銀河フェニックス物語<裏将軍編>最後の最後は逃げるが勝ち(14)
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* *
ヘレン。本当にごめんな。
女性を殴るなんて最低な奴だ、って怒ってくれていいぜ。
ヘレンの柔らかな身体を抱き抱える。背が伸びたお陰で運ぶのが楽だな。
身長が伸びても、これ位しかいいことなかったな。
どうでもいいことを考えながらヘレンをアレグロのM1500に座らせシートベルトを着ける。
「御台。いろいろとありがとな」
俺はヘレンの頬にそっとキスをした。このぬくもりのお陰で、俺は随分と救われた。
M1500のエンジンをかける。自動操縦で船が浮上した。しばらくすればアレグロのギャラクシー号に着船するだろう。
さて、と。俺は御台の船の積荷の鍵を壊して開けた。
ヒュー。口笛吹いちまったぜ。

最新式の弩級連撃電磁砲だ。あいつら戦争する気かよ。
そうだな。こいつを船に搭載してお届けしてやろう。戦闘機乗りの俺にふさわしい。
ラダルトへの借りはきっちり返す。
どうせもう、俺には何もねぇんだ。
フローラごめんな。あんたとの約束果たせなかった。
銀河一の操縦士にはなれなかった。それどころか、免許すら取れなくて笑っちまうよな。でも、もういい。

俺、これからあんたの所へ行く。待っててくれ。
* *
ヘレンが目を覚ますと、そこは見慣れたアレグロの中型船ギャラクシー号の船内だった。
あたしはソファーで寝ていた。どういう事? 夢を見ているの?
「目が覚めたかい?」
アレグロの声がした。慌てて体を起こす。
いつも落ち着いているアレグロが真っ青な顔をしていた。こんな狼狽した彼を初めて見る。ただならぬことが起きている。
「レイターは? レイターはどうしたの?」

アレグロがテレビに目をやった。ニュースが流れていた。
画面の中では黒い煙がもうもうと立ち込め、広い建物がオレンジ色の炎に包まれて燃えていた。火の勢いが強い。
アナウンサーが原稿を読み上げる。
「マフィアのラダルドの本部に小型宇宙船が突っ込みました。多数の死傷者が出ている模様です」
あたしが荷物を届ける先だったラダルドの本部だ。一体何が起きているの? 嫌な予感がする。足がガタガタ震えてきた。
「御台、お前、自分が何を運んでいたか知ってたかい?」

「知らないわ。積荷は開けない約束だったもの。契約書は建築機材だったけれど・・・」
「どうやら弩級電磁砲だったようだ」
「電磁砲?」
「お前の代わりにレイターが届けに行った。電磁砲をぶっ放しながらな」
「・・・・・・」
アレグロが操作するとテレビの映像が切り替わった。
「船が突っ込む瞬間の映像を、防犯カメラが捉えていました」
アナウンサーが興奮気味に伝える。
あたしの船だ。深紅の薔薇を黒く塗りつぶしたあたしの船。
ラダルドの本部に向かって高速で突っ込んでいく。あたしの船の先端から、バリバリバリと音を立てて実弾が飛び出す。
恐ろしい破壊力。あれが、あたしの運んでいたブツ。
ラダルド本部が応戦する。あたしの船に向かって対空砲を撃ちまくる。まるで戦争映画だ。あたしの船は戦闘機のように砲撃をかいくぐり、そして、そのまま本部の建物に激突した。
バババーーン。
真っ白な閃光。すぐに、建物は火の海と化した。
「レ、レイターは?」
「わからない」
「生きているの?」
「わからない。突っ込んだのは三十分前だ。警察も消防も何もしていない」
「どういうこと?」
「ラダルドの本部は敷地が広い。一般住宅には被害がでていないんだ。燃えるに任せて、救助活動は行われていない」
ライブ映像に切り替わる。火の勢いは衰えていなかった。 (15)へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」