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【英国文豪、令和を歩く】第72回:Cancer fights can feel so long, stay together, stay strong.

喫茶店の隅、少し静かになった時間帯。ウィルは少し伏し目がちに、手元の珈琲カップを見つめている。ドイルは医師としての顔を覗かせ、慎重に言葉を選んでいる

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

ねえドイル、さっき窓の外で、足取りの重い親子を見かけたわ。病という名の、目に見えない刺客に追われているような……。この現代でも、やはり『がん』という病は、人々の心を暗い影で覆ってしまうものなのね。かつての私の時代なら、それは神の不機嫌か、星回りの悪さとして片付けられたけれど

                                                                                                                              コナンドイル

(深く頷き、かつての軍医としての記憶を辿るように)
そうだね、ウィル。私が医学生だった頃や、ブルック街で事件を追っていた頃から見れば、医学は驚異的な進歩を遂げた。だが、この『がん』という病は、依然として手強い。それは外部から侵入する賊ではなく、自分自身の細胞が、何らかの拍子に反旗を翻す……いわば、身内の反乱のようなものだからだ。ブレシントン氏が抱えていた、あの得体の知れない恐迫観念にも似た、内側から蝕まれる恐怖だよ

自分の体の一部が、自分を裏切るなんて……。それはまさに、最も親しい友に背中から刺されるジュリアス・シーザーの悲劇だわ。でも、ドイル。この現代の知恵は、ただ手をこまねいて死を待つだけではないのでしょう? あなたがかつて、癲癇(てんかん)の患者を診察室で熱心に観察し、ノートに記録したように、現代の医師たちもその『犯人』の正体を暴こうとしているはずよ

その通りだ。今の医学は、顕微鏡の向こう側に隠れた微かな足跡を見逃さない。遺伝子の暗号を解読し、病の進行という名の『アリバイ』を一つずつ崩していく。かつて私が、患者の脈拍や感受性を調べ、学問的な満足と同時に深い同情を感じたように、今の医師たちもまた、論理と慈愛の両輪で戦っているんだ。早期に発見できれば、その『反乱』を鎮めることも十分に可能になっている

『早期に発見する』。それは、舞台の幕が上がる前に、伏線を見抜くようなものね。……でも、やはり告知を受ける人々の絶望は、いつの世も変わらないわ。人生という物語が、突然、書きかけのまま終わらされるかもしれないという恐怖。ドイル、あなたが診てきた多くの患者たちも、同じような『気の毒な虚脱状態』に陥っていたのではないかしら?

ああ、そうだ。病そのものよりも、心が先に折れてしまうことが一番恐ろしい。だからこそ、我々が必要なのは、論理的な治療法だけではない。絶望という名の霧の中にいる患者に、一筋の光を見せることだ。トレベリアン博士が、患者の息子が抱く心痛に打たれたように、人間同士の触れ合いこそが、恐怖を和らげる最良の薬になることもある

ふふ、流石はドイル。冷徹な観察眼の裏に、いつも温かい心を持っているのね。……たとえ、この身が病という名の嵐に翻弄されることがあっても、そこに寄り添う誰かがいれば、それは単なる悲劇ではなく、人間の尊厳を懸けた美しい一幕になるはず。……ねえ、もし私がそんな物語を書くなら、最後は必ず、夜明けの光が差し込む結末にするわ

いい脚本だ、ウィル。病という謎に挑むのは医師の役目だが、人々の心に勇気を灯すのは、君のような表現者の役目だ。……さあ、少し真面目な話しすぎたかな。このオリーブオイルのように、人生の苦みもまた、深い味わいの一部だと信じて、今は目の前のこの穏やかな時間を大切にしようじゃないか

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