PROFILE:(くすだ・ともこ)1999年に日本ロレアル入社。さまざまなブランド統括および事業部長職を歴任。2020年にバイスプレジテントに就任し、コーポレート・アフェアズ&エンゲージメント本部長を経て、22 年 9 月にコーポレート レスポンシビリティ本部長に就任。日本におけるサステナビリティプログラムやCSR 活動を統括するとともに、企業倫理、人権、DE&Iの推進を担う
宮本智美/阪急うめだ本店グリーンエイジ営業統括部グリーンエイジコンテンツ開発部マーチャンダイザー
PROFILE:(みやもと・ともみ)2001年阪急百貨店(当時)入社。紳士ビジネス用品販売部で販売を担当。阪急うめだ本店ラグジュアリー商品統括部 紳士ラグジュアリー商品部や阪急メンズ大阪の自主編集売り場などのバイヤーを務めたほか、阪急メンズ東京、博多阪急の新装、改装にも携わる。20年にサステナブルコンテンツ開発部のマネージャーに就任。22年から現職
竹岡篤史/化粧品成分開発者 兼 研究者
PROFILE:(たけおか・あつし)国立研究所にてペプチドを用いた経皮ワクチンの開発を経て、企業でスキンケア成分専門部門を立ち上げ、成分開発に従事。以来、25年間にわたり化粧品開発畑を歩み、多くのブランドの製品開発に携わる。2016年にはヨーロッパを代表する美容・コスメイベント「イン・コスメティクス」において、イノベーションアワード金賞をアジアから初受賞
化粧品業界でサステナビリティへの取り組みが加速し、企業側が向き合うテーマはリフィルから循環型売り場、原料調達、リジェネラティブな原料開発まで年々広がっている。その重要度が増す一方で、サステナブルであることや企業の取り組みが、どこまで正しく消費者に届いているのかという課題も浮かび上がっている。ここでは、売り場、企業CSR、開発それぞれの最前線に立つ3人のエキスパートを迎え、サステナビリティの潮流や課題、未来図について語り合った。(この記事は「WWDJAPAN」2026年5月25日号付録「WWDBEAUTY」からの抜粋に加筆しています。無料会員登録で最後まで読めます。会員でない方は下の「0円」のボタンを押してください)
THEME 1
サステナビリティはどのくらい
重要なテーマになっている?
宮本智美・阪急うめだ本店グリーンエイジ営業統括部グリーンエイジコンテンツ開発部マーチャンダイザー(以下、宮本):阪急うめだ本店は、2023年4月に8階に「グリーンエイジ」という編集売り場をオープンしました。約2300平方メートルに40ユニットを展開し、そのうち9ユニットがビューティブランドです。ただ、“サステナビリティ売り場”として打ち出しているわけではなく、“自然共生型ライフスタイル”を提案する売り場として運営しています。お客さまはサステナビリティを買いに来るわけではないんです。やっぱり“かわいい”“おしゃれ”“おいしい”“楽しい”を求めて来店する。環境配慮を特別なものとして訴求するのではなく、“当たり前に入れていく”感覚に近いですね。「グリーンエイジ」では、物販だけではなく、20坪ほどのコミュニティーパークというスペースを設けていて、ワークショップなども行っています。例えば“海を守る日焼け止め”をテーマに、サンゴってどういう生き物なのか、なぜ海を守る必要があるのかを親子で学ぶ企画などですね。そういうことを積み重ねることで、リピートしてくださるお客さまも増えている感覚があります。
楠田倫子・日本ロレアル ヴァイスプレジデント コーポレート レスポンスビリティ本部長(以下、楠田):ロレアル(L'OREAL)はフランスが本社なので、EU規制の影響を非常に強く受けています。例えばCSRD(企業サステナビリティ報告指令:ESG情報の開示を義務付ける新しい法規制)では、一定規模以上の企業に対して、どう事業を運営し、どんなデータを開示するかが求められています。弊社では“ライセンス・トゥ・オペレート”という言い方をしていますが、つまりサステナビリティは事業を行うための最低条件なんです。ですが、それは単なる守りではありません。ロレアルは“世界をつき動かす美の創造”をパーパスに掲げています。ビューティを通じて世界にポジティブなインパクトを与える。環境だけでなく、多様性や社会包摂なども含め、サステナビリティは単なるリスク対応ではなく、価値創造につながるテーマだと思っています。
竹岡篤史・化粧品成分開発者 兼 研究者(以下、竹岡):化粧品開発の上流、特に化粧品原料の国際展示会「イン・コスメティクス」のような成分開発の領域では、サステナブルであることはイノベーションの前提条件になっています。特に欧州では、数年前からあらゆるイノベーションのスタート地点になっている。トレーサビリティーが取れているか、どういう調達をしているか、どういう環境配慮をしているかなどです。それがないと、そもそも成分として採用されにくい。一方で、国内は少しギャップがあります。日本ではサステナブルであることが売れるための必須条件にはまだなっていない。どちらかというと“取り組んでいないと選ばれなくなる”くらいの感覚です。ただ、日本には日本独特の感覚もある。例えば“もったいない”です。日本人はもともと無駄をなくそうという感覚があるし、ちゃんとしたものを使いたいという意識も強い。だから欧州でオーガニック原料が盛り上がったときも、日本では「それ普通じゃない?」みたいな空気があった。
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