【英国文豪、令和を歩く】第28回:Play golf, let your worries dissolve, and focus on the next shot to solve.
午後の日差しがカフェの床に長い影を落としている。ドイルは熱心にスポーツ新聞の隅を眺め、ウィルは新しく運ばれてきた「あんみつ」の赤い寒天を愛でている

……ふむ、ウィル。現代のこの国でも、やはり「ゴルフ」は紳士の嗜みのようだよ。さっき通りかかった若者が、細長い鞄を担いで意気揚々と歩いていた。

(黒蜜をたらしながら)
ゴルフ。あの、広大な緑の野を彷徨い、小さな白い球を穴に落とすという、あの奇妙な儀式のことかしら? ドイル、あなたもイギリスにいた頃は、随分と熱心に追いかけていたのでしょう?

(少し誇らしげに胸を張って)
ああ、あれは単なる遊びではない、自分自身との対話だよ。特にリンクス(海岸沿いのコース)の風は、どんな難事件よりも私の推理を狂わせたものだ。自然という名の予測不能な犯人と戦うようなものさ。君はどうだい、ウィル? 君のいた時代には……ああ、まだあんなに洗練されてはいなかったか。

ええ。私の知るそれは、もっと粗野で、羊飼いたちが杖で石ころを転がすような遊びだったわ。でも、今のこの「ゴルフ」というものは、まるで一つの完成された舞台劇ね。完璧に整えられた芝生、定められた順序、そして沈黙。……ねえ、ドイル。あんなに広い場所を独占して、たった一つの穴を目指すなんて、少し贅沢が過ぎると思わない?

ははは、確かに。だがね、あの静寂の中で球を打つ瞬間、世界には自分と球しか存在しなくなる。それは、一編の完璧な短編小説を書き上げる時の集中力に似ている。障害物(ハザード)をどう避け、いかに最短ルートで真実に――いや、カップに辿り着くか。実に論理的なスポーツだよ。

(あんみつを一口含み、目を細めて)
論理的、ね……。でも私には、あれは「執着」の象徴に見えるわ。あんなに小さな球を、あんなに遠くから。まるで、一度口にした愛の言葉を、一生をかけて証明しようとする恋人たちのよう。あるいは、失くした王冠を求めて荒野を彷徨うリア王の悲哀すら感じるわ。

君にかかると、ただのスポーツも壮大な悲劇になってしまうな。だが、実際、バンカーに捕まった時の絶望感は、確かにハムレットの独白にも劣らない苦悩かもしれない。「打つべきか、打たざるべきか、それが問題だ」というわけだ。

(くすくすと笑って)
あら、上手いことを言うわね。でもドイル、現代のゴルフは少し騒がしすぎるわ。あんなに道具を揃えて、色とりどりの服を着て……。私なら、スコットランドの霧の中で、たった一本の杖と、誰にも知られない秘密を一つ抱えて、静かに球を転がしたいわ。

それはまた、随分とロマンチックなゴルフだ。……よし、ウィル。今度の日曜日、少し足を伸ばして、京都の郊外にあるコースへ行ってみないか? 君に現代の「クラブ」の振り方を教えてあげるよ。君のことだ、きっと素晴らしいスイングで、運命の女神を味方につけるに違いない。

お誘いは嬉しいけれど、ドイル。私が打った球が、とんでもない藪の中に消えてしまっても、あなたの名推理で探し出してくれると約束してくださる?

もちろんだとも。ホームズを呼び出すまでもなく、私がこの目で見届けてみせよう。……おや、あんみつはもうおしまいかい?

ええ。甘い知恵の実は、次の物語の活力をくれるわ。さあ、行きましょうか。現代の「緑の舞台」がどんなものか、この目で確かめてあげましょう。
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