【中央アジア旅#1】きらきらしてない旅のはじまり(ウズベキスタン)
2月中旬、秋から続いた繁忙期がようやく明けることになっていた。なぜか繁忙期とは、年々忙しさが増していくものだ。さすがにここまできたら、何か自分にご褒美を与えなければならないだろう。
というわけで、2月下旬の6日間、以下の5カ国をひとり旅してきた。初訪問はキルギスとタジキスタンだけ。あとは過去に旅して好きになり、再訪のチャンスを狙っていた国である。
・タシケント(ウズベキスタン)
・ビシュケク(キルギス)
・ドゥシャンベ(タジキスタン)
・バクー(アゼルバイジャン)
・イスタンブール(トルコ)

今回の旅はなかなか思い通りにいかず、とほほな場面が多々あった。恥ずかしいけど、そのあたりも包み隠さず記録しておきたいと思う。
まずは1カ国目、ウズベキスタンから。
#DAY1:東京からウズベキスタンへ
さっそくかわいいウズベキスタン
早起きをして、離陸の3時間前に空港着。すべてがスムーズに進み、ゲートで待つ時間がたっぷりあった。繁忙期をくぐり抜けたあとだと、ただぼーっとする時間さえ尊く感じる。

ここで考えていたのは、日本で過ごす時間に安心感がある理由。ほぼすべてのルールを把握しているし、先の展開が予想できるからなんだな、と今さらながら言語化できた。
一方、海外では何がきっかけでトラブルに発展するかも、トラブル発生時に何が起こるかもわからない。私の場合、それらが不安のもとになっているのだろうと思った。
あともう一つ、いま旅先はラマダン(イスラム教の断食月)真っ盛りだということに、このタイミングで気づいてしまった。不安が募る。

今回利用したのはウズベキスタン航空、首都タシケントまでの直行便。ウズベキスタン航空のクリエイティブが好みで、さっそくうきうきする。

機内安全ビデオも魅力的で、目が離せない。タシケントに着くまでの9時間、ずっと流しておいてほしいくらいだ。

この性格でずいぶん苦労してきた
タシケント空港では、白タク群衆からの誘いを振り切り、ホテル方面のバスに乗る。乗り込むとき、念のために運転手さんに「Tashkent central?」(市内中心部に行きますか?)と聞いたら、首をひねったあとに「Tashkent city?」と聞き返された。
centralもcityも同じようなものだろう。「Yes!」と言って乗り込む。

バスの移動中、GoogleMapを見ていると、順調に希望通りの方向へと進んでいる。ところが、いよいよあと1駅というところで、運転手さんがこちらに向かって「Tashkent city!」と叫んだ。
こうやって声をかけてくれるのは、海外の公共交通機関ではよくあることだ。不安でいっぱいで、地図と外の景色を何度も見比べている旅行者としては、たいへんありがたい。むしろ、それを期待して乗車時に行き先を確認している。

ただ、私が確認したかったのは、あくまで市内中心部方面に行くかどうかであって、特定の停留所名を伝えたつもりはなかった。完全に私の知識不足によるミスである。

車内じゅうの視線が集まっていて、「あと1駅先みたいです」なんて言い出しづらい。1駅くらい歩きますよと降りてびっくり、その1駅が1時間近くかかるのだった。

今回はバックパックを背負っていると目立ってしまいそうな旅先なので、ボストンバッグとリュックで来ている。バックパックより軽いけど、長時間の持ち歩きはやはりバックパックのほうが楽だ。しかも道がややこしくて、やっとホテルにたどり着いた頃には疲労困憊だった。ものをはっきり言えない自分の性格を恨むほかない。

ただ、だからこそ見られた景色があったのも事実ではある。

「趣味は海外旅行です」の現実
ホテルの入り口にいる猫ちゃんにご挨拶し、チェックイン。

すでに自宅を出てから17時間ほど経っている。正直、顔も洗わずに寝てしまいたいくらいだ。
しかし、タシケントでの滞在時間はごく短いので、なんとか自分を奮い立たせて街歩きに出かけることにした。海外旅行=きらきらした趣味と思っている人にぜひお見せしたい、リアルな旅のありさまである。

短期間の旅行だからこそ、各都市で「ここだけ行けたらOK」というスポットを決めてきた。タシケントの「ここだけスポット」は、地下鉄と、ハズラティ・イマーム・コンプレックス(モスクやコーラン博物館などが集まった広場)だ。
タシケントの地下鉄は、デザインの美しさで有名だそうだ。もともとソ連みのある地下鉄って大好物なので、ただ駅にいるだけなのに楽しい。



新しそうな車両と古そうな車両が共存しているのも趣深い。古そうな車両では、ドアがバシャンッと音を立てて前触れなく閉まる。挟まったらものすごく痛そうだ。

ハズラティ・イマーム・コンプレックスは暗がりでも存在感があり、イスラム建築萌えの私にはたまらない。しかも、この旅で初めてのアザーン(礼拝を呼びかける放送)をここで聞けて、また遠い国にやって来ることができたのだなあという実感が目からも耳からも得られた。


ホテルに戻り、なんとかかんとかシャワーを浴びる。天井に描かれた、メッカの方向を示す矢印に気づく間もなく就寝した。
#DAY2:ウズベキスタンからキルギスへ
知らない街のカフェほど心ときめく場所はない
2日目、起きてすぐ天井の矢印と目が合って、ここが海外であることを思い出す。折しもアザーンが流れてきた。旅先のベッドで早朝のアザーンを聴いている時間って超プレシャスだ。
ホテルの朝食でビタミンと食物繊維を摂取し、今日の計画を練る。短期旅行では欲張りが命取りになることをよく知っている。バザール(市場)に行くか迷ったすえ、ハズラティ・イマーム・コンプレックスの朝の姿を見るほうを取った。

日が暮れるまで眺めてたいくらい好きなデザイン。バザールも気になるけど、こちらを選んでよかったのだろう。



ウズベキスタンは8年前にも訪れているのだけど、サマルカンドの印象が強すぎて、タシケントの記憶はほとんど残っていなかった。こんなに素敵な街だったんだ。覚えてないけど素敵な街、世界中にたくさんあるんだろうな。こうしてnoteに旅行記を書いたから、もう忘れないはず。

街並みにもソ連の感じがあったり、モスク風デザインの建物が多かったりして、歩いていて飽きることがない。


空港に向かうまでのわずかな時間を使って新市街にも行ってみる。
目指すはカフェ「MASTER COFFEE」。知らない街のカフェで、知らない言葉でのおしゃべりに耳を傾けながらぼんやりする時間は本当に心躍るものであり、このために旅をしているのかもしれないとさえ思う。ウズベク語で「おいしい!」というと、無表情だった店員さんがニコッと笑ってくれた。

出国審査で容疑者になる
空港の出国審査では、すぐに嫌な気配を察知した。審査官が、パスポートと私の顔を険しい表情で見比べているのだ。こういうときって、相手の顔をじっと見つめているのが正解なの?それって逆に怪しいのか?
そのあと、やはりパスポートの写真と実物の顔が違うと厳しく追及された。
確かにパスポートにはちょっと盛れた写真を使っているし、海外ではすっぴんなので、「今は化粧してないだけです」と誠実に伝え続けるほかない。
その説明だけでは納得いかなかったようで、写真つきの証明書を見せてと言われ、スマホじゅうを探して見つけたマイナンバーカードの写真を提出する。ああどうしよう、こちらの写真もやや盛れてしまっている。
さらに「誕生日は?」「パキスタンに行ったのは何年の何月?フィンランドは?サウジアラビアは?」「パスポートの有効期限はいつ?」「パスポートと同じサインをしてみて(こういうこともあろうかと漢字サインにしておいて正解)」などと連続クイズが始まってしまった。
フィンランドは8年前ですと答えたら「NOOOO」。正解は一昨年のアイスランドへの経由地だった。そんなのぱっと出てきませんって!

しかも、厳しい追及のあいまに「今回の旅程はどんな感じなの?え?そんなにたくさんの国に?オーマイゴッド!エンジョイ!」なんてほがらかな雑談が差し込まれるものだから、脳が混乱する。冷や汗がとまらなくて余計に怪しいわ。
写真を2回撮られ、これなら別室送りになったほうがせめてネタとしておもしろかったでしょ……と思いつつなんとか出国した後は、まだ誰もいないゲートでクリーム玄米ブランを食べつつバチェラー6を観る。海外ひとり旅って人恋しくなるから、恋リアが最高のお供なのだ。

飛行機の席がびっくりするくらい狭くて、「うわ、狭っ」と思った瞬間、旅行予約アプリから「間もなく出発です。快適な旅をお楽しみください!」とプッシュ通知が届き、ふふっと笑ってしまった。
次に向かうははじめての国、キルギス。さて、今度はどんな失敗をするのだろう。ちょっとだけ楽しみになってきた。


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