銀河フェニックス物語<出会い編> 第十八話(6) オールスター狂騒曲
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そして、ことしの宇宙船レースS1プライムでは、レイターがエースの代わりに身代わり出場して優勝した。
これは会社の極秘事項に指定されたから、ベルにも言えない。
「さっきから話を聞いていると、レイターがすごいって話ばっかりよ。おのろけにも聞こえるわ」
ベルの言葉に、わたしは首を思いっきり横に振った。

「違うの。レイターは昔、飛ばし屋のリーダーだったのよ」
「そのぐらいじゃ驚かないわよ。エースより速い、って方がよっぽどびっくりだもの」
わたしはさらに声を小さくして、隣の客に聞こえないように言った。
「わたしが言いたいのはそのことじゃなくて、レイターは今もマフィアとか悪い組織にも顔が利いて、脱法行為でお金を儲けてる、ってこと」
ベルはわたしの目を正面から見ていった。
「ねえ、ティリー。そういうことは普通、ただの仕事仲間は知らないものよ」
ベルに指摘されて、心臓がドキッとした。
どうしてわたし、こんなにレイターのこと知っているんだろう。
こんな話をしたせいで、家に帰ってもレイターのことが頭に浮かんでくる。
しばらく厄病神とは会わないようにしよう。
*
と思ったのに、翌日、顔を合わせてしまった。
天気が良かったから、会社近くの公園でお弁当を食べようと、ベルと一緒に外へ出た。
公園の備え付けバスケットゴールに、ボールのはねる音がする。
よく知った顔が、シュートの練習をしていた。
バスケ部キャプテンのトラットさんとレイターだった。
わたしは、気づかないふりをして通り過ぎよう、としたのだけれど、ベルが大きな声であいさつしてしまった。
「こんにちわ、レイター」
「よ、ベルさん」

わたしも挨拶しないわけにはいかない。
「こんにちわ、トラットさん」
ベルがどんどん近づいていく。
仕方なく、わたしも後ろからついて行く。
ベルは楽しそうに二人に話しかけた。
「レイターがうちのバスケ部に入ったら、今度は優勝できるんじゃない?」
トラットさんが答える。
「僕も、そう思って勧誘してるんだけどね」
「う~ん。バスケは好きだけど、ま、暇だったら、ってとこかな」
レイターは乗り気じゃない様子だ。
トラットさんがレイターに聞いた。
「じゃあ、次の週末は空いてないかい? オールスターゲームの前日祭イベントを手伝う人を探してるんだ」
「オールスター!!」
ベルの声が興奮している。
「君たちも来るかい? 前日祭だけど」
トラットさんの誘いに、ベルは大はしゃぎだ。
「行きたい! 行きたい、ね、ティリーも行こうよ。絶対、楽しいよ」
わたしはバスケに詳しいわけでも何でもないけれど、ファン投票で選抜されるオールスターゲームが、バスケファンにとって、一大イベントだということは知っている。
ベルがこんなに喜んでいるのなら、つきあってもいいか。
「週末は空いてるからいいわよ」
「ティリーさんが行くなら、俺が、船出してやるよ」
突然レイターが言った。
この展開は考えていなかった。
「レイター、ありがと」
「ちょ、ちょっとベル」
「いいじゃない。交通費タダだし。わたし飛んでいるフェニックス号に乗ってみたいし」
何だか、思わぬ方向に話がまとまってしまった。 (7)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」