Amtrak アメリカ鉄道旅 18 クレセント
今回は、ニューヨークとニューオリンズを結ぶ路線、Cresent(クレセント)を紹介します。クレセントは、ニューヨークとニューオリンズを30時間かけて結びます。途中、アトランタを通りますが、路線から見る景色は、他のアムトラックと比べると単調です。ただ普段あまり行かない南部の町を通るので、他の路線では見ることのできない南部の景色が広がりますので飽きることはありません。個人的には東海岸から南部へ向かう景色のグラデーションが見どころだと思います。

ニューオリンズは、以前紹介したシティ・オブ・ニューオリンズ(シカゴ-ニューオリンズ間)やテキサス・イーグル(ロサンゼルス-ニューオリンズ間)などいくつかのアムトラック路線終着駅・始発駅として使われています。これらの路線をニューオリンズ乗り換えで利用すると、アメリカ全土にアムトラックで行くことが可能です。クレセントを使うと、ニューヨークから、南回りでロサンゼルスに向かうことも可能です。
運行間隔:毎日運行(ニューヨーク-ニューオリンズ間)
運行都市:ニューヨーク - グリーンズボロ - アトランタ - ニューオリンズ
時間:30時間
距離:2,216km
スケジュール・ハイライト
・毎日運行しています。上下線共に1日1列車の運行です。
・ニューヨーク発は午後、ニューオリンズは朝出発となります。時刻表通りに走ると上下線はアトランタ駅付近ですれ違います。
・曜日により時刻表が若干違いますのでご注意を。

座席とクラス
Coach Class Seat
Viewliner Roomette
Viewliner Bedroom
Viewliner Bedroom Suite
Viewliner Accessible Bedroom
食事について
クレセントにはカフェカーとダイニングカーが連結されています。
カフェカーは誰でも利用できるサービスで、簡単な食事や飲み物が売られています。購入した食べ物はカフェカーにあるテーブル席で食べることも可能ですが、多くの人は自分の席で食べています。誰もが利用できるので、食事時には長い列になることが多いです。時間をずらして購入することをお勧めします。以下のメニュー例にある通り、提供されている食事はかなりヘビーです。できれば列車に乗る前に駅やその周辺でヘルシーな食べ物を調達した方が日本人にとっては体が楽だと思います。

ダイニングカーは、個室利用者に付随する食事サービスを提供するところです。個室を予約すれば、自動的に3食は提供されるわけです。こちらはダイニングカーでサービスありの食事となります。長距離鉄道に乗っている雰囲気を感じられます。食事は部屋でも食べることができます。スタッフに伝えると食事を部屋に運んできてくれます。(チップを忘れずに)
ダイニングカーの食事もどちらかといえば油っぽいです。ただ、一応キッチンで料理されているので、味は濃いですが美味しいです。料金に含まれるのですから、ダイニングカーでの食事はできるだけ食べた方が良いと思います。その代わり、駅などで野菜ジュースを事前購入したりして食事のバランを考えた方が良いでしょう。

乗車記
ニューヨーク New York Penn Station
クレセントは、ペンステーションのMoynihan Train Hallから出発します。私が学生の頃はここは郵便局でした。2021年に郵便局からペンステーションの拡張に伴いアムトラックとロングアイランド鉄道の駅になったのです。
私が乗ったクレセントは午後の2時出発でしたので、12時過ぎには駅についてチェックインを済ませました。駅構内にはたくさんのファーストフードやドラッグストアなどがあるので、事前にサラダや飲み物などを調達しラウンジで軽いランチを食べました。ラウンジにはポテトチップなどがたくさん置かれていたので、これもいくつかいただきました。
出発の時間が近づいてきました。アメリカでは発車直前にプラットホームのナンバーが表示されるので、駅にあるモニターを見続ける必要があります。そしてホーム番号が表示されると急いでそのプラットホームに向かいます。
今回私が利用するのはルーメット。一人旅なので十分な広さです。
列車は時刻表通り出発です。ニューヨークを出るとワシントンD.C.まではノースイースト・コリドー(北東回廊)と呼ばれるアメリカ鉄道の中で一番華やかな路線を走ります。この路線は、アセラやシルバーサービスなども通る路線。メンテナンスも行き届いていて電化されているので、かなりのスピードで走ります。

ワシントンD.C. Washington, DC – Union Station
夕方6時前にワシントンD.C,駅に到着しました。この駅で電気機関車を切り離しディーゼル機関車に取り替えます。ここからは非電化区間ですので、ディーゼル機関車でニューオリンズまで客車を引っ張ることになります。
30分の停車後、クレセントは南に向けて出発します。夕焼けが美しいです。車窓からは夕陽に染まったワシントン・メモリアルやポトマック川が見えていました。この辺りまでが人口密集地で、これから先は一気に人口が少ない地帯を走ります。
夕食です。今回は私は部屋での食事を選択しました。スタッフが食事を持ってきてくれました。私が乗車した時はチキン・エンチラーダがあったので、頼んだら、思いがけず美味しかったです。小さなサラダがついていましたが、野菜が少ないのでニューヨークで買った野菜ジュースを飲みました。
クレセントにはダイニングカーとは別にもう一両古いダイニングカーが接続されることがあるそうで、その時は古いダイニングカーが良いと乗客に教えもらいました。
シャーロットビル Charlottesville, VA
ヴァージニア州のシャーロットビルに停車です。20分の停車です。すでに夜になっていますが、車外に出てみました。この街はとても気持ちの良い街で、いつか観光で訪れたいと思いました。夜だったので駅の周辺の店は閉まっていましたが、かなり栄えている街だと感じました。
ここから先、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州は夜の運行です。窓の外は真っ暗で、どこを走っているのかよくわかりませんでした。夜景を見ながら寝落ちしてました。
朝日が登り、起きました。
朝食を食べる時間になると、そろそろアトランタに到着です。朝食も部屋に持ってきてもらいました。オムレツを頼んだら、オムレツのサイドにポテトフライがついてきてなかなか美味しかったです。

アトランタ Atlanta, GA Peachtree Station
アトランタには朝の8時43分に到着予定でしたが、私の乗ったクレセント号は 30分遅れての到着でした。アトランタの駅では30分間停車するので、駅に着くまでに朝食を終わらせ、列車の外に出て朝の冷たい空気を吸いました。
アトランタはとても大きな都市でコカコーラやCNNの本社があることでも知られています。アトランタ・オリンピックが開かれたりもしましたが現在は、衰退の色が濃く感じられる街です。
クレセントはノーフォーク・サザン鉄道の線路を利用しているのですが、旅客車両よりも輸送車両が優先されるため、この辺りでは何回か貨物車両に線路を譲りました。貨物列車は長大編成で走っているので、結構待たされました。

私の利用したルーメットは、他の回で紹介している通りです。2つの座席が向かい合っています。2人で乗ると窮屈です。夜はこの2つの椅子が一緒になり1人分のベッドになります。もう一つのベッドは天井についていて、昼間は畳まれていますが、使うときはベッドとしてセッティングされます。2段ベッドのようになるわけです。
2人で利用している方々もいましたが、夫婦やカップルならぎりぎり我慢できる広さです、友人ととなると厳しいのではないでしょうか。
一人旅なら、かなり快適です。
トイレがついている客車とついていない客車がありますが、トイレがついているとしても使わないと思います。列車にはトイレがたくさんあります。わざわざ部屋のトイレを使う意味はないと思います。
各車両には、コーヒーと水が用意されているので、いつでもコーヒーと水に困ることはありません。もしコーヒーがなくなっていたらスタッフに言えばすぐに作ってくれます。
アトランタから南はアメリカ南部の森の中を進みます。所々沼地になっています。
バーミンガム Birmingham, AL
アラバマ州に入りバーミンガムあたりでランチです。バーミンガムの駅でも15分程停車しますので、食事はその前に済ませておくのが良いでしょう。この辺りに来るとアメリカ南部の香りがします。
この駅は最近改良され、この地域の交通ハブになっています。近くの街に行くバスが駅から出たり入ったりしていました。
ミシシッピ州に入ると、とても寂れてきます。窓から見える風景は貧しいであろう街や鬱蒼とした森や湿地帯が続きます。
ニューオリンズに着く前に夕食が提供されます。ダイニングカーから見る夕景が美しかったです。
ニューオリンズの北には大きな湖が広がっています。アメリカで汽水湖としては2番目の大きさを誇るポンチャートレーン湖。アムトラックは、この湖の真ん中を突っ切って走ります。しかし南行きのクレセントが通るのは太陽が沈んでからです。窓からは両脇に湖が広がっているのはわかりますが、昼間のような素晴らしい景色を楽しむことはできませんでした。
ニューオリンズ New Orleans, LA – Union Passenger Terminal
時刻表では夜の9時過ぎに到着予定でしたが、私の乗ったクレセントは30分遅れでの到着となりました。ニューオリンズは治安がいいとは言えないので、駅からタクシーに乗り街中にある予約していたホテルへと急ぎました。
注意点
・ニューオリンズ駅で、サンセット・リミテッド号とシティ・オブ・ニューオリンズ号と乗り継ぎが可能です。(遅延の場合はできません)
・アレキサンドリアとワシントンD.C.駅でカージナル号と乗り継ぎができます。
・全線WiFiあり。
・ラウンジカーが接続されています。
・ビューライナーでの運行です。
停車駅
(太字は主要駅)
New York, NY – Penn Station (NYP)
Newark, NJ – Penn Station (NWK)
Trenton, NJ (TRE)
Philadelphia, PA – 30th Street Station (PHL)
Wilmington, DE (WIL)
Baltimore, MD – Penn Station (BAL)
Washington, DC – Union Station (WAS)
Alexandria, VA (ALX)
Manassas, VA (MSS)
Culpeper, VA (CLP)
Charlottesville, VA (CVS)
Lynchburg, VA (LYH)
Danville, VA (DAN)
Greensboro, NC (GRO)
High Point, NC (HPT)
Salisbury, NC (SAL)
Charlotte, NC (CLT)
Gastonia, NC (GAS)
Spartanburg, SC (SPB)
Greenville, SC (GRV)
Clemson, SC (CSN)
Toccoa, GA (TCA)
Gainesville, GA (GNS)
Atlanta, GA – Peachtree Station (ATL)
Anniston, AL (ATN)
Birmingham, AL (BHM)
Tuscaloosa, AL (TCL)
Meridian, MS – Union Station (MEI)
Laurel, MS (LAU)
Hattiesburg, MS – Amtrak Station (HBG)
Picayune, MS (PIC)
New Orleans, LA – Union Passenger Terminal (NOL)
最後に
東海岸の大都会、ニューヨークを出発し2日かけて到着した南部ニューオリンズ。この2つの町は、同じ国あるとは思えないほど景色が異なります。住んでいる住人もかなり違います。もちろん文化も違うのです。
2つの都市には航空便では訪れたことはありますが、クレセント号に乗ることで、2つの都市間のグラデーションを見ることができました。地理的な変化、文化の変化、乗客の変化…。アメリカという国はいかに大きく、いかに多様性に富んでいるかを見せつけられました。
列車で話をしたアムトラックのスタッフ、食堂車で一緒になった乗客の方々、みなさんよく喋りおおらかな性格でした。大陸横断とは異なる雰囲気のクレセント号、なかなか乗車する機会がないと思いますが、ニューオリンズ観光の際は是非乗車をお勧めします。

各回テーマ:
01 アムトラックの旅
02 アムトラックの路線
03 アムトラックのチケット購入・座席の種類
04 アムトラックの駅
05 エンパイア・ビルダー号
06 カリフォルニア・ゼファー号
07 サウスウエスト・チーフ号
08 コースト・スターライト号
09 アセラ号
10 エンパイア・サービス号
11 レイク・ショア・リミテッド号
12 メープル・リーフ号
13 シルバー・サービス号(シルバー・メテオ号 / シルバー・スター号)
14 キャピタル・リミテッド号 / フロリディアン号
15 シティ・オブ・ニューオリンズ号
16 サンセット・リミテッド号
17 テキサス・イーグル号
18 クレセント号
19 カージナル号
20 ノースイースト・リージョナル号
いいなと思ったら応援しよう!
よろしければ応援お願いします!