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【英国文豪、令和を歩く】第5回:Fish and chips, tasty trips.

京都、寺町通の片隅にある、大正時代から続くような古風な喫茶店。使い込まれた琥珀色のテーブルを挟んで、二人の男女が座っている。一人は、華やかなスカーフを巻き、知的な瞳を輝かせた女性、ウィル。もう一人は、ツイードのジャケットを律儀に着こなし、丁寧に整えられた髭を蓄えた紳士、ドイルである。

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

ねえ、ドイル。この鴨川のせせらぎと、古びた珈琲の香りは、かつてのテムズ川の喧騒とはまるで別世界の静寂ね。でも、このお品書きを見てちょうだい。『フィッシュ・アンド・チップス』……。この極東の島国で、私たちの故郷の魂に出会えるなんて、皮肉な喜劇だと思わない?

                                                                                                                        コナンドイル

全くだよ、ウィル。しかし、運ばれてきたこれを見てごらん。衣の具合が実に繊細だ。私がかつて北極海で、限られた糧食を前に飢えを凌いでいた頃のビスケットや塩漬け肉に比べれば、これはまさに王者の晩餐だよ。……おや、君はビネガーをかけすぎじゃないか?

人生には刺激が必要なのよ、ドイル。酸いも甘いも、たっぷりとかかっていないと舞台は盛り上がらないわ。……ふふ、食べてみて。外側は驚くほど軽やかで、中身は白昼夢のようにふわふわしている。ロンドンの霧の下で食べる、あの新聞紙に包まれた脂ぎったものとは、似て非なる『雅』な一皿ね。

確かに。この京都という街は、あらゆるものを独自の美学で再構築してしまう。私の書斎でワトソン君と囲んだ質素な食事も、ここで出されれば何らかの『事件』の序章になりそうだ。……ウィル、君の目には、この現代の景色はどう映っている? 劇作家としての君の魂を揺さぶるような葛藤が、この穏やかな古都にあるのかい?

葛藤? あらゆる角に転がっているわ。着物姿でスマートフォンを操る人々、千年の歴史を背負いながら、新しい流行に目を輝かせる少女たち。これほど変化に富んだ舞台装置はないわ。ドイル、あなたの鋭い観察眼なら、このポテトの揚げ加減一つからでも、店主の隠された過去を暴き出せるんじゃないかしら?

よしてくれ。今はただ、この平和な午後を享受したいだけだよ。……とはいえ、この魚の出所が気にならないと言えば嘘になるがね。スコットランドの海岸で、漁師たちがニシンの漁期を待ちわびていたあの熱気を思い出す。ここでの生活は、あの頃の重苦しい責任感や、氷原に閉ざされた絶望からは程遠い。

そうね。私たちは一度『死』という幕を下ろして、再びこの舞台に立っている。今度の役どころは、ただの旅人。……ドイル、そのポテトを一つ頂戴。代わりに、私のこの美味しい『抹茶ラテ』を一口あげるわ。これもまた、異文化の幸福な結婚だと思わない?

……やれやれ、君の強引なところは、どの時代でも変わらないな、ウィル。では、その未知の緑の飲み物を試してみるとしよう。我々の新しい冒険に、チアーズ……いや、この国の言葉では『乾杯(カンパイ)』だったかな。

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