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銀河フェニックス物語<裏将軍編>最後の最後は逃げるが勝ち(15)

銀河フェニックス物語 総目次
裏将軍編のマガジン
・最後の最後は逃げるが勝ち(1)~(10) (11) (12) (13) (14)

 アレグロに確認しておきたい。レイターが教えてくれなかったことを。
「レイターは免許が取れたのね」

「どうしてそう思う?」
「だって、船を操縦してた」
「俺も止めたんだぜ。免許を取れなくなってもいいのかって」
 あたしは思わず唾を飲み込んだ。
「あいつは言ったよ。ヘレン、お前を救うためなら免許も要らないと」

「嘘よ、嘘。レイターよ。船のことしか頭にない宇宙船バカなのよ。免許が要らないなんていう訳がない」
 涙が止まらない。

振り向き涙逆

 とことん堕ちても構わないと思っていた。それをレイターが命懸けで止めにくるなんて思ってもいなかった。
 彼が船の免許を棒に振るなんて、ありえない。

 レイターとの最後の会話が蘇る。
「世の中にゃ、免許より大切なモノがあるのさ」
 あんなに穏やかな彼の笑顔を初めて見た。 

 あたしは何てバカだったんだろう。レイターのことを全然わかっていなかった。

 あたしが彼を死に追いやったのだ。

* *


 アレグロはレイターとのやり取りを思い出して頭を抱えた。こんな事態は想定していなかった。俺の判断ミスだ。

 レイターは俺に頭を下げた。
「アレグロ、俺なら御台を救える。あんたの船を貸してくれ」
 御台所に追いつけるのは裏将軍しかいない。そして、こいつは力づくでも何でも御台を引き止めるだろう。だが、
「どうするんだ免許は」
「もういいんだ」
 その言葉に驚いた。

「銀河一の操縦士になれなくなるぞ」
「構わねぇ」

アレグロ

 こいつは御台を助けに行くと腹を決めている。
「御台がお前を愛していたのは知っていたが、お前も御台を愛していたのか?」
 二人は恋人のふりをするという契約を交わした。それはギャラクシー・フェニックスの解散で終了した。

「俺が愛しているのはフローラだけだ」
 即答だった。今は亡き元彼女。 

 レイターは俺の目をまっすぐ見て続けた。
「だけどさ、アレグロ。友情のために命を懸けるってのもあるんじゃねぇの」
 レイターは語彙力が足りない。友情と言う言葉は俺とお前の間で使う言葉だ。御台との関係を表す言葉とは違う。俺はレイターに言った。
「友情よりは愛だろ。ただし恋愛の愛じゃない。純愛の愛だ
「かもな」
 そう言ってあいつは遠くを見つめて微笑んだ。

出会い9レイター紫

 レイターがクリス警部との約束を破って船に乗ったとしても、そのことを警察に隠し通せば何とかなる。レイターが飛ばすのは愛機の突風教習船ではなく俺のM1500なのだ、俺が操縦したと嘘を突けばいい、と俺は軽く考えていた。

 だが、レイターは違った。
 『銀河一の操縦士』の矜持。
 そこを俺は読み違えた。普段は、盗みも騙しも平気なあいつが、操縦免許だけは一点の曇りもなく手に入れようとしていたのだ。
 そして、免許を手にできないのであれば、自分が存在する価値がないと考えた。

 レイターはずっと死にたがっていた。俺はそのことに気付いていたのに、きちんと手当てできなかった。

 アナウンサーは聞きたくない続報を伝えていた。
「ラダルドの本部に突入した身元不明の人物は、そのまま死亡した模様です」

 御台はソファー倒れこんで動かない。とりあえず月へ連れて帰ろう。
「あいつは不死身だ」
 御台に、というより自分に言い聞かせてみるが、気休めにもならない。

 ラダルト本部の火災は鎮火し、現場検証が始まった。
 レイターが死んだという確定的な情報はニュースで伝えていない。警察内部の情報が欲しい。
 気は進まないが、大兄者に頼るか。
 悩んだ俺は、とりあえず銀河警察のクリス警部に連絡を入れた。

 モニター一面にクリス警部の怒った顔が映し出された。
「あんたら、何やってくれたんだ!」

n135クリス@一文字む

 いきなりの怒鳴り声だった。    最終回へ続く

第一話からの連載をまとめたマガジン 
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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」