銀河フェニックス物語<出会い編> 第十八話(8) オールスター狂騒曲
・第一話のスタート版
・第十八話(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)
わたしとベルはコートの横のベンチに座った。
トラットさんが子どもたちに教えていくのを、レイターが手助けする。
子どもはレイターに群がった。
指先の上でくるくるボールを回したり、バスケボールでジャグリングしたりバカなことばかりやっているからだ。
「お前らもやってみろ」
これじゃ練習になっていない。

「いいんですか?」
トラットさんに聞くと苦笑いした。
「まあ、ボールと仲良くなるのが一番だからね」
トラットさんが、子どもたちに基本を教え始めた。
真面目なトラットさんは説明が長い。
しばらくすると子どもたちの集中が切れてきた。
話を聞いていない。
見ているわたしたちも退屈してきた。
ダンダンッ
と、突然レイターは何を思ったかドリブルをはじめ、ゴール下からジャンプ。

ダンクシュートを決めた。
わあっ!!
子どもたちから歓声があがった。
悔しいけれど、かっこいい。
「ダンクシュートしたい奴」
レイターがたずねると、背の低い男の子が、真っ先に手を挙げた。
「はい!」
「あんた、何て名前だ」
「レオンです」
レイターはゴール下へ少年を呼び、ボールを持たせた。
「レオン、ちゃんと入れろよ」
と言いながら、少年の体を抱えてジャンプした。
少年はリングの上からボールを入れた。
「あ、ありがとうございますっ」
少年の興奮がわたしにも伝わってくる。
「僕もやりたい!」
子どもたちがレイターの周りに一斉に集まった。
「いいか、一列になって、向こうまでドリブルしてこい。帰ってきた奴からやってやる」
子どもたちは、目を輝かせてドリブルを始めた。
戻ってきた子どもたちを、次から次へと抱き抱えてジャンプする。
結構大きな少年もいるけれど、レイターは軽々と持ち上げた。
「あれじゃあ、レイターの筋トレだよ」
隣のベルが笑っている。
「終わったらパスの練習だ」
レイターも子どもたちも楽しそうだ。
トラットさんも助かった、という顔でパスの指導を始めた。
「レイターって、子どもの扱い方をよく知ってるね」
とベルが言った。
「自分が子どもだからじゃないの」
どうしてだろう。つい憎まれ口になってしまう。
いつものレイターとは、違う一面を見ている。
おちゃらけているけれど、子どもたちと真剣に向き合っているのがわかる。
*
『こども教室』が終了した。
「ボールに触りたくなっちゃった」
そう言ってベルはわたしを誘った。

「パスぐらいなら、つきあおっか」
わたしは、バスケはあまり得意ではないけれど、腰を上げた。
が、軽く考えていた。元バスケ部のパス。速くてついていけない。
しかも、力強くて、手が痛い。
「あ、ごめん」
ベルのパスが少し横にずれた。
ボールを追いかける。ととと、バランスが崩れ、足がもつれた。
痛い。思い切り転んでしまった。恥ずかしい。
・・・ズキン。
思いの外、足が痛い。くじいたようだ。
「ティリー大丈夫?」
ベルが駆け寄ってくる。
と、体がふわりと浮いた。

「ったく、あんた運動不足じゃねぇの」
レイターがわたしの体を抱き抱えていた。 (9)へ続く
・第一話からの連載をまとめたマガジン
・イラスト集のマガジン
いいなと思ったら応援しよう!
ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」