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銀河フェニックス物語<出会い編> 第三十五話(6) わたしをバトルに連れてって

銀河フェニックス物語 総目次
第三十話(1)(2)(3)(4)(5
第三十五話 まとめ読み版

 落ち着け、落ち着くんだ。
 わたしったら、フローラさんに優越感を感じて喜んでいるのだろうか。

 そもそもレイターはわたしに「つきあってくれ」と言ったわけじゃない。「ずっと一緒に飛んでくれ」とバトルに誘っただけなのだ。

紅葉ティリー@2情けない逆

 でも、違う。いつものレイターとは違っていた。
 冗談で「俺のティリーさん」とからかうレイターではなく、本気なのがわたしに伝わってきた。

 レイターの声がわたしの大好きな声だった。
 だから、わたしは怖くなった。

 怖くなった? 何を? レイターの本気を?

* *

 
 レイターがフェニックス号に戻ると、ちょうどアレグロから通信が入った。

 俺はおふくろさんのモニタースイッチを指ではじいた。
 アレグロの興奮した顔が映る。
「レイター、おい、今日の飛ばしはあれは一体何だったんだ?」

アレグロ口を開く逆

 俺は答えに困った。
「あれが、お前が追い求めていた『あの感覚』なのか?」
「だな」
 俺はうなずいた。

『あの感覚』
 俺はこれまでに二度、経験した。

 一度目は皇宮警備の予備官になってすぐの頃だから十四の時だ。 
 無管轄宙域で訓練中にアリオロンの戦闘機部隊と接触し、俺以外全滅した。

13レイター小@前目軍服きり

 俺は敵の凄腕『ハゲタカ大尉』と向かい合った。あの頃の俺の実力じゃ勝てるはずの無い相手だった。

 よく覚えていない。
 が、映像は残っていた。俺は『あの感覚』の中でハゲタカ大尉を撃ち落としていた。

 二度目は、十七の時だ。

 フローラと一緒に船を飛ばしていた時、宇宙船の窃盗団を見つけて追いかけた。俺たちが乗っていたのはしょぼいファミリー船だった。なのに、新型船の攻撃をかわして飛び続けた。

横顔笑顔同じ向き

 時が止まり、すべてをコントロールする感覚。
 その再現を俺はずっと追い求めてきた。

 そして、きょう、六年ぶりにその感覚が宿った。


 アレグロが俺に聞く。
「凄かったぞ。少なくとも俺が見てきた裏将軍の飛ばしの中では最高だった。全知全能という感じだ。お前がタイミングを計っていたのはわかっていたが、一体どうやって白魔に追いついたんだ?」

「わかんねぇ」
「あの船か? 新しく買ったガレガレの船がお前の能力を引き出したのか?」

「わかんねぇ。パワーバンドの目盛りを1にした」
 アレグロが驚いた顔で俺を見た。

「1だと? それで『あの感覚』が生み出されたのか?」
「わかんねぇ。昨日だって調整で飛んだんだよ。パワーバンドを1にして」

 俺はイライラしていた。折角『あの感覚』が蘇ったってのにつかめねぇ。

n27見上げる泣きそう4

 アレグロはそんな俺に気づいた様だ。丁寧に話を聞いてきた。
「相手が白魔だったからか?」
「わかんねぇ」

「白魔を追いかけてる時、お前はどんな感覚だったんだ?」
「覚えてねぇんだ」
「操縦を全て記憶するお前が、覚えてないのか」

 俺は泣きたくなった。

「思い出せねぇんだ。最終コーナーの前あたりから何が起きたか。俺なんだけど俺じゃねぇ奴が操縦してた」
お前が言っていた通りだな。五段階のレベル六。頭で記憶できない領域だ」

「じゃあ、どうしたら再現できるんだよ!」

 俺は拳を机にたたきつけた。
 苦しい。
 近くまできていることはわかる。折角、つかめそうなのに。

 俺の手からまたすり抜けていく。     最終回へ続く

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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」