銀河フェニックス物語<出会い編> 第十八話(9) オールスター狂騒曲
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「ちょ、ちょっとレイター」
ヒュー、ヒュー。
「お姫さま抱っこだぁ」
子どもたちがわたしたちを見て冷やかす。
「俺のティリーさんだ、文句あっか!」

レイターの一言で子どもたちは興味を無くしたようだ。
「なあんだ、彼女なのか」
ち、違う。反論しなくては。
やだ、胸が詰まってうまく言葉にできない。
「痛むのか?」
レイターが心配そうな顔でわたしを見つめた。

顔が近い。
普段見慣れない真面目な表情に、また動悸が速くなる。
「あんた、いつものように怒んねぇから」
どういう意味?
レイターは、わたしが怒ることを想定して言ってるの?
わたしのことをからかってる、ってことよね?
「大丈夫です。歩けます!」
わたしは声を荒げた。
「やっぱ、ティリーさんだ」
レイターがくすっと笑った。
*
レイターはわたしをベンチに座らせると、くじいた足の靴を脱がせた。
わたしの素足をレイターの手が包んだ。
大きく温かな手。
レイターは、わたしの足に痛み止めの冷却スプレーをして、慣れた手付きでテーピングを巻いた。
「そんなに捻ってねぇから、すぐ治るさ。しばらく座ってな」

「ごめんね」
ベルが謝る。わたしの方が恐縮する。
「わたしが下手でごめん」
「ベルさん、あんたの相手は俺がするよ」
「でもぉ・・・」
レイターの誘いに、ベルが困った顔でわたしを見た。わたしに気を使っているのがわかる。
「わたしは大丈夫だから、行っておいでよ。わたしのせいで、ベルが楽しめなかったら、その方が嫌だわ」
「じゃ、ちょっと行ってくる」
二人はコートへと戻っていった。
ボールの扱いが本格的だ。
パスしてドリブルしてシュートして・・・。バスケ部だったベルは生き生きとしている。
「うまいじゃん」
「キャプテンやってたのよ」
二人の楽し気な声が聞こえる。ベルは運動神経がいい。
なぜだろう。この場所から離れたい衝動にかられた。
足の痛みは引いていた。痛み止めスプレーが効いている。
「飲み物、買ってくる」
そうつぶやくと、わたしはコートの外へ出た。
*
もともと、ベルに誘われて来たのだ。
ベルとレイターが、バスケという共通の趣味で楽しんでいるのだから、それでいい。
わたしはバスケの熱狂的ファン、というわけでもないんだから。
なのに、同じ場所で同じ空気を吸って、傍観していることが苦しかった。

レイターとベルが楽しそうだから?
悔しいようなもやっとした変な気持ちが、また忍び寄る。
わたしはあわてて頭を横に振った。
違う違う、ベルと自分が一緒に楽しめないことにいら立ってるんだ。
*
スポーツドリンクを買って、帰ろうとしたのだけれど。
考えごとをしていたら、さっき通った道とは違う通路に入ってしまった。
人通りもない。
表示にはH区画と書いてある。
AからD区画がメインの大ホールだった。どっちだろう?
まずい、迷子になってしまった。
と、その時、通路の反対側を子どもが通って行った。
さっき『こども教室』にいたレオン君だ。
(10)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」