銀河フェニックス物語<出会い編> 第十八話(7) オールスター狂騒曲
・第一話のスタート版
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そして、週末。
わたしの経験からすると、プライベートの時は『厄病神』は発動しない。
フェニックス号の助手席にベルが座った。
「ベルさん。そこはティリーさんの定位置なんだけど」
と、操縦席のレイターが言う。
「銀河一の操縦を近くで見てみたいのよ」

わたしは後部座席でシートベルトをはめた。
「わたしはいつも見てますから、後ろで結構です」
レイターはそれ以上は言わなかった。
船がスーッと動き出す。
「さすがね。動き出したのがわからないくらいスムーズだわ」
ベルが感動している。
「こうやって乗ってもらえれば、燃費もいいし、船への負担も最小限だわ」
そう、レイターの操縦はメーカー的視点でみても完璧だ。
「どうやったら、そういう操縦ができるの?」
ベルが聞いた。
「船の声を全身で聞くんだ」

操縦棹を操作しながらレイターがベルに答えた。
「で、どうしたら船が喜ぶか、とにかく考えてやるのさ」
初めて聞いた。
飛ばし屋とのバトルで助手席に座って、レイターの上手な操縦について知っている気になっていた。
でも、飛ばしている時のレイターの気持ちを、今、初めて聞いた。
「銀河一の操縦士は、言うことが違うわね」
「当ったり前さ」
ベルとレイターは楽しそうに会話を続けている。
悔しいような、もやっとした気持ちが湧き上がる。
『船の声を全身で聞く』と言ったレイターの言葉、もっと早く聞いておきたかった。
*
バスケのオールスターゲームは、ファン投票で選ばれたプロの選手がドリームチームを作って競う、年に一度のイベント。
イベント用の大型宇宙ステーションが会場だった。
本番の試合は明日で、前日祭はファンの集いなどが企画されている。
すでに会場は多くのバスケファンでにぎわっていた。
人の流れに沿って、A区画の大ホールへと向かって歩いていく。と、横から声をかけられた。
「よお、レイター」
背が高くがっしりとした背広姿の男性。
銀河総合警備のクリスさんが、制服を着た警備員の横に立っていた。

「お仕事、ご苦労さん」
レイターが軽く声をかける。
「こんにちわ、ご無沙汰してます」
わたしも挨拶する。
クリスさんには、宇宙船レースS1プライムの警備でお世話になった。
レイターとクリスさんは、昔からの知り合いだという。
「レイター、お前とバスケの会場で会うとはなあ。また一戦交えるか?」
「あんたは仕事だろ」
「ははは、趣味と実益を兼ねる、という奴だ」
バスケ部だったというレイターと、二メートルを超す身長のクリスさん。話の流れからするとバスケ仲間だったようだ。
*
大ホールへ着くと、バスケ部キャプテンのトラットさんが、手を振ってわたしたちを呼んだ。
「いやあ、来てくれて助かったよ。人手が足らなくてさ」
「何しろってんだい?」
「未来のバスケ選手のお相手さ」
少年少女がたくさん集まっていた。
「女子バスケ部なら喜んで」
「残念だけど、レイター、君と僕は『こども教室』担当だ」
「ちっ。ガキの相手かよ」
レイターは不満げに舌打ちをした。 (8)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」