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【中央アジア旅#5】世界は変わっていくけれど(トルコ)

2月下旬、ウズベキスタン・キルギス・タジキスタン・アゼルバイジャンのそれぞれの首都と、トルコのイスタンブールをひとり旅してきた。

このnoteでは、トランジットを使ってトルコのイスタンブールを歩いた数時間のことを書く。イスタンブールを訪れるのは2回目、13年ぶりだ。


#DAY5:アゼルバイジャンからトルコへ、そして帰国

ブルーモスクと猫たちの記憶

朝6時半にイスタンブール空港に到着。愛想のかけらもない入国審査をくぐり抜け、大股でずんずんとメトロ駅に向かって、7時前の電車に飛び乗った。飛行機を降りてから電車に乗り込むまでのスピード感には自信がある。

空港駅始発ではないようで、席は地元の人たちで埋まっている。空港からの電車が満席なのって、成田以外ではじめて見たかもしれない。

空港と市内は1時間半の距離だ。15時半の便で東京に帰るので、12時半には空港に戻ってくるとして……と、昨夜マックでイメトレしてあった。次はいつ来られるかわからないから、とことん欲張りになるつもりだ。

サンドイッチの断面みたいに空港を見るの大好き

地下を走っていた電車が地上に出た瞬間、目の前に懐かしい景色が広がり、思わず身を乗り出す。もうすぐそこを歩くというのに、窓越しに何枚も写真を撮った。

駅を出て、街へと歩き出す。どこを見てもモスクのミナレットが目に入る、この感じ。懐かしいという言葉では足りない。早足で進みながらも、ついきょろきょろと辺りを見回した。

トラムに乗り継ぎ、アヤソフィアとブルーモスクが隣り合うエリアをめざす。

到着すると、13年前の記憶がもっとビビッドに蘇ってきた。そうそう、より有名なのはアヤソフィアのほうだと思うけど、私はブルーモスクに心を撃ち抜かれたのだった。あのときもここで猫の写真を撮ったかも、なんてふと思い出したり。

オープン列に並び、ブルーモスクとアヤソフィアを立て続けに見る。

ブルーモスク
アヤソフィア

こんなに美しい人工物が存在していていいのか。しかも、それらを連続でインスタントに見てしまうなんて、バチでも当たるんじゃないだろうか。写真を撮るのも憚られるような美しさで、自分の小ささを唐突に意識しながら天井を見上げる。

開場を一緒に待ってくれた猫ちゃんズ

一日中ここにいられそうだけど、もうそろそろ出なくてはならない。限られた時間ながらも見たいところをしっかり見て、急いで感動し、何度も振り返りながら立ち去る。このせっかちさ、なんだか自分らしくて、いっそ愛おしいくらいだ。

サバサンドだけは次回の旅に申し送り

イスタンブールでやりたかったのは、「アヤソフィアを見る」「ブルーモスクを見る」「屋台のサバサンドかロカンタ(食堂)のドルマを食べる」の3つ。

アヤソフィアとブルーモスクにはチェックマークがついた。残るはサバサンドかドルマだ。

時計を見る。まだ余裕がある。13年前に感動した、ガラタ橋のふもとあたりのサバサンド屋さんをめざし、トラムに飛び乗った。

朝から本気で行動している私はあまり意識していなかったが、実はこの時点でまだ10時である。お店はどこも閉まっていた。人の気配さえほぼなくて、そこにいるのは猫とかもめと私だけ。

ショックなはずなのに、海沿いをぶらぶら歩いているだけで気持ちが高揚してくるからふしぎだ。1週間分の旅の荷物を持ち歩いているけど、身体はふわふわと軽くて、どこまでも歩けそう。

まだまだ思い出のスポットはたくさんある。もっとイスタンブールの街を歩き回りたい。でも心の奥底を覗き込んでみると、過去の旅を上書きしたくないような、矛盾した気持ちも見つかる。

今回はこれくらいにして、この説明のつかない気持ちをそのまま保存してもいいのかもしれない。来たときよりもペースを落として、のんびり空港へ向かうことにした。

それでもあっという間に駅に着いてしまい、わざと電車を1本見送る。ゆっくり歩いたって、1本あとの電車に乗ったって、時計の針が進むスピードを遅らせられるわけではないとわかっているけど。

あの旅の続きを、いまの私と

13年前の旅では、エジプトのリゾート地・シャルムエルシェイクを経てダハブで“沈没”し、そのあとはヨルダンのアンマン、イスラエルのエルサレム、トルコのイスタンブール、イズミル、カッパドキア、パムッカレ、ギリシャのロドス島を回ったんだっけ。セブンヘブン、コーダホテル、イブラヒムじいさんの家と、名物宿を転々としたのも懐かしい。いまの私から見ても満点の旅程である。

あれから13年の間、誰かから「おすすめの旅先は?」「いろいろ旅して、住みたいと思う街ってあった?」と聞かれるたびに「イスタンブール!」と答えてきた。街並みが美しく、ごはんがおいしくて、市場も楽しめる。イスラム教の国だけど、さほど厳格ではなく、異文化体験しやすい。旧市街と新市街の違いがくっきりしていて、いろんな顔を見せてくれる。どんな人にもおすすめしやすい、とびきり魅力的な街だ。

また必ず来ると確信していたけど、思ったより時間がかかってしまった。でも今回の再会は、「この13年間は全部、あの旅の続きだったのかもしれない」と思うくらい、月日の隔たりを感じさせないものだったような気がする。

13年のあいだに、私自身はもちろん、世界も大きく変わった。でも、やっぱりイスタンブールのことは大好きなままだとわかり、なんだかほっとしている自分もいる。

次に来るときもまた、あの頃の自分に再会することになるのかもしれない——そんなことを考えながら、東京行きの便に乗り込んだ。

▼前日までの旅行記はこちら

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