見出し画像

線でつながれる記憶の形

形によって呼び起こされる記憶

土地や暮らしや風景の中に、受け継がれるものの形
にふれる旅を続ける。それらはやがて線でつながり
面となり立体的に立ち上がる。線は重なり、混じり、干渉しあいながら、その場所の記憶を紡いでいく。


次に訪れたのは、使われなくなった家屋で



展開されるアートの風景



空間に残されたものや



当時の暮らしの気配を包み込むように



おびただしい数の赤い糸が



重ねられる。中央に置かれるのは、この土地の記憶を紡ぐ



使われなくなった製麺機。住む人のいない家屋



赤い糸は、それらの記憶を編み直すように



空間全体へと広がり、無数につながり



新たな空間を生み出している



赤い糸は、時を経た家の床や天井、壁や格子の



いたるところから、刻まれた時間の量に応じるように



目に見えないものを表出させる



使い込まれた機械は、もう動かないけれど



それらを包み込む赤い糸は、空間を震えさせ



そのものに、また新たな命を吹き込むようにも見える



床から天井へ、梁から壁へ



赤い糸で埋め尽くされる壁や柱



線の記憶は、面となり、空間となり、時間をつなぐ



そのあまりに圧倒的な造形は、芸術家に



この家の記憶が乗りうつったかのようにも感じてくる



きっとそれは意識的に、また無意識に



立ち上がり現れる形



赤い糸に場所の記憶を託しては紡ぐ



塩田千春さんの作品に会いに豊島までやってきた



時が止まった場所に、光が当たり



新たな物語が紡がれていく



紡がれるた空間は、この場所の新たな記憶として



またどこかの記憶と線でつながっていく



赤い糸に導かれて訪れた豊島の記憶は



昨年、大阪で行われた塩田千春さんの展覧会に


つながる。赤い糸で埋め尽くされた空間に



そこに紡がれる物語に


導かれるように、旅先の作品をたどる



万博での作品は遠く眺めることしかできなかったけど


その思いが次なる旅へと向かわせる



塩田千春さんによって手掛けられた作品は



2010年の芸術祭から始まっていて



遠い記憶は、今も土地の人々の心にある


記憶という目に見えないものを表出させる


塩田千春さんにより紡がれる世界。豊島の甲生で
受け継がれてきた製麺機。使われなくなった後も
いらないけれど捨てられない大切なものとして、
残されてきた。かつて住まいであった空間の記憶。
赤い糸の線は重なり、複雑につながり、面となり
やがて空間となる。住まわれなくなった古い家屋。
使われなくなった製麺機。おびただしい線の連なり
が重なり、かつての記憶に語りかける。空間は命を
帯びるように、動的なものとなり時間が動きだす。
赤い糸は空間とモノに語りかけ、記憶を表出させる
ものとなる。線はその場所の記憶を紡いでいく。


いいなと思ったら応援しよう!