コミュニケーションによる親の介護の準備
親が高齢になると心配なのは介護。親の介護はある日突然始まるともいわれます。
離れて暮らしていると親の変化に気付きにくく、転倒などをきっかけに急速に認知機能が低下することも。いざという時に困らないようにするには、事前の備えが大切です。
親の介護が始まり、短期間で多くの判断を迫られる時、大きな問題となるのが、親に関する情報が分からず、対応や手続きができない場面が生じることです。
いざというときに慌てないために、事前にできる準備をまとめました。これは、これから介護に向き合う方への“心の余白”をつくるための記事です。
私が実践したこと
私が実践の中で良かったことや失敗を踏まえて、今回の記事を書いています。
いつから、どんな準備をしたら良いのか、母とそれをどうコミュニケーションしたら良いのか、分からないことばかりです。
やって良かったこと
母が古希(70歳)を迎えて、仕事を辞めたことをきっかけに、将来の生活について、母の希望を聞き、しっかりコミュニケーションすることにしたのです。
母は日頃から、介護で子供達の生活に迷惑をかけたくないと言っており、自分が判断出来ない状況になった時に備えて、近くの信頼できる親戚に、介護施設に入る希望を伝えていました。
私も直接、その意思を聞いたことがありました。
そのため、書籍やSNSで情報収集・分析して、病院、デイケア、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、民間の有料老人ホームなど、母が介護サービスを受けるリストを作成し、見える化して説明した後、いつでも見ることができるように母の部屋に置きました。
そして、将来、介護施設に入所する場合に備えて、ここなら良いと思った介護施設の事前に施設見学に行きました。
そこで、費用なども伺ったこともきっかけとなり、母の金融資産について、話すことになりました。
年金、預貯金、保険、家屋の損害保険など、多様な内容だったので、資産の状況を適切に把握し、リストを作成して見える化することにしました。
母が思っていた金額と違っていたようです。
人の記憶というのは、曖昧なこともあると思いました。
見える化したことで、母の記憶にある金融商品の書類を探すして見つけることが出来ました。
そして、その内容を把握して、補償が重複している保険などを見直しました。必要性より、人の付き合いで加入していた保険があったのです。
最後に介護などについて、意見交換してエンディングノートに書くことを母に勧めました。
どのように書いたら良いのか分からないと思うので、私のエンディングノートも渡して、参考にしてもらうことにしました。
実は、私がある経営セミナーに参加した際、家族経営の中小企業の相続もテーマとなっており、エンディングノートの必要性を知りました。
そこで、自分もエンディングノートを書いて見ました。
将来のことを予想して書くことは、とても難しい作業でした。
しかし、時々書き直せば良いので、まず書いてみると発見があります。
例えば、自分が亡くなった時に知らせて欲しい友人リスト。
長く連絡をとっていなかった大学の友人には知らせて欲しいと思ってリストに記載。
それがきっかけで、友人に連絡して定期的に会うことになりました。
今では、お互いの介護についても話しています。
失敗したこと
米寿(88歳)を前に、母が病気で倒れました。
病院に搬送されて治療を受けましたが、残念ながら後遺症で介護が必要になりました。
母とは、頻繁にメールのやり取りをしており、通常はメールを送るとすぐに返信があります。
倒れたその日、メールしたのに返事がないので、少し気になりましたが携帯電話を持たないで外出したのかと思い、親戚に母を見に行ってもらう電話をしませんでした。
メール返信がないことですぐに親戚に電話していれば…
LINEの利用を勧めていれば「既読」にならなければ、早く異変に気付けたのではないか…
アレクサ(Alexa)を毎日利用していた母に、私の名前を呼べば私のスマホが反応する機能があることを教えていれば、倒れて立ち上がれない状況でも私に連絡できたのに…
見守りサービスに加入していれば、一定時間トイレのドアが開かないとスタッフが家に駆けつけたのに…
色々と準備をしたつもりだったけど、可能性が高い事態への備えが充分ではなかった。
後悔しても遅い。
時間は戻らない。
ごめんなさい。
急性期の病院に入院後、医療従事者の息子から、リハビリで機能回復が期待できるゴールデンタイムというのがあり、3ヶ月が勝負なので、おばあちゃんを早く回復期リハビリテーションができる病院に転院させて、リハビリを開始する必要があるとアドバイスがありました。
事前に病院のことも情報収集していたはずなのに、回復期リハビリテーション(最長6ヶ月)に対応する病院を調べていませんでした。
急遽、息子の力も借りて、複数の病院に相談に行きました。
コロナ禍であり、どこも入院後は家族と本人が会うことはできないというリハビリにとっては最悪の時期でした。
何とか、対応できる病院に入院。
コロナ禍なので、遠方から駆け付けた家族も、入院に立ち会えるのは2名のみに制限。病院玄関で車から下車した一瞬だけ、入院を見届けました。
厳しいリハビリのようでしたが、自分の家戻って生活したいという希望があったので、母は頑張りました。
役所の介護認定(要介護)の手続きを進め、退院後の自宅介護などに備えた。
しかし、残念ながら一人暮らしができるようになるまで機能回復できず、本人が希望する介護老人保健施設に入所して、リハビリを継続することにしました。
地方部では、リハビリのスタッフが不足していることや、介護点数の規定などもあり、回復期リハビリテーションでの毎日の数時間のリハビリとは異なり、リハビリ時間は少なかった。
母は、徐々に自分でできることが減少し、車椅子中心の生活になりました。
リハビリ時間(脳トレも含め)の減少
コロナ禍で家族が面会して励ますこともできない
テレビでの詐欺事件等の報道が怖くて、携帯電話の利用をやめた
(注)入院中は、毎日1時間以上(海外出張中み含め)、携帯電話で会話していたのに、突然、携帯電話は詐欺が多いので止める。
テレビ報道の番組制作者は、そのような影響があることは考えていないだろう。危機感を煽って、視聴率向上や新聞販売部数アップしか考えていないと考えてしまうようになった。
高齢者にとって、脳機能を刺激する機会が激減すると、どのような状態になるのか、初めて知ることになった。
介護スタッフからは、脳機能の刺激は大切とアドバイスされていたが、家族として支援することができなかったと後悔している。
地方自治体が支援している特別養護老人ホームの入所は、100人待ちという知人の話もあったので、民間の有料老人ホームを数か所訪問して、介護サービスの状況を確認した。
費用は、入所一時金と毎月の利用料で構成されており、毎月の利用料は会社員だった人の厚生年金の額程度。
一方、入所一時金はゼロから数百万円と幅広の選択肢があった。
その後、介護老人保健施設から直接、特別養護老人ホームに入所することになる。
双方の介護スタッフの方には、本当に良くして頂いて感謝しています。
特養は、老人ホームなので、リハビリメニューはない
おやつの時間に体操をする程度が基本
介護老人保健施設の退所時は、自分で食後の皿洗いをしたり、トイレも少し介助は必要だけど自分でしていた。
しかし、特養に入所して約1年が経過して、トイレはオムツになり、自分で立っていることはできなくなっている。
時々、自宅に一時帰宅するが車椅子での生活。
以下は、書籍などで紹介されている介護に向けた準備を簡潔に紹介してます。

1. 親の現状を把握する
まず大切なのは、「今の状態」を知ることです。
持病や通院状況
飲んでいる薬
日常生活の困りごと(買い物・掃除・移動など)
普段の会話の中でさりげなく聞いておくのがポイントです。
「もしもの話」を急にすると、親も構えてしまいます。
2. お金の状況をざっくり共有する
介護には想像以上にお金がかかることもあります。
年金の額
貯金の有無
保険の内容
介護サービスに使える予算感
すべてを細かく把握する必要はありませんが、
「どのくらい余裕があるか」は早めに共有しておくと安心です。
特に民間の介護施設に入所する場合、現実的には、資金で施設を選択することになります。
3. 重要書類の場所を確認する
いざというときに困るのが「書類がどこにあるか分からない」問題です。
保険証
年金関係の書類
通帳・印鑑
不動産の権利書
親が元気なうちに「ここにまとめておこう」と一緒に整理しておくとスムーズです。
4. 介護サービスについて知っておく
日本には公的な介護サービスがあります。
代表的なのが「要介護認定」と「ケアマネジャー」の存在です。
どこに相談すればいいか(地域包括支援センターなど)
どんなサービスがあるか(デイサービス、訪問介護など)
事前に軽く知っておくだけで、いざというときの行動スピードが変わります。
突然の病気でリハビリが必要なケースがあります。
回復期リハビリテーション病棟のある病院を調べておくと良いと思います。
5. 家族で役割分担を話しておく
介護は一人で抱えると、心身ともに大きな負担になります。
誰が主に対応するか
金銭面はどうするか
緊急時の連絡体制
「まだ早い」と思っても、軽く話しておくだけで後々の衝突を防げます。
6. 自分の生活を守る意識を持つ
とても大事なことですが、
介護は“自分の人生を犠牲にするものではありません”。
仕事とのバランス
自分の休息時間
外部サービスの活用
「頼ること」は決して悪いことではありません。
仕事をしながら親や配偶者ら家族を介護する人が増えている。
2022年の総務省の「就業構造基本調査」によれば、介護をしている人は約629万人、このうち仕事を持つ人は約365万人と6割近くに上り、そのうち会社勤めなどの雇用者は約322万人。

おわりに
親の介護は、正解がないテーマです。
でも、少し準備しておくだけで
“突然の出来事”が“対応できる出来事”に変わります。
完璧を目指さなくて大丈夫です。
できることから、少しずつ。
この記事が、あなたの不安を少しでも軽くできたら嬉しいです。
