【第五弾】ABC理論:「他人と比べることを手放す」ありのままの自分を受け入れるまで
気づくと、誰かと自分を比べてしまう。
そんなことはないでしょうか。
あの人の方が魅力的に見える。
あの人の方がうまくやれているように見える。
あの人は認められているのに、自分はそうではない気がする。
こうした比較は、意識していなくても、ふとした瞬間に心の中で始まります。
そして比べた結果、落ち込むだけならまだしも、時には人を見下したくなったり、距離を取りたくなったり、心のどこかで「自分の方がマシだ」と思いたくなることもあります。
でも、その奥にあるのは、本当の意味での自信ではなく、傷つきたくない気持ちだったりします。
今回は、そんな「他人と比べてしまう心」について、ABC理論を使いながら整理してみたいと思います。
なぜ私たちは他人と比べてしまうのか
他人と比べること自体は、ある意味では自然なことです。
人は社会の中で生きているので、自分の立ち位置を確かめようとします。
でも問題は、比べることそのものではなく、比べた結果、自分を傷つけることです。
たとえば、
「あの人の方が魅力がある」
「あの人の方が仕事ができる」
「あの人の方が好かれている」
「自分は足りない」
「自分には価値がない」
こんなふうに、自分の中で勝手に結論を出してしまうと、比較はただの情報ではなく、自己否定に変わります。
そして自己否定が強くなると、人は不思議なことに、自分を守るために他人を下に見ようとすることがあります。
これは性格が悪いというより、心が苦しさから自分を守ろうとした反応とも言えます。
ABC理論で見る「比較して苦しくなる心」
ここでABC理論を使ってみます。
ABC理論では、
A:出来事
B:その出来事に対する受け止め方、思い込み、信念
C:その結果として起こる感情や行動
で整理します。
私自身、子どもの頃から、モテないことに強いコンプレックスを感じていました。
この出来事をABCで見ると、こんな流れになります。
A:女の子にモテない
B:モテないのは、自分の見た目が悪いからだ
B:魅力がない自分には価値がない
B:人に認められない自分は劣っている
C:自信をなくす
C:恥ずかしさや劣等感が強くなる
C:人を見下すことで自分を保とうとする
今振り返ると、問題はAそのものだけではありませんでした。
いちばん苦しさを強くしていたのは、Bでした。
つまり、「モテない」という出来事以上に、「モテない=見た目が悪い=価値がない」という自分の中の決めつけが、自分を深く傷つけていたのです。
見下しの裏にあったもの
人を見下す、という言葉は少し強いです。
だから本音では、認めたくない人も多いかもしれません。
でも正直に言うと、私の中にもそういう部分はありました。
なぜなら、比べて負けたくなかったからです。
傷つきたくなかったからです。
「自分には何もない」と思いたくなかったからです。
つまり、人を見下したい気持ちの奥には、見下さないと立っていられないほどの不安定さがあったのだと思います。
これはとても苦しい状態です。
なぜなら、本当は自分を守りたいだけなのに、そのやり方が他人との比較や上下関係に依存してしまうからです。
そしてこの状態では、誰かより上に立てた気がしても、心は安定しません。
また別の誰かが現れれば、すぐに比較が始まるからです。
つまり、比較で作った安心感は、長続きしません。
Bが変わると心はどう変わるか
ABC理論のよいところは、Aを無理に消そうとしなくていいところです。
「モテなかった」という過去をなかったことにする必要はありません。
でも、その出来事に対するBは見直すことができます。
今なら、私はこんなふうに考えられます。
A:女の子にモテない
新しいB:
・モテない理由は見た目だけとは限らない
・自信のなさや関わり方も影響していたかもしれない
・そもそも、人に好かれるかどうかだけで自分の価値は決まらない
・比較の中でしか自分を見られなかったこと自体が、当時の苦しさだったのかもしれない
するとCも変わってきます。
新しいC:
・少し自分を責めずに見られる
・過去の自分にやさしくなれる
・人と比べなくてもいいと感じられる
・無理に誰かを下げなくても、自分でいられる
ここで大事なのは、「私は最高だ」「完璧だ」と無理に思い込むことではありません。
そうではなく、“自分には価値がない”という極端な思い込みを、少しゆるめることです。
この変化が起きると、人と比べる回数そのものが減るというより、
比べてもそこまで自分を傷つけなくなります。
ありのままの自分を受け入れるということ
「ありのままでいい」
という言葉は、やさしいけれど、時々きれいごとにも聞こえます。
自信がないときほど、「そんなこと言われても無理や」と思うこともあります。
でも、ありのままを受け入れるというのは、何もしなくていいとか、成長しなくていいという意味ではないと思います。
そうではなく、
・足りない部分がある自分
・比べてしまう自分
・傷つきやすい自分
・かっこ悪い一面を持っている自分
そういうものを含めて、まず「否定しすぎないこと」なのだと思います。
過去の自分に今ならこう言いたいです。
「そのままでええやん」
「そんなに無理して強がらなくていい」
「人を見下さなくても、お前にはちゃんと価値がある」
「充分イケてるやん」
この感覚が少しずつ育つと、他人との比較は減っていきます。
なぜなら、自分の価値を他人との上下で測る必要がなくなっていくからです。
読者へのメッセージ
人と比べてしまうこと。
自信のなさから人を見下してしまうこと。
そんな自分を見て、さらに落ち込んでしまうこと。
それは、決して珍しいことではありません。
でもそこで大切なのは、「こんな自分はダメだ」と二重に責めることではなく、なぜそうなっているのかを見てあげることです。
ABC理論で言えば、見るべきなのはAではなくBです。
どんな思い込みが、自分を苦しめているのか。
どんな解釈が、自分を小さくしているのか。
そこに気づけるだけで、心は少し自由になります。
人は人。
自分は自分。
この言葉は、ただのきれいごとではなく、何度も比較して、傷ついて、そのたびに立ち返る言葉なのかもしれません。
比較をゼロにすることは難しくても、比較に飲み込まれないことはできます。
そのための第一歩は、自分の頭の中にある思い込みに気づくこと
です。
まとめ
他人と比べて苦しくなるとき、私たちはつい
「相手がすごいから」
「自分が劣っているから」
と考えがちです。
でもABC理論で見ていくと、そこには必ず自分なりの解釈や思い込みがあります。
Aが同じでも、Bが変われば、Cは変わる。
この視点を持てるようになると、比較で苦しむ時間は少しずつ減っていきます。
ありのままの自分を受け入れるとは、完璧になることではなく、
不完全な自分を必要以上に否定しないこと。
その積み重ねが、人生を少しずつ生きやすくしていくのだと思います。
あとがき
このテーマは、理屈だけではなく、自分の痛みとつながっているぶん、書いていても刺さるものがあります。
だからこそ、同じように比較で苦しんできた人には、ちゃんと届く記事になると思います。
ABC理論は、ただ感情を整理するだけじゃなく、自分を傷つけている考え方のクセに気づく道具として、とても強いです。
まず基本から読みたい方へ
【第一弾】ABC理論:介護のストレスはなぜ苦しい?ABC理論でわかる心のしくみ
→【https://note.com/39kaigo/n/ndec641e52fbb】
介護の現場での使い方を知りたい方へ
【第二弾】ABC理論:介護の現場でどう使う?ストレスを軽くする実践ステップ
→【https://note.com/39kaigo/n/nbf68e6e724d2】
利用者さんの怒り・不安・寂しさを理解したい方へ
【第三弾】ABC理論:怒り・不安・寂しさをどう理解する?情動と感情をケアに活かす方法
→【https://note.com/39kaigo/n/n02a0432f8f7b】
実際に心を整理するワークをやってみたい方へ
【第四弾】ABC理論:人生を軽やかにする、具体的なワーク!
→【https://note.com/39kaigo/n/n21eb7ea9c3e9】
比較して苦しくなる心を、根っこから理解したい方へ
人と比べてしまう。
比べたあと、自分を責める。
時には人を見下したくなる。
そして、そんな自分にもまた落ち込む。
この苦しさは、単なる性格の問題ではありません。
そこには、自分が世界や自分自身に与えている“意味づけ”があります。
有料記事では、比較・自己否定・自己受容を、もっと深い視点からまとめています。
「なぜこんなに苦しいのか」を、理屈ではなく腹落ちする形で読みたい方へ。
▶︎ 有料記事 https://note.com/39kaigo/n/n1ed5160c5da1
ABC理論の真髄 世界は簡単に変えられる
――感情に振り回されない人が、心の中でやっていること
