「送信元NAT」と「宛先NAT」の違い
予備知識
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| IPアドレス | インターネットをするときにコンピュータに割り当てられる住所。インターネットっぽい通信において、送信先を特定するときとかに使う情報 |
| グローバルIPアドレス | 全世界で通用するIPアドレス |
| プライベートIPアドレス | 仲間内でしか通用しないIPアドレス |
| NAT | あっちのネットワークのIPアドレスとこっちのネットワークのIPアドレスを関連付けて変換する技術。インターネットの話題で登場したときは、グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスを紐付けて変換する技術 |
通信するデータには2種類のIPアドレスの情報が含まれています。
それは
1.宛先IPアドレス
2.送信元IPアドレス
の2つです。

宛先IPアドレスは「ここに届けてね」な情報です。
宛先IPアドレスの情報がないと、どこにデータを届ければ良いのか判断できません。
絶対に必要な情報です。

送信元IPアドレスは「こいつが送りました」な情報です。
それと同時に「ここに返事をちょうだい」な情報でもあります。
通信は「行って来い」なやり取りです。
何か送ったら、それに対する返事を受け取るのが普通です。
「ここに返事をちょうだい」の「ここ」をお知らせする情報が送信元IPアドレスです。

それぞれの用語の意味
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 送信元NAT | 送信元IPアドレスを変換するNAT |
| 宛先NAT | 宛先IPアドレスを変換するNAT |
似ているところ
どちらもNATです。
IPアドレスを紐付けて変換する技術です。

違うところ
データに含まれるどのIPアドレスを変換するかが違います。
送信元NATは送信元IPアドレスを変換するNATです。

宛先NATは宛先IPアドレスを変換するNATです。

例えば、そうですね。
ピヨ太君のパソコンが(1台だけ)社内ネットワークにつながっています。
社内ネットワークはインターネットの世界につながっています。

ピヨ太君のパソコンにはプライベートIPアドレス「192.168.0.2」が割り当てられているとしましょう。
社内ネットワークからインターネットの世界に行くときはグローバルIPアドレスに変換が必要です。
グローバルIPアドレスは「198.51.100.2」を使うことにします。
あと、インターネットの世界には、グローバルIPアドレスが「198.51.100.3」のサーバ(サービスを提供するコンピュータ)があると思ってください。
この状態でピヨ太君のパソコンがインターネットの世界にあるサーバにデータを送るとします。

ピヨ太君のパソコンから発射されたデータには
宛先IPアドレス:198.51.100.3
送信元IPアドレス:192.168.0.2
と書かれています。

特におかしくは、ありませんよね。
宛先はグローバルIPアドレスが「198.51.100.3」のサーバです。
送信元はプライベートIPアドレスが「192.168.0.2」のパソコンです。
問題ありません。
ところがどっこい、これではサーバさんからの返事が受け取れません。
送信元IPアドレス(返事を出す先)がプライベートIPアドレスになっているからです。
社内ネットワークの外にいるサーバさんはプライベートIPアドレスを見せられても「どこだ?これ」と困ってしまいます。

そこでインターネットの世界に出ていくときに、データの送信元IPアドレスをプライベートIPアドレスからグローバルIPアドレスに書き換えます。
宛先IPアドレス:198.51.100.3
送信元IPアドレス:192.168.0.2
だったのを
宛先IPアドレス:198.51.100.3
送信元IPアドレス:198.51.100.2
に変えちゃうのです。

これならサーバさんからの返事も受け取れます。
送信元IPアドレス(返事を出す先)がグローバルIPアドレスになっているからです。
社内ネットワークの外にいるサーバさんでも「あっ、ここに返事を出せば良いのね」と分かるでしょう。

実際には、グローバルIPアドレス「198.51.100.2」宛てに来た返事を、さらにピヨ太君のパソコン(プライベートIPアドレス「192.168.0.2」)に送ってあげる必要がありますけどね。
何はともあれ、サーバさんが、どこに返事を出せば良いか分からなくなる状況は避けられました。
めでたし、めでたし。
これが送信元NATです。
送信元IPアドレスを変換するNAT
です。
次に宛先NATの例を挙げます。
例えば、そうですね。
社内ネットワークの中にサーバが ありました。
このサーバにネットワークの外から接続できるようにしたいです。

サーバに割り当てられているIPアドレスはプライベートIPアドレス「192.168.0.2」でした。
プライベートIPアドレスが通用するのは社内ネットワークの中だけです。
社内ネットワークの外からプライベートIPアドレス「192.168.0.2」にデータを送ってもサーバには届きません。
そこでグローバルIPアドレス「198.51.100.2」をプライベートIPアドレス「192.168.0.2」と紐付け、グローバルIPアドレス「198.51.100.2」宛てに来たデータをプライベートIPアドレス「192.168.0.2」に渡すことにしました。

外からやってくるデータは最初の時点で、例えば
宛先IPアドレス:198.51.100.2
送信元IPアドレス:198.51.100.3
になっています。
宛先IPアドレスはグローバルIPアドレスです。

これを
宛先IPアドレス:192.168.0.2
送信元IPアドレス:198.51.100.3
に変換します。
宛先IPアドレスに書かれていたグローバルIPアドレスを、対応するプライベートIPアドレスに書き換えるのです。

これでプライベートIPアドレス「192.168.0.2」のサーバさんに社内ネットワークの外からデータが届きます。
めでたし、めでたし。
これが宛先NATです。
宛先IPアドレスを変換するNAT
です。
備考
NATは「Network Address Translation(ネットワーク・アドレス・トランスレーション)」の略です。
「Network Address Translation」を何となく日本語にすると「ネットワーク住所変換」となります。[詳細]






