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人間はもともと「2回眠る」生き物だったのか

ぐっすり眠ったはずなのに、午後になるとどうしても眠くなることはありませんか。
私は最近、そんな日が増えてきました。
「意志が弱い」「睡眠不足なのだろう」と思っていましたが、調べてみると少し違うようでした。

「2峰性睡眠」という考え方
最近、どうしても眠くなる日があります。
それも、昼すぎから夕方にかけてです。
睡眠時間が足りないのか、年齢のせいかのどちらかだろうと思っていました。
ところが調べてみると、人間はもともと午後に眠くなるようにできているらしいのです。
人間の眠気には、1日のうちに2回強くなる時間帯があると考えられています。
これを「2峰性睡眠(biphasic sleep)」と呼びます。
ひとつは夜の主睡眠につながる眠気です。
もうひとつは午後1時から3時頃に訪れる眠気の高まりです。
このパターンは概日リズム(体内時計)に組み込まれていると考えられています。
ランチ後は血糖値が上がるから眠くなると思っている方も多いかもしれません。
しかし、これは必ずしも正確ではないようです。
食事をとらなくても、この時間帯には眠気が訪れることが研究で確認されています。
体内時計そのものが、午後に小さな休息時間を用意しているようです。

昼寝で2峰性を実践してきた文化
地中海沿岸の国々には、昼の休息を文化として取り入れてきた歴史があります。
私は以前、イタリアで昼寝をすることを「シエスタ」と呼ぶのだと思っていました。
ところが調べてみると、シエスタはスペインの言葉だったのです。
シエスタの語源は、ラテン語の「hora sexta(第六時間)」に遡るとされています。
日の出から数えて6時間目、つまり正午過ぎの休息を指す言葉だったそうです。
ただし、このような習慣がヨーロッパ全域に広がっていたわけではありません。
実は日本にも、昼寝の文化がなかったわけではありません。
「昼寝」は俳句の夏の季語であり、与謝蕪村も「蠅いとふ身を古郷に昼寝かな」と詠んでいます。
社会制度としてではなく、暑い夏を乗り切るための生活の知恵として、昼寝はひっそりと根付いていたようです。

電気のない時代、別の形の2峰性があった
昼寝の文化は北西ヨーロッパにはあまり見られなかったようです。
しかし、だからといって単相性の睡眠だったわけでもないようです。
歴史家のA・ロジャー・エキルチが古文書を調べた結果、興味深い記録が見つかっています。
産業革命以前のブリテン諸島を中心とした人々は、夜を「第一の眠り」と「第二の眠り」に分けて過ごしていたというのです。
日没後にしばらく眠り、深夜に一度目を覚ます。
その時間に読書をしたり祈ったり、隣人と語り合ったりして過ごし、その後に再び眠る。
これが当たり前の睡眠スタイルだったらしいのです。
ただし、これは昼寝による2峰性とは性質が異なります。
「第一・第二の眠り」は夜間の睡眠が2つに分かれるパターンです。
一方、昼寝による2峰性は、夜の主睡眠と昼間の短い休息の組み合わせです。
夜中に目が覚めていた理由については諸説あります。
日没とともに活動を終える生活では、眠気が十分に高まらないまま床につくことも多かったでしょう。
一晩中眠り続けることの方が、むしろ難しかったのかもしれません。

「人間はもともと2峰性だった」と言えるか
ここまで読むと、「人間はもともと2回眠る生き物だった」と結論づけたくなります。
しかし、ここは慎重に考える必要があると思います。
午後の眠気が概日リズムに組み込まれていることは、研究データとして確かです。
一方で、「だから人間の本来の姿は2峰性である」という結論は、そこからの類推であり、証明された定説ではありません。
正直に言えば、「2峰性こそが人類本来の姿である」と言い切るには、まだ材料が十分ではないのです。

昼寝は「サボり」ではない
午後の眠気を力ずくで抑えることが、体の自然なリズムに逆らう行為だとしたら、短い休息を取ることには意味があるはずです。
15〜20分程度の短い昼寝は、認知機能の回復や記憶の定着に有効であることが複数の研究で示されています。
また、NASAの研究でも、短時間の仮眠が作業能力や覚醒度の改善につながることが報告されています。
一方で、30分を超えると深睡眠に入り始め、目覚めたときにかえってぼんやりする「睡眠慣性」が生じやすくなるそうです。
1時間以上の昼寝は、夜間睡眠の質を下げるリスクもあるようです。

それでも、昼寝には意味がある
それでも、午後に眠気の谷が訪れるという事実はあります。
そして人類が歴史の中で何らかの形で「2回眠る」工夫をしてきたという事実は、私たちに一つのことを教えてくれます。
午後の眠気を感じたら、コーヒーで無理やり覚醒させるより、短い休息を取る。
それだけで午後のパフォーマンスが変わり、夜の睡眠の質にも良い影響が出ることがあります。
しかし問題があります。
私の仕事部屋のドアは、ほぼ1枚のガラスです。
効率を上げるための昼寝なのですが、どう見てもサボっているようにしか見えません(^^)

まとめ
・午後の眠気は意志の弱さではなく、体内時計に組み込まれた自然な現象かもしれない
・世界には昼寝を生活習慣として取り入れてきた文化がある
・電気のない時代には、夜の睡眠を2回に分ける習慣も存在していた
・人間が本来2峰性睡眠であると断定はできませんが、午後の眠気には生理的な根拠がある
・15〜20分程度の短い昼寝は、午後のパフォーマンス維持に役立つ可能性がある


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