【英国文豪、令和を歩く】第47回:Super Mario, jump so high,Touch the stars across the sky.
京都、寺町通の片隅にある、琥珀色のランプが灯る古風な喫茶店。使い込まれた革の椅子に、華やかなスカーフを巻いた現代的な女性姿のウィリアム・シェイクスピアと、ツイードのジャケットを羽織り、パイプの代わりに珈琲を嗜むアーサー・コナン・ドイルが向かい合っている

ドイル、見て。この小さな箱の中で繰り広げられる、驚くべき冒険の劇を。……『スーパーマリオ』というのだそうよ。赤い帽子を被り、立派な髭を蓄えた小柄な紳士が、愛する姫を救い出すために、不思議なキノコの王国を駆け抜けるの。まるでお伽話の騎士のようだけれど、その手段が『跳躍(ジャンプ)』だなんて、なんて独創的で軽やかな演出かしら!

ふむ、赤い髭の男……。私がかつて遭遇した、あの残忍なウードレーのような悪漢とは正反対の、実に勇敢な男のようだな。だがウィル、この物語は実に論理的だ。一見すると奇妙な世界だが、重力を無視するかのような跳躍、そして敵を倒すための正確な足運び……。これはまさに、私が知るあの探偵が、事件の現場で泥の上の足跡を精査し、犯人の逃走経路を割り出す際に見せる、あの無駄のない動きに似ているよ。しかも、配管工という質素な職業の男が、王国の命運を背負うという設定も、内地製の誠実さを感じさせて好感が持てるね

あら、あなたはいつもそうやって分析する。でも、この物語の真髄は、その『不屈の精神』にあると思わない? 何度穴に落ちようとも、火を吹く大きな亀に阻まれようとも、彼は諦めない。それはまるで、運命の悪戯によって引き裂かれた恋人たちが、幾多の障壁を乗り越えて再び手を取り合おうとする、あの情熱的な舞台のよう。ピーチ姫が囚われている城に辿り着くたびに、『姫は別の城にいます』と告げられるあの絶望……。それでもなお走り続ける姿は、ロミオが愛を求めて壁を飛び越えた時の熱量に匹敵するわ

『姫は別の城に……』か。それは探偵にとっては、決定的な証拠だと思っていたものが、実は巧妙な偽装(カムフラージュ)だったと気づかされる瞬間のようだ。だが、このマリオという男、緑色の服を着た弟を連れているというじゃないか。これこそ、信頼すべき相棒(パートナー)の存在だ。ワトソンが私の傍らでピストルを構え、共に荒野を駆け抜けてくれたように、彼ら兄弟もまた、深い絆という名の武器を持っている。……ただ、巨大なキノコを食べて身体が大きくなるという現象だけは、医学的見地から見れば、少々説明に苦慮するところだがね

ふふ、それは魔法よ、ドイル。あるいは、愛が人に与える魔法のような勇気。……ねえ、この色鮮やかな世界を見ていると、私たちのいた霧深いロンドンや、事件の影が落ちる古い廃院のことなんて、束の間忘れてしまいそう。現代の人々は、この小さな画面の中で、自分自身が主人公(ヒーロー)になって、悪を挫き、愛を勝ち取る物語を何度も演じ直しているのね

なるほど。どんなに困難な状況でも、最後に『勝利』という幕が降りることを信じて疑わない。それは、我々が物語を通じて人々に届けたかった『正義』の形の一つかもしれないな。……よし、ウィル。今夜は君の隣で、この『マリオ』という男の冒険を最後まで見届けることにしよう。もちろん、彼が途中で道を間違えないよう、私の鋭い観察眼で隠された通路(ボーナスステージ)を見つけ出してあげることも、やぶさかではないよ
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