【英国文豪、令和を歩く】第48回:On a diet, feelin’ light—eat it right, shine so bright!
京都、三条通の界隈。明治時代から続くような、重厚な木造りのカッフェー。琥珀色の照明の下、二人の奇妙な連れが向かい合っている。一人は、華やかなスカーフを首に巻き、知的な光を瞳に宿した女性、ウィル。もう一人は、ツイードのジャケットを無造作に着こなし、パイプ代わりに手にしたペンを弄んでいる男、ドイルである

……ふふ、ドイル。貴方のその深刻な顔、まるでロンドンの霧の中で迷子になった名探偵のようね。けれど、目の前にあるのは難解な事件の証拠品じゃなくて、ただの『お豆腐のサラダ』でしょう? さっきから一口も進んでいないじゃない

いや、ウィル。これは私にとって、ライヘンバッハの滝を前にするよりも困難な決断なのだよ。現代のこの『ダイエット』という奇怪な風習……。私の医学的良心からすれば、健全な肉体には相応の滋養が必要だ。だが、この令和の京都という街は、あまりに甘い誘惑――抹茶のパフェだの、琥珀流しだのが多すぎる」

あら、大げさね。肉体なんて、魂が宿るための一時的な舞台装置に過ぎないわ。少しばかりその舞台が横に広がったところで、演じる役者が一流なら、観客は拍手を送るものよ。……もっとも、私の衣装のウエストが、昨日より少しばかり『タイトな台詞』を喋りたがっているのは事実だけれど

君はいつもそうやって、不都合な真実を詩的なレトリックで包み隠す。だが、見てくれたまえ。私のこの、かつてボクシングで鍛えた腹部が、今やワトソン君の書く物語のように膨らみ始めている。炭水化物という名の犯人を追い詰める必要があるんだ。……おい、ウィル。君が今、こっそり注文したそれは何だね?

これはただの、小さな、羽毛のように軽いスコーンよ、ドイル。いい? 人生は喜劇か悲劇か、そのどちらかよ。そして、空腹で不機嫌な顔をして過ごす毎日は、間違いなく質の悪い悲劇だわ。鏡を見て『ああ、太ってしまった』と嘆くのは、幽霊に怯えるハムレットと同じ。実体のない影に怯えて、今この瞬間にある美味しい蜜を吸わないなんて、それこそ愚者の選択じゃない?

(溜息をつきながら)君の口車に乗せられると、まるで毒を盛られた王のように抗えなくなる。だが、私は科学者だ。摂取カロリーと消費エネルギーのバランスを、厳密に計算しなければ……。そうだ、明日は二人で嵐山まで歩こう。それも、相当な早足でだ。犯人を追跡する時のようにね

あら、素敵。名案だわ、ドイル! 鴨川のほとりを、風のように歩きましょう。……でも、その途中に素敵な和菓子屋を見つけたら、そこは『中休み』ということにしましょうね? 舞台には幕間が必要だもの。さあ、そのお豆腐ばかり見つめていないで。一口くらい、私のスコーンを分けてあげてもいいわよ。これは友情という名の、最も罪深い分け前だわ

……やれやれ。君という人間は、シャーロックでさえ解けない、最も甘美な謎だよ。では、その『分け前』を頂戴するとしよう。明日の長距離追跡を前提とした、あくまで予備燃料として、だ
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