日系企業でグローバル人材が育ちにくい理由
ダメだ、こりゃ歯が立たない。
欧州居住経験6年半、英検1級、TOEIC965点を持つ私でも、大手外資で本当のグローバル人材として活躍するのは、ハードルが高かった。
これが私が経験として実際に感じたことです。
「グローバルで活躍できる人材」
皆さんはどんなイメージを持たれていますか。スーツケースを引いて世界中を飛び回っている、会議で流暢な英語を操っている、あるいは海外に住んでビジネスをしている。そんなイメージはないでしょうか。
このnoteでは、 日系大手企業と外資系企業、両方でグローバルな仕事を経験してきた私が感じた、「グローバル人材」のレベル感の差について書いています。
「グローバル人材として活躍してみたい・・・」そんなあなたに、今日の話が、ヒントになれば嬉しいです。
グローバルなキャリアを目指している方、外資系企業への転職を考えている方に読んでいただきたい内容です。
1. マレーシア出張で感じた、埋めがたい「レベル感の差」
先日、本業(グローバル外資系大手企業)にて、マレーシアに出張してきました。日本はまだまだ肌寒いですが、向こうは真夏です。なかなかの真逆で辛かった……。
出張の案件は、アジア全体のHRのリーダーが集まる人事の戦略会議です。私も、東南アジアの、ある事業部の人事責任を持っているので、参加してきました。シンガポール、マレーシア、中国、ベトナム、タイなど、多国籍メンバーが集います。
議題は、ビジネスに関わるものばかり。人事として、現在と今後のビジネスの成長に、人事がどう貢献すべきか、を話し合います。4日間も(笑)。まさに人事の存在意義に関わる話です。
ちなみに、私は、はっきり言うと、現職での海外出張は好きではありません。理由はシンドイからです(笑)
なぜ海外出張は好きじゃないのか、シンドイのか。ここが、今日の記事のお話になります。
簡単に言うと、グローバルで活躍できる定義というか、レベル感が、日本企業と外資系では違うのではないか? というのが理由です。ここについて、自己紹介がてら、深堀りをさせてください。
2. 日本企業では、一応「グローバル人材」扱いだった
私は、前職は日系の超大手企業で、欧州に駐在していました。若手ながら欧州・中近東・アフリカを人事として担当していました。大学でも、欧州留学を経験しています。欧州に住んだ期間は6年半です。以前、5年半のベルギー駐在から得たキャリアの学びについても書きましたが、この駐在経験が、私のグローバルキャリアの原点になっています。
そして今は外資で、アジアと日本を見ている。ざっくり言えば、キャリアの大半を、グローバル人事の分野で過ごしてきたことになります。ただ、日本企業でのグローバルの仕事環境と、外資のそれを経験した今では、両者は様相が異なっていると感じます。
私自身を振り返ると、日本企業時代、私は自分自身をグローバル人材だと思っていました。おそらく、周囲もそういう見方をしていたと思います。日本企業の、”日本人中心の輪の中では”英語ができる方だから、です。英語力はTOEICで言うなら、満点付近。海外にも駐在していましたし。
ところで、日本の海外駐在は、日本人コミュニティの中で仕事をすることが大なり小なりあります。もちろん、企業や派遣地域によりますが。私の場合、駐在員が周囲に多くいましたので、欧州駐在といっても、仕事で使う言語は半分は日本語。日本本社への現地状況レポートを高頻度で行う。日本本社から大挙してやってくる出張者のケアも結構ありました。
出張する側からすれば、現地で日本人がお出迎えするケースも多いですから、出張大好きな人も周囲に結構いました。また、駐在員は、日本本社から来た人ですから、英語が下手でも、ペーペーでも一応気を遣ってくれます。まぁ、そんなこんなで、それなりに社内ではチヤホヤされていましたから、個人的には勘違いしていた感はありました。出世も速かった(笑)。
それで、意気揚々と外資に挑戦するのですが、壁の高さにぶち当たることになります。
3. 外資に移って感じた壁、歯が立たない
当然ですが、外資の日本法人に転職するということは、一気に子会社の立場に変わるということになります。
子会社として日本法人の売上や事業変革などを、地域本社やグローバルから厳しく問われます。それに対して、日本法人のリーダークラスは、英語で打ち返す強さが要ります。
帰国子女でない限り、日本人の英語力は、基本的にはアジアの中でも最下位クラス。実際、EF社の英語力指数(EF EPI)の2025年版でも、日本は世界123カ国・地域中96位、アジア25カ国中18位という結果でした。特に「話す・書く」力の低さが課題とされており、4技能の中でもスピーキングのスコアが最も低いという結果が出ています。
先に挙げたマレーシアへの出張の例も同じです。会議が全て英語であり、議題が戦略に関わる重いものであり、その場で討論。その場で、まとめた内容をバリバリ発表させられます。会議の間でも、どんどん手を上げて、いい質問をしないといけません。日本人だから、とか一切関係なく。むしろ、英語が下手というバリアを超えていかないといけない。
そうした中で、人材として貢献しているか、アセスメントされていると言っていいでしょう。貢献が少ない場合は、会議に呼ばれなくなる可能性もあります。そうなると、キャリアとしては黄色信号が灯ることにもなりかねないのです。私のしんどさを感じる真因はここにあります。
外資系で生き残るための6つの条件という記事でも書いた通り、外資系で生き抜いていくためには、子会社の立場として、モノを言える強さ、英語力が必須アイテムになります。ポジションによっては要らない所もありますが、キャリアアップしていくためには、逃げられない道なのです。
そういう背景もあって、私自身、英語力が飛躍的に伸びたのは、いつか?
それは、日本企業時代の欧州駐在よりも、外資の日本法人で働いた期間だったのです。圧倒的にプレッシャーが違うな、と思いました。
多国籍メンバーがオーディエンスになっていて、大きなスクリーンの前で、プレゼン資料を映しながら発表をし、質疑応答に耐える。もちろんカンペなし、通訳なし。そして、この人は貢献しているか、意義のある発表や質問をしているのか、見られている。全ての瞬間がアセスメントなのです。
ちなみに、外資の日本法人で働くと、相手にすることが多いのは、アジアのハブ拠点で働く幹部たちです。つまり、シンガポール、インド、中国の方々。世界のどの国を見ても、華僑、印僑がいるように、彼らはアグレッシブで動きが速い。ビジネス猛者が多いのです。英語もネイティブ級です。
私自身、欧州在住経験6年半、英検1級ホルダーですが、まともにやり取りするのはそれでも結構大変です。そして、外資では、そんな彼らと戦うことになるわけですが、少なくとも日本企業の駐在時代はそんなプレッシャーはほとんどなかった。若手だったから、というのもあるかもしれません。
もちろん、日本企業でも、一人駐在の場合や、リーダークラスだと、そういったプレッシャーを感じる場面はあると思います。が、少なくとも私の場合はなかったのです。グローバルで活躍できる人材とは何か? この彼我の差を感じたのでありました。
4. 外資の日本法人出身の人が海外で働くことができるか?
ところで、外資で採用面接をしていると、「海外に出て活躍したい」という人によく出会います。会社にもよりますが、可能ではあります。しかし、とにかく海外に行きたいなら、日系大手をオススメします。その方がチャンスは多いからです。背景になる理由は3つ。
①ポジションは争奪戦
まず、そもそも外資の子会社である立場から、地域本社やグローバル本社に行けるのはごく僅かであるからです。外資系ではジョブ型ですから、海外にあるポジションを自分で取りに行くという形になります。そのポジションは、争奪戦です。英語がデフォルトでできる多国籍メンバーと戦って勝ち取る必要があります。
②人を他国に送り込むスタイルは減っている
もう一つの理由は、外資では、海外に人を送り込むというモデル自体を減らしているからです。コストがかかりすぎるのです。オンラインで仕事ができる今、母国にいながら、他国や複数国の責任を持つという形態にシフトしていっていると思われます。なので、本社所属の人を、事業展開する世界各国に送り込むスタイルをまだ取っている日本企業ではチャンスはまだあると思われます。
③基本は転籍。その覚悟はあるか。
最後の理由は、駐在ではなく、転籍という「片道切符」になる形が多いからです。ポジションが変わりますから、日本法人を退職して、海外グループ会社に転籍することになります。インターナショナル人材ということで、多少の給与パッケージの「盛り」はありますが、いつか日本に戻れるという保証は無し。現地でビザが更新できない、ポジションが閉鎖されたら、失業の可能性もあります。
ただ、こうした厳しい環境の中でも生き延びて活躍する人材はホンモノです。以前、優秀な人材の特徴という記事で、成長への「渇望」と、自らしんどいゾーンに踏み込めるかという基準を紹介しましたが、まさにこうした環境を狙いにいって、自ら勝ち取れるかどうかが、その分かれ目だと感じています。
5. まとめ:グローバル人材の「レベル感」を分けるもの
今回のポイントを整理すると、
日本企業の中で「グローバル人材」と見なされることと、外資の中で通用することは、レベル感がまったく違う
日本企業の海外駐在は、日本人コミュニティの中で完結しやすく、英語力が伸びにくい構造がある
外資では、全ての会議・発言が「アセスメント」であり、英語で貢献できなければキャリアに黄色信号が灯る
日本の英語力は世界96位(2025年、EF EPI)。特に「話す力」の弱さが、外資の壁を高くしている
とにかく海外に出たいなら、ポジション争奪戦の少ない日系大手の方がチャンスは多い
外資での海外異動は「転籍」が基本。戻れる保証がない覚悟が求められる
グローバル人材力、英語力、ビジネス戦闘力を本気で上げたい方には外資はオススメです。そういったチャレンジャーをお待ちしています。
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