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【英国文豪、令和を歩く】第69回:Olive oil on the roll, tasty drizzle, heart and soul!

京都、三条大橋に近い、大正時代の面影を残すレトロな喫茶店。琥珀色の照明の下、ウィリアム・シェイクスピア――通称ウィルは、華やかな現代のワンピースに身を包んだ女性として、ドイルと向かい合っている

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

……ふふ、見てドイル。この小さな瓶に閉じ込められた黄金の雫を。まるでヴェローナの陽光をそのまま煮詰めたようじゃない? このオリーブオイルという代物は、嗅げば五官を慰め、嘗めれば心臓を躍らせる。まさに自然が授けた『薬力』そのものね

                                                                                                                            コナンドイル

(パイプを置こうとして、禁煙の札に苦笑し、手遊びにスプーンを回しながら)
全くだ、ウィル。かつて南アフリカの荒野やロンドンの霧の中で私が見たものとは、また違う趣がある。当時の私なら、この油の粘度や屈折率から、それがどこの農園で搾られたものか、たちどころに推理してみせたところだが……。今のこの京都の落ち着いた空気の中では、ただの美食家として味わうのが正解のようだ

あら、探偵気取りは相変わらずね。でも、この滑らかな舌触りは、まるで恋の甘餌(あまえ)のよう。パンに一滴垂らすだけで、平凡な麦の塊が、たちまち王侯貴族の晩餐へと姿を変えるわ。……ねえ、もしロミオがこのオイルを知っていたら、毒薬を仰ぐ前に、せめて美味しいサラダでも食べて、もう少し冷静になれたかしら?

ははは! 彼は情熱に突き動かされすぎていたからね。論理的な思考があれば、あの悲劇の歯車は別の方向へ回っていたはずだ。だがウィル、君の描く世界には、こうした『本質に籠れる奇特』が常に潜んでいる。オリーブオイルも同じだ。使い方を誤ればただの脂ぎった不快なものだが、正しく用いれば、人生という舞台の最高の調味料になる

うまいことを言うわね、ドイル。悪徳も用処を得て威厳を生ず、よ。……見て、この店の主人が運んできた京野菜のグリル。これにこの黄金を回しかけると、野菜たちが『待っていました』とばかりに輝き出す。まるで、舞台にスポットライトが当たった瞬間の役者たちみたいに!

確かに。この鮮やかな緑と、オイルの透明感……。まるで巧妙に仕組まれたアリバイのように隙がない。……おっと、いけない。つい職業病が出る。今はただ、この現代の京都という不思議な転生先で、君という稀代の劇作家と、この『液体の宝石』を愉しむことにしよう。ウィル、君のその、寸から尺に伸びる軽妙な口もとに免じて、今日は僕が奢らせてもらうよ

あら、それは名誉なことね! では、そのお言葉に甘えて、デザートのジェラートにもこのオイルをかけてもらいましょう。……驚かないで、ドイル。甘美な冷たさと、この芳醇な香りの出会いは、まさに類ない恋のようなもの。きっとあなたも、一口食べればその『犯人』を捕まえたくなるはずよ?

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