

瀬戸内の島々を照らす
光をつたい、くぐるようにその先へ

過ぎゆく風景を振り返り
15年前の島を訪れた日と

島が重ねた時間を思う
色あせては鮮やかな風景の中、二人を歩いたことを
思いだす。幼かった長男も、次の階段を上っていく。
旅を繰り返す。あの時も今も、またこの先も。時に
日常から非日常へジャンプして、何気ない日々に
変化を見つける。15年の月日は、驚くほど短く、
愛しいほど長くもある。旅はこの先も続いていく。
