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銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十五話(5) わたしをバトルに連れてって

銀河フェニックス物語 総目次
第三十話(1)(2)(3)(4
第三十五話 まとめ読み版

 レイターも自分と同じようなものを感じていたのだ。気持ちが共有できて嬉しくなる。

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 「別の世界へ飛んでいったかと思ったわよ。すごかったわよね。感動しちゃった」

「大好きなティリーさんと一緒だったからかな」
「何、バカな事言ってるのよ、わたしは重りなんでしょ」

 レイターがボソッとつぶやくような声で言った。
「ティリーさん、ずっと一緒に飛んでくれ」

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 あの幸せな感じ。また、経験したい。

「もちろんよ。重りが必要だったら、いつでもバトルに連れてってちょうだい。きょうはほんと楽しかった。おやすみなさい」
 と言ってわたしはエアカーのドアを閉めた。

 レイターが運転するエアカーが走り出した。

 そのテールランプを見送りながら、手を振り、今、交わした会話を思い出す。
 顔に血が上ってくる感覚に襲われた。まばたきの回数が速くなる。

 ちょ、ちょっと待って、今の何? 
 心臓がドキドキ音を立てている。今、レイターは「ずっと一緒に飛んでくれ」と言った。

 まさか、これって・・・告白? いやいやいや。

 どうやって部屋に戻ったのかよく覚えていない。
 胸の鼓動がおさまらない。息をするのも苦しい。「ずっと一緒に」というワードが強すぎる。

 きょうは疲れているのだ。ゆっくり頭を整理しよう。

 バトルの時、幸福感に包まれて真っ白な世界を飛んだ。あれは一体何だったんだろう。『あの感覚』とレイターは呼んでいた。

 レイターはさっき「大好きなティリーさんと一緒だったから」と言った。
 だとしたら、同じものを見たわたしは「大好きなレイターと一緒だったから」ということ?

 大好きなレイター、と言葉にして認識した途端、さらに血流が加速した。

 立てこもり事件の際、助けに来てくれたレイターのことが、突如頭に浮かんだ。

s18@戦闘服目を閉じる

 わたしを抱きしめた、あのたくましい腕の感覚が生々しくよみがえる。

 一体わたしは何を考えてるんだ。
 首を振って妄想を追い払う。

 あの真っ白な世界は、ガレガレさんの船とレイターのあり得ないような操縦のせいで興奮状態になっていたからだ。

 レイターがわたしに愛の告白をするわけがない。

 レイターが愛しているのはフローラさんなのだ。
『あの感覚』は久しぶりだと言っていた。フローラさんと一緒に体験したに違いない。

肩を抱く大バックなし

 結論はわかっている。

 レイターは特定の女性とはつきあわない主義。ぐだぐだ考えるのは馬鹿みたいだ。これ以上考える必要はない。

 なのに、なのに今日は考えてしまった。
 フローラさんはもういない、という現実を。
「ずっと一緒に」という言葉のせいだ。

 レイターがフローラさんと一緒に『あの感覚』を共有することはもうできない。

 レイターの手が髪に触れた記憶がよみがえる。「俺は人を乗せて飛ぶのが好きなんだ」

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 人を乗せて飛ばすことが好きな『銀河一の操縦士』が、一番愛しているフローラさんを船に乗せて飛ばすことはもうないのだ。 

 でも、わたしならレイターの隣に座って、あの幸福に満たされた世界へと飛んでいくことができる。

 ずっと一緒に、これから、いくらでも・・・。

「ずっと一緒に飛んでくれ」
レイターの声が頭の中を駆け巡る。無限ループに陥ったようにいつまでも繰り返している。       (6)へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」