『水曜どうでしょう』初海外ロケで分かり始めた4人の役割と旅の形|第27夜
第18夜↗から続けてきた「オーストラリア大陸縦断3,700キロ」。初めて海外へ飛び出した『水曜どうでしょう』の旅を、ここまで何回かに分けて振り返ってきました。
成田空港から始まった初海外ロケ。キャサリン渓谷、エアーズロック、そしてアデレードまで続く3,700キロの道のり。
今回の第27夜では、これまで見てきた内容を振り返りながら、このオーストラリアの旅で『水曜どうでしょう』が何を見つけたのかを考えてみたいと思います。

少しずつ「どうでしょう」の空気を作り始めていく
(引用元:DVD「オーストラリア大陸縦断3,700キロ」)
第18夜↗でも書きましたが、この旅は決して最初から順調だったわけではありませんでした。
レンタカーの手配に時間がかかり、最初に予定していた場所にも行けない。動物園は想像以上に広く、思ったように撮影も進まない。
初海外ロケとはいえ、普通の旅番組なら「失敗」と扱われてもおかしくないスタートでした。
しかし今振り返ると、この予定通りに進まない時間こそが『水曜どうでしょう』らしさを生み出していたように感じます。
なぜなら、この番組で面白かったのは予定が成功する瞬間ではなく、予定が崩れた時に出てくる4人の反応だったからです。
オーストラリアの広大な景色以上に、車内で何が起こるのか。ここに番組の魅力が少しずつ移っていきました。
第19夜↗では、大泉洋さんのホラ話について書きました。オーストラリアという壮大な場所でありながら、多くの人の記憶に残っているのは絶景だけではありません。
むしろ何もない一本道を走る車内で、大泉さんが語り始める話だったりします。
普通なら移動時間はカットされます。目的地に着いてからが本編。それが旅番組の一般的な作り方です。でも『水曜どうでしょう』では違いました。
長い移動、疲労、退屈な時間。そこから生まれる大泉さんの言葉こそが、一番面白い場面になっていきました。この旅で見え始めた大泉さんの役割。
それは用意されたものを演じることではなく、目の前の状況を面白く変えてしまうことだったのだと思います。

(引用元:DVD「オーストラリア大陸縦断3,700キロ」)
そして、この旅でもう一つ見えてきたのが鈴井貴之さんの存在でした。初期のミスターは企画を考え、大泉さんを連れて行く側の人でした。
しかしオーストラリアでは、少しずつその関係が変化していきます。
第20夜↗でも触れましたが、エアーズロックへ向かうかどうか迷う場面。限られた時間の中で判断を迫られるミスター。そして大泉さんの「行けますよ」という言葉。
ここで見えるのは、単純な出演者と企画者の関係ではありません。一緒に悩み、一緒に判断し、一緒に旅を進める関係です。
いつも冷静に進行する人ではなく、自分自身も旅に巻き込まれる。この「ミスターも一緒に苦しむ」という形が、後のどうでしょうらしい関係性につながっていったのではないでしょうか。
そして出演者だけではなく、スタッフ側の役割もこの旅で見え始めていました。それが藤村忠寿ディレクターの存在です。
普通、テレビ番組のディレクターは画面の外側にいる存在です。しかし『水曜どうでしょう』では、藤村Dの笑い声やツッコミが、そのまま番組の一部になっていきました。
第22夜↗でも書きましたが、藤村Dはただ撮影した素材を編集する人ではありませんでした。現場で起きた出来事を面白がり、それをさらに広げていく存在。
出演者ではないのに、旅を動かしている。この不思議な関係性も、どうでしょう独自の形だったと思います。

(引用元:DVD「オーストラリア大陸縦断3,700キロ」)
そして最後に、嬉野雅道ディレクターの存在があります。第24夜↗でも触れましたが、嬉野Dはただカメラを回していた人ではありませんでした。
どこでカメラを止めるのか。何を撮り続けるのか。その判断によって、『水曜どうでしょう』独特の時間が残されていきました。
第24夜↗の内容のを繰り返しますが、番組初期、嬉野Dも撮影中によく会話へ参加していたそうです。しかし編集してみると、自分の声が入ることで大泉さんの発言まで使いにくくなる場面がありました。
そこで徐々に会話は藤村Dに任せ、自分は撮影する側へ回っていったそうです。話さなかったのではなく、番組にとって一番良い形を選んだ。
その判断もまた、4人のバランスを作る大きな要素になったのだと思います。
オーストラリア大陸縦断3,700キロ。この旅で『水曜どうでしょう』が完成したわけではありません。むしろ、まだ始まりでした。
ただ、この初海外ロケで少しずつ見えてきたものがあります。
予想外を面白くする大泉洋さん。
旅を企画し、自分も巻き込まれる鈴井貴之さん。
現場を笑いで動かす藤村忠寿さん。
自分は一歩引き、その瞬間を残す嬉野雅道さん。
それぞれ違う役割を持った4人だからこそ生まれる面白さ。その形が、このオーストラリアの長い一本道の中で少しずつ見え始めていたのだと思います。
しかし、この時点ではまだ完成ではありません。4人の役割が本当の意味で強く表れ始めるのは、むしろこの後だったのかもしれません。
予想外の展開。終わらない移動。追い込まれていく大泉さん。そして、その状況を楽しそうに見守る3人。
初海外ロケで見え始めた4人の関係性は、次の旅でさらに濃くなっていきます。
次回からは、再び日本へ戻ります。行き先を決めるのは出演者でもスタッフでもなく、一つのサイコロ。
過酷な移動の中で、4人の役割がよりはっきりと見えてくる「サイコロ3」の旅を読み解いていきたいと思います。
(※記事中の画像は、作品紹介および考察を目的として、解像度を下げて引用しています。著作権は各権利者に帰属します。)
次回(第28夜)は、「『水曜どうでしょう』サイコロ3はなぜ金字塔になったのか、深夜バスとの戦いの始まり」について考えていきます。
サイコロ3は、ただ行き先を決める旅ではありませんでした。深夜バスを“戦う相手”として描き、移動時間そのものを笑いに変えていく。
『水曜どうでしょう』が自分たちだけの面白さを見つけ始めた瞬間を読み解いていきます。
※この連載は、これからも『水曜どうでしょう』の魅力を一つずつ読み解いていきます。「❤️スキ」「👤フォロー」で応援いただけると励みになります。
📌皆さんは、『水曜どうでしょう』オーストラリア大陸縦断3,700キロで印象に残っている場面はありますか?
大泉さんのホラ話、ミスターの判断、藤村Dの笑い声、嬉野Dの撮影など、思い出す場面があればぜひコメントで教えてください。
(コメントにはできる限りご返信させていただきます)
--
■運営者(ユウナ)について
このnoteでは『水曜どうでしょう』をテーマに執筆しています。以下の別アカウントでは、普通の会社員だった私が、FIREを達成するまでの資産形成の実体験を記録しています。
