見出し画像

ベテラン留学生が教える英国住居の秘密

以前の記事でホームステイの危険性について注意喚起していたのだが、イギリスに留学で来るとなると避けて通れないのが住居探し。
ホームステイがもう機能しなくなった昨今では、留学生が渡英後に最初にやらなくてはいけないのがこの住居探しなのである。
<以前の記事>

日系企業の駐在員であれば会社が何でもやってくれるので住居探しのスキルゼロでも問題ないのだが留学生はそうもいかない。

筆者が2001年に初めて語学留学でイギリスに来た時には語学学校がホームステイであってもハウスシェアでも手配していたが、今はネットも発達したために、なまじ自分で何とかできる時代になった故に、すっかり衰退した語学学校はそのようなことをしなくなったようだ。

故に、今のイギリス留学では語学留学レベルですら住居探しスキルがないとマジで詰むようになった。それが大学レベルとなれば言わずもがなである。

しかし、イギリスには他国ではあまり見ないような住居形態がたくさんあり、それぞれに特徴や癖がある。そして、学生ならではの物件があったり、逆に学生だと借りられない物件があったりもして本当にややこしい(苦)。

そこで、四半世紀にわたってイギリスに性懲りも無く4回も留学しているアラフィフの筆者がこのイギリスの学生向け住居の秘密を解説する。

【2025年3月19日追記】
イギリスでの住居探しのノウハウを記事にまとめて公開しました。
こちらもどうぞよろしくお願いいたします。

【2025年5月21日追記】
シェア物件で生活するためのノウハウを以下の記事まとめて公開しました。


イギリスの住居の種類

学生向けに限らず、まずは一般的なイギリスの住居の種類を以下に解説する。なお、今回は学生が入居しやすい順に並べている。

1 学生寮

これは日本でも一昔前であれば一般的だった住居だが、イギリスでは今でも健在だ。むしろ筆者が15年以上前に学部や修士課程のためにイギリスに留学していた時に比べて増えている。

昔は大学が自校の学生向けに運営している寮がほとんどであったが、現在は民間企業が運営して広く入居者を募集する学生寮が多くなった。

この学生寮は、物件にもよるが、シングルベッドルーム5、6部屋くらいで区画が分かれていることが多く、1区画内でキッチンとラウンジを共有する。また、物件によってはバスルームも共有となるが、コロナパンデミック以降はエンスイート(ベッドルームにバスルームがついている日本でいうところのワンルームマンションのキッチンなし)が増えていると思われる。

学生寮として貸し出される物件については大学運営、民間運営問わず、法律で基準が設けられている。よって、一般的な賃貸物件よりも防犯や防災対策が比較的しっかりしている。そして、居住スペースの広さやメンテナンス頻度もある一定の基準が定められており、建物自体がそれに準拠した造りとなっている。

また、その家賃には火災保険や家財保険がセットになっていることがほとんだ。そのために学生寮の家賃は一般の住居よりも1.5倍ほど高い。

光熱費については家賃に含まれていることも多いが、昔は別で請求が来ることもあった。水道料金については運営側の請求が処理が煩雑になることから基本的には家賃に含まれている。

筆者もブリストルでの学部の時は最初の2ヶ月、スコットランドの修士課程の時は9ヶ月をこのような学生寮で過ごした。

なお、スコットランドで住んでいた学生寮は以下の記事でMacを修理に出したど田舎の街だ(笑)。

<以前の記事>

スコットランドのダンディー市で住んでいた学生寮の写真が奇跡的にも残っていた。以下にその写真を掲載するので読者がイギリスの学生寮に入寮することを検討する際に参考にして欲しい。

なお、この学生寮は田舎だったこともあり部屋がエンスイート(バストイレ付き)となっているが、ブリストルのようなそこそこ大きい街の学生寮ではバスルームは他の入居者と共用だった。

ロンドンの学生寮となるとさらに部屋は狭い。筆者も夏季休暇中にロンドンのとある学生寮の部屋に2週間ほど滞在したことがあったが、ブリストルやダンディーのものよりも小さく、日本で言うなら4畳半程度だった。

筆者が2009年9月から9ヶ月間住んでいたスコットランドのダンディー市にあった学生寮の外観
ど田舎なので敷地は広い(草)
同じ学生寮の筆者が9ヶ月住んだ室内。大体、7、8畳くらいだった。
これは2010年の退去時に撮った写真
学生寮には法律に従いシングルベッドと勉強机、椅子は必ず置かれる
写真には写っていないがワードローブもあった
こちらも同じ学生寮の室内。この頃は本は紙が主流だったために本棚は大きく作られていた
この頃はWiFiが普及しておらずイーサーネットケーブルが懐かしい
この学生寮はエンスイートだったため、
シャワーとトイレがあるユニットバスが室内に設置されていた
キッチンとラウンジは他の入居者5人とシェアだった

2 学生用物件

1と似ているようではあるが、こちらは一般的な物件(日本でいうところのアパートや一軒家)を学生専用として貸し出しているものだ。
以下の記事でイケメン刑事が凸ってきたのもこの学生用物件だった。

<以前の記事>

このような物件は1のような厳しい基準は満たしてはいないが一般的な住居としての基準は満たしている。そして、家具などは学生に配慮されたものが配置されていることが多い。

なお、1のような保険はついていない。1に比べると家賃は格段に安いが防犯、防災、その他の生活環境の質は劣る。

学生用物件と一般的な住居と違うところはカウンシルタックス(住民税)の扱いと賃貸の契約期間である。

このような物件では大家がカウンシルタックスの処理をせずに効率的に家賃を搾取するために運営されていることが多いので、基本的には学生の間しか入居ができない。

また、学生用物件は一般的な賃貸物件とは異なり大学の学期に合わせた契約期間となっている。大体において9ヶ月または12ヶ月の契約期間となっており、その期間中は家賃が上がらないという利点がある。併せて、その期間中に大家の都合で契約を途中解約させることはない。

つまり学期中は家賃の値上げを心配することがなく、また、追い出される心配もなく勉学に励むことができるのだ。
一方で前述の記事にあるような税金滞納した元学生のような輩が家賃を踏み倒し続けても契約満了まで居座るケースがあるのはそのためだ。

以下に筆者が2004年から2年間ブリストルで住んだ学生用物件の写真を掲載するので参考にして欲しい。なお、この部屋は学生用物件では珍しく「ベッドシット」(次項で解説)なのでキッチンが室内にある。しかし、多くの学生用物件ではキッチンも他の入居者と共用である。

筆者が2004年〜2006年まで2年間ブリストルで住んだ学生用物件の部屋
この写真は退去時の写真
この部屋は珍しくベッドシット(事項で解説)だったので簡易キッチンも室内にあった
同じく学生用物件の写真
この部屋は10畳くらいだった
こちらも同じく学生用物件の写真。
お情け程度の机はあるが使いにくかったのでテーブルで勉強した

3 ハウスシェア・フラットシェア

イギリスは伝統的に住居不足が慢性化している国であるため、日本でいうところのシェアハウスが相当昔から一般的である。

この住居については一般向けではあるが条件を満たせば学生でも入居が可能だ。筆者が現在住んでいる住居も社会人向けのハウスシェアである。だが、プライバシーの理由から写真の掲載はしない。

日本に比べてマンションのような集合住宅が少ないイギリスではこのハウスシェアは本当にハウス(一軒家)を3人から6人くらいでシェアすることが多い。

都市部においてはフラットと呼ばれるベットルームがいくつかあるマンションの1室をシェアすることも多い。前者をハウスシェア、後者をフラットシェアと呼ぶ。どちらの場合もキッチンやバスルームは他の入居者と共用となる。

学生以外でこのような物件に住む地元民は独身の労働者階級の社会人が多い。学生用物件に入居権が無いワーホリの人達もこのタイプの物件に住むこととなる。

契約形態や住む部屋の大きさなどによるが、家賃については入居者個人との契約の場合は物件全体の家賃÷ベッドルーム数の金額となる。

水道・光熱費は家賃に含まれている場合もあるが、入居者全員で水道会社や電気、ガス会社と契約することも多い。その場合は各種光熱費、水道料金を入居者全員で割り勘する。

また、賃貸契約が「ジョイントコントラクト」と呼ばれる入居者全員の連名で物件全体の契約をしている場合は要注意だ。その場合は入居者の中で契約を途中解約、または更新拒否をする者が現れれば残る入居者で物件の家賃を割り勘となるために、入居者一人あたりの家賃が上がる。

以下の記事で家事スキルを身につけてシェアメイトとの良い関係性構築を推奨しているのはこのためでもある。貴方がもし前項にあるような「タイ人や中国人にすら嫌がられていただらしがない日本人女子」みたいな人間である場合には、最悪の場合は他の入居者全員が出ていって物件全体の家賃を一人で負担しなくてはいけなくなる可能性もあるからだ。

参考までに書くと、筆者は日本国内で一時的にシェアハウスに住んでいたことがあるが、そのようなだらしがない輩が入ってきた。結局、そのシェアハウスを退去したが、残ったシェアメイトに後で聞いたらその輩以外は全員退去したらしい。結果、そいつ一人だけになったそうだ(爆)。
このようなことはイギリスのシェア物件でも十分にあり得る。

家事スキルを推奨していた以前の記事のリンクを下に貼るので、今一度、肝に銘じてほしい。
くれぐれも、この記事にあるような「だらしがない日本人」にならないように気をつけよう(笑)。

<以前の記事>

4 ベッドシット・スタジオ

この物件は集合住宅にある部屋で基本的に一人暮らし、またはカップルなどで暮らす物件だ。学生用物件ではあまり無い部屋タイプではあるが一般向け物件であっても、学生でも要件を満たせば借りることができる。

筆者もブリストルの学部時代、並びにスコットランドの修士課程時代にそれぞれで一般向けスタジオ物件を借りて住んだことがあった。家賃が高く入居審査が厳しいロンドンよりも、家賃が比較的安くてシェア物件が少ない地方の方が学生でも借りやすい。

ベッドシット
これはベッドルーム内にキッチン設備があるもの。基本的には単身向け物件だ。

バストイレ、洗濯機は他の住人との共用になる。イメージとしては昭和の風呂トイレ共有のアパートだ。だが、共用施設が建物内にバスルームがあるので日本の昭和のように外の浴場に行く必要はない。

洗濯機についても大体において建物内にあるが、ない場合は外のコインランドリーを利用することになる。

スタジオ
ベッドシットに対して日本のワンルームマンション同様に全ての設備が室内にあるのが「スタジオ」である。

だが、スタジオは大きいベッドルームにそれらの設備が詰め込まれている状況だ。スタジオはダブル以上のベッドが一つあるだけとなるため、カップルのように毎日同じベッドで寝られるのでなければ二人以上での居住は難しい。

学生用物件にはあまりないタイプの部屋だが一般向け集合住宅には多く存在しており、イギリスでも中産階級以上の安定した職業を持つ独身、または子供がいないカップルはこのような物件に住んでいる事が多い。

以下に筆者がスコットランドのダンディー市で2010年に半年ほど借りていたスタジオ物件の写真を掲載する。ダンディーはど田舎(草)のためスタジオ物件といっても相当広い。このスタジオは後述のファニッシュド(家具つき)物件だった。

なお、筆者がブリストルで住んでいたスタジオ物件の方は部屋はだだっ広いがキッチンは狭く、後述のパートファニッシュド(一部、家電付き)だった。家具が付いていないスタジオの場合は自分で家具を購入するか持ち込む必要がある。

筆者がスコットランドで借りていたスタジオ物件のキッチン
写真は2010年に退去した際に撮影したもの
右下にちらっと見えているのは洗濯機
同スタジオ物件の部屋
本来はダブルベッドがおけるサイズなのだが、筆者の要望でシングルベッドを入れてもらった
同スタジオのバストイレ一体型のバスルーム
スタジオのため室内にはバスルームもある

5 フラット

これについては説明が簡単だ。日本でいうところの1LDK以上のマンションである。3にあるフラットシェアのシェアしていない物件だ。この物件については賃貸と分譲の両方が存在している。

もちろん、要件を満たせば学生でも借りることはできるが、3、4に比べて家賃が高額であるために一人で借りることは難しい。だが、数人で3LDKくらいのフラットを借りて3のようにフラットシェアとしているケースはままある。

イギリスでは中産階級以上の安定した高収入の職についている社会人が借りる、もしくは購入して住んでいる。賃貸の場合は2、3人で契約してシェアして借りている独身の社会人達も多い。

6 ハウス

これも説明不要だが「家」である。こちらも賃貸と分譲がある。この家にも形状違いで数種類あるのだが、その説明はここでは割愛する。

基本的には学生一人で家1軒を借りることは難しい。だが要件を満たせば学生でも借りることは可能な物件ではあるので、学生数人で借りて3のようなハウスシェアにすることはある。特に地方ではそのような形でシェアにしている学生は多い。

イギリスの住宅価格が日本よりも高く、そして伝統的に住宅ローンの金利も高い。イギリスでは高収入の職についていたとしても30代以下で家を購入している地元民は少ない。よって、当地で家を所有できるのは中産階級で安定した高収入の職についている40代以上の社会人になる。そして住宅ローンの支払いが終わる50代ごろになると、所有している家を貸し出してその家賃で小さなフラットを購入して住んでいる地元民も多い。

7 その他

以上だけでも相当な種類があるが実はまだまだある。

都市部の郊外には「バンガロー」という大きな庭の一部に大型の倉庫のような平屋を建てて4のスタジオのような住居として貸し出しているケースや、地方に行くと「コテージ」と呼ばれる茅葺き屋根の昔ながらの小屋をスタジオやフラットのように貸している地元の地主もいる。

筆者が現在住んでいる家の庭にもこのバンガローがあり、若い夫婦が賃貸で住んでいる。

また、筆者がスコットランドのど田舎に住んでいた時にはコテージが賃貸として出ていたケースも見かけた。現在のウィリアム皇太子がその地域にあるセント・アンドリューズ大学の学生だった頃には警備の都合から地元のコテージを借りて住んでいた、と地元民から聞いたことがある。田舎だから王室の警備上の秘密も筒抜けだったようだ(笑)。

普通の学生がそのような物件を借りることは考えにくいことではあるが、郊外や地方に住む場合には選択肢として入ってくることもあるかもしれない。

【番外編】カウンシルハウス

そもそも外国人が入居できないし入居している地元民も又貸しが法律で禁止されているのだが、一応「カウンシルハウス」という名の住居についても説明したいと思う。

タイトル画像は筆者が2009年から1年少々住んでいたスコットランドのダンディー市を丘の上から見下ろした光景である。その光景に4つほど不自然に無機質な高層住宅が立ち並んでいるがそれらがカウンシルハウスである。

このカウンシルハウスとは地方自治体が地元の生活困窮者に無料で貸している「公営住宅」のことである。
タイトル画像にあるような日本のタワーマンションのような高層集合住宅から、見た目は普通の家だが行政が所有していてそれを生活困窮者に無料で貸しているものまで様々だ。

スコットランドのダンディー市に筆者が留学していた時分の地元の同級生も普通の家に見えるカウンシルハウスに彼氏と一緒に住んでいた。そのカップルは収入が少ないために生活困窮者扱いとなっていたようだった。ただ、そのような普通の家のようなカウンシルハウスは完全無料ではなく低額の家賃は支払っているのではないかと推測している。

また、ダンディーにもブリストルにも貧困層が多く住む地域があり、その一帯には高層型のカウンシルハウスが立ち並んでいた。高層型のカウンシルハウスは独特な外観をしており、イギリスのどのような場所のものでも雰囲気ですぐにそれがカウンシルハウスであることがわかる。

そのような高層型のカウンシルハウスには家賃が完全に無料かほぼ無い状態になるために、特に教育レベルが低い貧困層が多く住んでいる。結果として建物内の治安が悪くなる。また、建物周辺の地域も治安が悪いのでもし、読者の中でそのような建物をイギリスで見かけたら近寄らないことをおすすめする。

以下にダンディーにあった高層型カウンシルハウスの写真を載せるので参考にして欲しい。

スコットランドのダンディーにあった典型的なデザインの高層型カウンシルハウス
(2010年撮影)

家具、家電の扱い

上記ではイギリスの住居の種類について説明しているが最後にそれらの物件における家具の扱いについて説明したい。

イギリスの賃貸物件には家具や家電が付いているケースと一部だけが付いているケース、そして全く付いていないケースがある。

それが、以下の3種類である。
イギリスで部屋を借りる時には必ず出る言葉なので覚えておきたい。

ファニッシュド(Furnished)

家具並びに家電が付いている意味。学生寮や学生用物件は基本的にこれである。一般的な賃貸でもハウスシェアやフラットシェアもこのパターンが多い。また一部、ベッドシットやスタジオでもこのケースはある。

パートファニッシュド(Part-Furnished)

一部の家具や家電が付いている物件だ。大体において家具はなくクッカー(コンロとオーブンが一体化したもの)、洗濯機、冷蔵庫だけが付いているパターンが多い。一般的な賃貸物件のフラット、ハウス(家)はこのパターンが多い。一部のベッドシット、スタジオでもこのケースがある。

アンファニッシュド(Unfurnished)

これは家具や家電が一切付いていない物件だ。分譲でフラットやハウスを購入するとこれになる。一般的な賃貸物件のフラット、ハウスでもこのパターンはある。

まとめ

イギリスには以上のような独自の住環境となっており、始めてイギリスに住む日本人にとっては理解が難しいことも多いかもしれない。

それらはほぼ「秘密」と呼ぶのにふさわしいかもしれない。その為に、その秘密を解説すべくこの記事を作成した。

次回はイギリスで留学生が部屋を探す方法を筆者の経験をもとに解説したいと思う。その時にこの記事を参照してもらうと理解してもらいやすいはずだ。

今回もここまでお読みいただきありがとうございました。


いいなと思ったら応援しよう!

アシュリー@ベテラン英国博士留学生 よろしければ応援お願いします!いただいたチップは博士課程の費用の一部として使わせていただきます!