銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十五話(6) わたしをバトルに連れてって
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・第三十五話 まとめ読み版
落ち着け、落ち着くんだ。
わたしったら、フローラさんに優越感を感じて喜んでいるのだろうか。
そもそもレイターはわたしに「つきあってくれ」と言ったわけじゃない。「ずっと一緒に飛んでくれ」とバトルに誘っただけなのだ。

でも、違う。いつものレイターとは違っていた。
冗談で「俺のティリーさん」とからかうレイターではなく、本気なのがわたしに伝わってきた。
レイターの声がわたしの大好きな声だった。
だから、わたしは怖くなった。
怖くなった? 何を? レイターの本気を?
* *
レイターがフェニックス号に戻ると、ちょうどアレグロから通信が入った。
俺はおふくろさんのモニタースイッチを指ではじいた。
アレグロの興奮した顔が映る。
「レイター、おい、今日の飛ばしはあれは一体何だったんだ?」

俺は答えに困った。
「あれが、お前が追い求めていた『あの感覚』なのか?」
「だな」
俺はうなずいた。
*
『あの感覚』
俺はこれまでに二度、経験した。
一度目は皇宮警備の予備官になってすぐの頃だから十四の時だ。
無管轄宙域で訓練中にアリオロンの戦闘機部隊と接触し、俺以外全滅した。

俺は敵の凄腕『ハゲタカ大尉』と向かい合った。あの頃の俺の実力じゃ勝てるはずの無い相手だった。
よく覚えていない。
が、映像は残っていた。俺は『あの感覚』の中でハゲタカ大尉を撃ち落としていた。
二度目は、十七の時だ。
フローラと一緒に船を飛ばしていた時、宇宙船の窃盗団を見つけて追いかけた。俺たちが乗っていたのはしょぼいファミリー船だった。なのに、新型船の攻撃をかわして飛び続けた。

時が止まり、すべてをコントロールする感覚。
その再現を俺はずっと追い求めてきた。
そして、きょう、六年ぶりにその感覚が宿った。
*
アレグロが俺に聞く。
「凄かったぞ。少なくとも俺が見てきた裏将軍の飛ばしの中では最高だった。全知全能という感じだ。お前がタイミングを計っていたのはわかっていたが、一体どうやって白魔に追いついたんだ?」
「わかんねぇ」
「あの船か? 新しく買ったガレガレの船がお前の能力を引き出したのか?」
「わかんねぇ。パワーバンドの目盛りを1にした」
アレグロが驚いた顔で俺を見た。
「1だと? それで『あの感覚』が生み出されたのか?」
「わかんねぇ。昨日だって調整で飛んだんだよ。パワーバンドを1にして」
俺はイライラしていた。折角『あの感覚』が蘇ったってのにつかめねぇ。

アレグロはそんな俺に気づいた様だ。丁寧に話を聞いてきた。
「相手が白魔だったからか?」
「わかんねぇ」
「白魔を追いかけてる時、お前はどんな感覚だったんだ?」
「覚えてねぇんだ」
「操縦を全て記憶するお前が、覚えてないのか」
俺は泣きたくなった。
「思い出せねぇんだ。最終コーナーの前あたりから何が起きたか。俺なんだけど俺じゃねぇ奴が操縦してた」
「お前が言っていた通りだな。五段階のレベル六。頭で記憶できない領域だ」
「じゃあ、どうしたら再現できるんだよ!」
俺は拳を机にたたきつけた。
苦しい。
近くまできていることはわかる。折角、つかめそうなのに。
俺の手からまたすり抜けていく。 最終回へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」