見出し画像

重なる視点は過去から現在へ

チケットセンターの窓から見える石の並び

どんよりと雨雲に覆われた空。やむことのない雨
の中の旅は、2013年の芸術祭へと遡る。しとしとと
降る雨の下、静かな島を歩いた記憶に、今の視点を
重ねては、晴れ渡る空を見上げ、島の時間を感じる。



今の目線の先に、かつての旅を



思い起こす。傘をさしては、手をつなぎ



思い思いに島にふれる



懐かしい記憶を乳白色のガラスに重ね



今に焦点を合わせる



過ぎ去った時間が形となって
 

かつての旅に立ち上がる



カラミ煉瓦でできた要塞は、緑に埋もれては



今なお、その姿を留めている



当時の旅も、遺構の間を練り歩くように



過ぎゆく時間に目を止める



旅するほどに視点は重なり



風景との接点の角度は



少しずつずれていく



変わらぬものと、変わりゆくもの



いつもの視点と異なる視点



対象は寄るほどに、動的に



引いては静かに風景を作る



島に浮かぶ小さな白い家は



今も波の向こうに建つ



レンガに切り取られた雲ひとつない空と



雨と光が混じり合う



かつての遺構に、這う蔦が



建物の縁を覆っていく



島を包む緑が映るガラスの奥に



生み出された命の種は



新たな形となって広がっていく



地面に定着された島の風景は



時とともにあせては


島と混じりあうように



人々の記憶をつなぎ



芸術家の込めた



確かな思いが



島に馴染んでいくように



風景の一部となる



降り止まぬ雨に



抑えられた鮮やかさと



晴れ渡る空の下のいろ、かたち


芸術祭に彩られた島は



時を重ねて、輝きを増す



風景に視点を沿わせ



対象への角度を変えては



光と影の間を進み



やわらかな銀の椅子に腰掛けては



眺めてみる。視点を前後にし



対象への角度を変え



過去から今につながる視点を



連続させては



またかつての風景を今に重ねる



雨は風景を滲ませて



光に、レンズは風景を屈折させる


時に映るもの、映らないものへ



旅を重ねては、解像度を上げ


また、滲む景色に思いを馳せる


レンズが雨に浮かぶ。光を重ね合わせる。旅は
対象との接点の角度を変えていく。過去の視点
に現在が重なり、今の目線が、かつての風景を
浮かび上がらせる。ものに宿っては流れる時間。
あせては輝きを増すように、見方によって価値
はゆるやかに振幅していく。晴れ渡る様な空も、
しとしととふる雨も、互いに風景を彩りながら。

いいなと思ったら応援しよう!