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【英国文豪、令和を歩く】第1回:Coffee and chill, that’s my morning thrill.

京都、三条大橋を臨む鴨川沿いの古びた喫茶店。使い込まれた琥珀色のテーブルを挟み、二人の男女が向かい合っている。一人は、翻るような言葉選びを好む、どこか浮世離れした美しき貴婦人スタイルの女性――ウィル。もう一人は、ツイードのジャケットを羽織り、鋭い眼光を湛えつつも落ち着いた物腰の紳士――ドイルである

ウィリアムシェイクスピア                                                                                                                    

……ああ、ドイル。この漆黒の液体の表面を御覧なさい。まるで、悲劇の幕が上がる直前の、静まり返った舞台のようではないかしら? 立ち上る湯気は、運命に翻弄される恋人たちの吐息……。この一杯に、どれほどの喜劇と悲劇が溶け込んでいることか」

                                                                                                                        コナンドイル

ははは、相変わらず君の表現は華やかだね、ウィル。だが、私に言わせれば、このコーヒーというやつは極めて論理的な飲み物だよ。豆の挽き具合、温度、そして抽出の時間……。すべての条件が正しく揃って初めて、この完璧な一杯が成立する。まるで、散らばった証拠を繋ぎ合わせ、一つの真実に辿り着く推理のプロセスのようだと思わないかい?

ふふ、あなたはいつもそう。理屈の鎖で世界を縛ろうとするのね。でも、この香り……。これは論理では説明できないわ。遠い異国の風が運んできた、名もなき旅人の追憶。砂糖を一つ落とせば、それは甘い恋の囁き。苦味が勝れば、それは裏切りの味。ねえ、ドイル、この『キョウト』という街の空気も、なんだかこの一杯に似ていると思わない?

確かに。古びた伝統と、新しき知性が奇妙に混ざり合っている。この店もそうだ。外を走る騒がしい鉄の馬(車)の音さえ、ここでは遠い異国の出来事のように聞こえる。……おや、君のそのカップ、底に少しだけ粉が残っているね。これは、これから何か面白い事件が起きる予兆かもしれないよ?」

あら、名探偵殿。私のコーヒーの残り滓にまで、あなたの『観察眼』を働かせるつもり? 困った人。でも、もし事件が起きるのなら、それはきっと月明かりの下での美しい密会であってほしいわ。血生臭い復讐劇は、今日はお休みにしてちょうだい

全くだ。せっかくの休日だ、君とこうして現代の叡智――この素晴らしい焙煎技術を享受しているんだ。凶器の行方よりも、次のケーキを何にするかを議論する方が、今はよほど建設的だね

名案だわ。では、その『建設的』な議論を始めましょう。甘美なる誘惑に、私たちは抗えるかしら? ……さあ、ドイル。あなたの論理で、一番美味しいタルトを導き出して見せて?

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