銀河フェニックス物語<裏将軍編>最後の最後は逃げるが勝ち(15)
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アレグロに確認しておきたい。レイターが教えてくれなかったことを。
「レイターは免許が取れたのね」
「どうしてそう思う?」
「だって、船を操縦してた」
「俺も止めたんだぜ。免許を取れなくなってもいいのかって」
あたしは思わず唾を飲み込んだ。
「あいつは言ったよ。ヘレン、お前を救うためなら免許も要らないと」
「嘘よ、嘘。レイターよ。船のことしか頭にない宇宙船バカなのよ。免許が要らないなんていう訳がない」
涙が止まらない。

とことん堕ちても構わないと思っていた。それをレイターが命懸けで止めにくるなんて思ってもいなかった。
彼が船の免許を棒に振るなんて、ありえない。
レイターとの最後の会話が蘇る。
「世の中にゃ、免許より大切なモノがあるのさ」
あんなに穏やかな彼の笑顔を初めて見た。
あたしは何てバカだったんだろう。レイターのことを全然わかっていなかった。
あたしが彼を死に追いやったのだ。
* *
アレグロはレイターとのやり取りを思い出して頭を抱えた。こんな事態は想定していなかった。俺の判断ミスだ。
レイターは俺に頭を下げた。
「アレグロ、俺なら御台を救える。あんたの船を貸してくれ」
御台所に追いつけるのは裏将軍しかいない。そして、こいつは力づくでも何でも御台を引き止めるだろう。だが、
「どうするんだ免許は」
「もういいんだ」
その言葉に驚いた。
「銀河一の操縦士になれなくなるぞ」
「構わねぇ」

こいつは御台を助けに行くと腹を決めている。
「御台がお前を愛していたのは知っていたが、お前も御台を愛していたのか?」
二人は恋人のふりをするという契約を交わした。それはギャラクシー・フェニックスの解散で終了した。
「俺が愛しているのはフローラだけだ」
即答だった。今は亡き元彼女。
レイターは俺の目をまっすぐ見て続けた。
「だけどさ、アレグロ。友情のために命を懸けるってのもあるんじゃねぇの」
レイターは語彙力が足りない。友情と言う言葉は俺とお前の間で使う言葉だ。御台との関係を表す言葉とは違う。俺はレイターに言った。
「友情よりは愛だろ。ただし恋愛の愛じゃない。純愛の愛だ」
「かもな」
そう言ってあいつは遠くを見つめて微笑んだ。

レイターがクリス警部との約束を破って船に乗ったとしても、そのことを警察に隠し通せば何とかなる。レイターが飛ばすのは愛機の突風教習船ではなく俺のM1500なのだ、俺が操縦したと嘘を突けばいい、と俺は軽く考えていた。
だが、レイターは違った。
『銀河一の操縦士』の矜持。
そこを俺は読み違えた。普段は、盗みも騙しも平気なあいつが、操縦免許だけは一点の曇りもなく手に入れようとしていたのだ。
そして、免許を手にできないのであれば、自分が存在する価値がないと考えた。
レイターはずっと死にたがっていた。俺はそのことに気付いていたのに、きちんと手当てできなかった。
アナウンサーは聞きたくない続報を伝えていた。
「ラダルドの本部に突入した身元不明の人物は、そのまま死亡した模様です」
御台はソファー倒れこんで動かない。とりあえず月へ連れて帰ろう。
「あいつは不死身だ」
御台に、というより自分に言い聞かせてみるが、気休めにもならない。
ラダルト本部の火災は鎮火し、現場検証が始まった。
レイターが死んだという確定的な情報はニュースで伝えていない。警察内部の情報が欲しい。
気は進まないが、大兄者に頼るか。
悩んだ俺は、とりあえず銀河警察のクリス警部に連絡を入れた。
モニター一面にクリス警部の怒った顔が映し出された。
「あんたら、何やってくれたんだ!」

いきなりの怒鳴り声だった。 最終回へ続く
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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」
レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」
ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」
レイター「なんか、すげぇな……」