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銀河フェニックス物語<裏将軍編>最後の最後は逃げるが勝ち(14)

銀河フェニックス物語 総目次
裏将軍編のマガジン
・最後の最後は逃げるが勝ち(1)~(10) (11) (12) (13)

* *

 ヘレン。本当にごめんな。
 女性を殴るなんて最低な奴だ、って怒ってくれていいぜ。
 ヘレンの柔らかな身体を抱き抱える。背が伸びたお陰で運ぶのが楽だな。

 身長が伸びても、これ位しかいいことなかったな。
 どうでもいいことを考えながらヘレンをアレグロのM1500に座らせシートベルトを着ける。
「御台。いろいろとありがとな」
 俺はヘレンの頬にそっとキスをした。このぬくもりのお陰で、俺は随分と救われた。

 M1500のエンジンをかける。自動操縦で船が浮上した。しばらくすればアレグロのギャラクシー号に着船するだろう。

 さて、と。俺は御台の船の積荷の鍵を壊して開けた。
 ヒュー。口笛吹いちまったぜ。

顔見合わせ@口笛

 最新式の弩級連撃電磁砲だ。あいつら戦争する気かよ。
 そうだな。こいつを船に搭載してお届けしてやろう。戦闘機乗りの俺にふさわしい。
 ラダルトへの借りはきっちり返す。

 どうせもう、俺には何もねぇんだ。

 フローラごめんな。あんたとの約束果たせなかった。
 銀河一の操縦士にはなれなかった。それどころか、免許すら取れなくて笑っちまうよな。でも、もういい。

n202フローラ正面@微笑

 俺、これからあんたの所へ行く。待っててくれ。

* *

 
 ヘレンが目を覚ますと、そこは見慣れたアレグロの中型船ギャラクシー号の船内だった。
 あたしはソファーで寝ていた。どういう事? 夢を見ているの?
「目が覚めたかい?」
 アレグロの声がした。慌てて体を起こす。

 いつも落ち着いているアレグロが真っ青な顔をしていた。こんな狼狽した彼を初めて見る。ただならぬことが起きている。

「レイターは? レイターはどうしたの?」

18歳 ヘレン後ろ目叫ぶ

 アレグロがテレビに目をやった。ニュースが流れていた。

 画面の中では黒い煙がもうもうと立ち込め、広い建物がオレンジ色の炎に包まれて燃えていた。火の勢いが強い。

 アナウンサーが原稿を読み上げる。
「マフィアのラダルドの本部に小型宇宙船が突っ込みました。多数の死傷者が出ている模様です」

 あたしが荷物を届ける先だったラダルドの本部だ。一体何が起きているの? 嫌な予感がする。足がガタガタ震えてきた。
「御台、お前、自分が何を運んでいたか知ってたかい?」

アレグロ前目む逆

「知らないわ。積荷は開けない約束だったもの。契約書は建築機材だったけれど・・・」
「どうやら弩級電磁砲だったようだ」
「電磁砲?」
「お前の代わりにレイターが届けに行った。電磁砲をぶっ放しながらな」
「・・・・・・」

 アレグロが操作するとテレビの映像が切り替わった。
「船が突っ込む瞬間の映像を、防犯カメラが捉えていました」
 アナウンサーが興奮気味に伝える。

 あたしの船だ。深紅の薔薇を黒く塗りつぶしたあたしの船。
 ラダルドの本部に向かって高速で突っ込んでいく。あたしの船の先端から、バリバリバリと音を立てて実弾が飛び出す。

 恐ろしい破壊力。あれが、あたしの運んでいたブツ。

 ラダルド本部が応戦する。あたしの船に向かって対空砲を撃ちまくる。まるで戦争映画だ。あたしの船は戦闘機のように砲撃をかいくぐり、そして、そのまま本部の建物に激突した。

 バババーーン。
 真っ白な閃光。すぐに、建物は火の海と化した。

「レ、レイターは?」
「わからない」
「生きているの?」
「わからない。突っ込んだのは三十分前だ。警察も消防も何もしていない」
「どういうこと?」
「ラダルドの本部は敷地が広い。一般住宅には被害がでていないんだ。燃えるに任せて、救助活動は行われていない」

 ライブ映像に切り替わる。火の勢いは衰えていなかった。     (15)へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」