銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十五話(5) わたしをバトルに連れてって
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・第三十五話(1)(2)(3)(4)
・第三十五話 まとめ読み版
レイターも自分と同じようなものを感じていたのだ。気持ちが共有できて嬉しくなる。

「別の世界へ飛んでいったかと思ったわよ。すごかったわよね。感動しちゃった」
「大好きなティリーさんと一緒だったからかな」
「何、バカな事言ってるのよ、わたしは重りなんでしょ」
レイターがボソッとつぶやくような声で言った。
「ティリーさん、ずっと一緒に飛んでくれ」

あの幸せな感じ。また、経験したい。
「もちろんよ。重りが必要だったら、いつでもバトルに連れてってちょうだい。きょうはほんと楽しかった。おやすみなさい」
と言ってわたしはエアカーのドアを閉めた。
*
レイターが運転するエアカーが走り出した。
そのテールランプを見送りながら、手を振り、今、交わした会話を思い出す。
顔に血が上ってくる感覚に襲われた。まばたきの回数が速くなる。
ちょ、ちょっと待って、今の何?
心臓がドキドキ音を立てている。今、レイターは「ずっと一緒に飛んでくれ」と言った。
まさか、これって・・・告白? いやいやいや。
*
どうやって部屋に戻ったのかよく覚えていない。
胸の鼓動がおさまらない。息をするのも苦しい。「ずっと一緒に」というワードが強すぎる。
きょうは疲れているのだ。ゆっくり頭を整理しよう。
バトルの時、幸福感に包まれて真っ白な世界を飛んだ。あれは一体何だったんだろう。『あの感覚』とレイターは呼んでいた。
レイターはさっき「大好きなティリーさんと一緒だったから」と言った。
だとしたら、同じものを見たわたしは「大好きなレイターと一緒だったから」ということ?
大好きなレイター、と言葉にして認識した途端、さらに血流が加速した。
立てこもり事件の際、助けに来てくれたレイターのことが、突如頭に浮かんだ。

わたしを抱きしめた、あのたくましい腕の感覚が生々しくよみがえる。
一体わたしは何を考えてるんだ。
首を振って妄想を追い払う。
あの真っ白な世界は、ガレガレさんの船とレイターのあり得ないような操縦のせいで興奮状態になっていたからだ。
レイターがわたしに愛の告白をするわけがない。
レイターが愛しているのはフローラさんなのだ。
『あの感覚』は久しぶりだと言っていた。フローラさんと一緒に体験したに違いない。

結論はわかっている。
レイターは特定の女性とはつきあわない主義。ぐだぐだ考えるのは馬鹿みたいだ。これ以上考える必要はない。
なのに、なのに今日は考えてしまった。
フローラさんはもういない、という現実を。
「ずっと一緒に」という言葉のせいだ。
レイターがフローラさんと一緒に『あの感覚』を共有することはもうできない。
レイターの手が髪に触れた記憶がよみがえる。「俺は人を乗せて飛ぶのが好きなんだ」

人を乗せて飛ばすことが好きな『銀河一の操縦士』が、一番愛しているフローラさんを船に乗せて飛ばすことはもうないのだ。
でも、わたしならレイターの隣に座って、あの幸福に満たされた世界へと飛んでいくことができる。
ずっと一緒に、これから、いくらでも・・・。
「ずっと一緒に飛んでくれ」
レイターの声が頭の中を駆け巡る。無限ループに陥ったようにいつまでも繰り返している。 (6)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」